中国でもサービス開始したApple Pay、あなたの知らないちょっとマニアックな話

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当ブログでもお伝えしたとおり、2016年2月18日、Appleのモバイル決済サービス【Apple Pay】が中国でサービスを開始した。

初日の開始12時間で、3800万枚の銀聯(ユニオンペイ、Union Pay)カードが紐付けされたという。これを1分あたりで計算すると、毎分8万枚が紐付けされたことになる。そして1秒だと1333枚だ。すさまじい数量が紐付けされたことがわかるだろう。

そんなわけで、せっかくApple Payが開始されてもなかなか銀行カードやクレジットカードを紐付けできない人が続出した。

ちなみにもし紐付けできなかった場合は、各カードを発行している銀行に問い合わせるのがよい。

Apple Payを使える中国の銀行は?

Apple-Pay_CMB-China

既にサービスを開始している銀行

  • 农业银行
  • 中国银行
  • 上海银行
  • 中信银行
  • 建设银行
  • 广发银行
  • 招商银行
  • 民生银行
  • 工商银行
  • 兴业银行
  • 邮储银行
  • 浦发银行

提携に同意はしたものの、まだサービスが開始されていない銀行

  • 交通银行
  • 北京银行
  • 平安银行

等々だ。

 

中国大陸版ではないiPhone/iPadで、中国でApple Payを使えるのか?

 

NFC機能を搭載したスマートフォンによって擬似カードによる支払い機能を実現するには、現在のところ2種類しか存在しない。1つはハードウェアによるもので、ヴァーチャル・カード・モード(Virtual Card Mode)と呼ばれるもの。そしてもう1つはソフトウェアによるもので、ホスト・カード・モード(Host Card Mode)と呼ばれる。

ヴァーチャル・カード・モードでは、SE(セキュア・エレメント、Secure Element)が必要となり、SEでは重要な情報のセキュリティを保存し、決済業務の実際の過程に安全な実行環境を提供するものだ。NFCチップは非接触通信のための先端部分として、外部のリーダー・ライターからの命令をSEに伝達し、そしてSEがそれを処理してNFCコントローラに返す、という仕組みになっている。

ホスト・カード・モードではSEを提供する必要はなく、スマートフォン内部のアプリケーション或いはクラウド上のサーバがSEの機能を果たす。その時NFCが受け取ったデータはOSか端末内のアプリケーションを通じて、或いはモバイルネットワークからクラウドサーバでやりとりされる。

この2種類の方法の特徴は、スマートフォン内部に設置されたSEの制限を受けないということだ。そういうわけで、スマートフォン業界はセキュアコントロール関連の部品について争いをしなくて済むのがこの方法の優れたところといえる。

なお、中国大陸版のiPhoneでも、その他の地域のiPhoneでもApple Payそのものはサポートしているが、中国ではない地域で販売されたiPhoneでApple Payを使えるかどうかは、中国銀聯が既に中国国内で大規模に運用開始しているHCEクラウドクイックパス(Cloud Quick Pass、云闪付)システムにそのキーがある。

NFCチップの内部にあるSEプロトコルの差異は、EMCとPBOCという2つの仕様基準があることに根本的な原因があり、そのせいでSEの執行のためのプロトコル環境が異なり、互換性が低いのが難点だ。PBOCはEMVの殆どに互換性があるが、逆にEMVは殆どPBOCと互換性がない。

ちなみにEMV方式はVisaとMasterCardが策定した決済用ICカードの仕様のことで、PBOCは中国独特の仕様で、People’s Bank of China(中国人民銀行)の略だ。この2つとも、安全性は同等だ。

なお、中国版のiPhone 6/6 PlusおよびiPhone 6s/6s PlusにのみPBOC対応NFCチップが搭載されるというのは当ブログでも相当前にお伝えしたとおり。

ということで、理論上、中国銀聯のQuick PassのHCE云闪付のシステムはヴァーチャル・カード・モードかホスト・カード・モードで動くのであれば、どのNFCのSE仕様が使われていても関係ないということになるので、使えるということになる。

しかしもしSEの仕様が影響するのであれば、中国版Apple Payは、中国ではない国で販売されたiPhoneでは使えないということになる。。

実際に試した方はいらっしゃるだろうか。

 

中国の街中で、Apple Payが使えるお店はどこ?

当ブログでもさんざんお伝えしているとおり、Apple Payは中国ではモバイル決済サービスとしてはだいぶ後発となり、完全に【Alipay(支付宝)】と【Tenpay(微信支付)】の2強となっている市場に遅れて参加することになった。正直既存サービスの2つは既に都市部であれば街中のその辺の小さな売店や屋台のような小さな店でも使えるレベルまで普及しているが、Apple Payは全く普及できていない。

というのも、Apple Payは上記の通り、中国銀聯(ユニオンペイ、Union Pay)のモバイル決済サービス【Quick Pass(闪付)】対応のPOSレジが入っていないと使えないからだ。この2強のサービスは、普段使いでも何でもいいので格安Androidスマホが一個あれば受けられるし、バーコードだけでも置いておけばスキャンしてもらって払ってもらうこともできる)。

ちなみに現在中国大陸でApple Payを使えるお店=Quick Passが使える店は、基本的に大手チェーンに限られている。

以下がQuick Pass、つまりApple Payが使える実店舗のある店だ。ただし、都市によっては対応していないというしょぼい状況。リンクをクリックすると、それぞれのチェーン店舗の使える都市がわかる。最新情報や詳細は、こちらのQuick Passの公式ページへ。

リストの中の中国語名は、中国に暮らしている人は、どんなところかはわかるかと。。一応日本人が利用しそうなところには日本語を振っておいた。

家乐福(カルフール) costa(Costaカフェ) 满记甜品(香港系のスイーツ) 星巴克(スターバックスコーヒー、Starbucks) 宜家(イケア、IKEA) 全家(ファミリーマート)
麦当劳(マクドナルド)) 汉堡王(バーガーキング) 哈根达斯(ハーゲンダッツ) 太平洋咖啡(パシフィックコーヒー) 85°c(パン屋) 百佳
百果园(フルーツ屋) 利客来 红旗连锁超市 新合作超市 友客 武商量贩
中商平价 重庆重客隆 阜阳华联 新疆友好购物中心 新疆好家乡超市 丹尼斯
全日鲜 爱婴室 来伊份 金鹰百货 Today便利 冠超市
德克士(Dicos、フライドチキン) 苏果超市 中百仓储 肯德基(ケンタッキーフライドチキン、KFC) 屈臣氏(Watson’s) 步步高
加贝超市 新世纪百货 重百超市 欧亚集团 新一佳超市 喜士多
济南华联超市 利客隆 利群

 

中国のオンラインショッピングでApple Payが使えるサービスは?

これは基本的にApple Payに紐付けしたTouch IDのついたiPhone/iPad端末で、Safari等でオンラインショッピングサイトやアプリにアクセスして支払うという方法だ。以下のところが挙げられている。

国美在线、东方购物、南方航空、东方航空、遨游、途牛、新蛋网、小米商城、邮乐网、酒仙网、母婴之家、同花顺、学而思、本来生活网、农大大、自在客、六间房、厂家网、bus365、微播、黔城惠、农佳乐、秒唱、福建掌上客运、八爪团、微量网、上海证券报、蚂蚁车管家、嘉丽购、校随行、汉能、将爱网、喜尔乐分享、渝客行、健之佳……

最新情報や詳細は、こちらのQuick Passの公式ページへ。

 

中国でのApple Payには他に便利な使い方はないの?

Apple WatchもApple Payの支払いに使えますよ。。というのは当たり前として。

お店やオンラインショッピングでの支払いにApple Payが使える以外に、Apple Payは現在のところ、建設銀行と光大銀行と招商銀行でATMでの現金の引き出しに使える。カードを持っていなくてもできるので便利だ。

つまり、これらの銀行カードを紐付けすれば、iPhoneがNFC支払い機能をもった銀行カードに変わるというわけだ。

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上記の情報を提供している中国のiPhone修理屋のGeekBarは、最後に面白い言葉を残している。。

昼に同僚たちと一緒にご飯を食べに行った。そこのレストランではなんとApple Payをサポートしていたので、いつもは一緒にご飯を食べてもお金を出したがらない同僚達が(中国では割り勘の習慣があまりなく、誰かが一般に払うことが多いため)奪い合うようにApple Payで支払いをしようとしたことだ。やっと、今更ノキアの携帯を使ってるメリットがわかったよ。

お後がよろしいようで。。

(記事情報元:GeekBar

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