中国のEC最大手で、コングロマリットを形成しているアリババ(Alibaba、阿里巴巴)グループ傘下のアント・ファイナンシャル(Ant Financial、螞蟻金服)が水曜日から、Apple直営小売店(Apple Retail、かつてのApple Store)でアリペイ(Alipay、支付宝)が使えるようになると通知していることを、ロイター(Reuters)社が報じました。
Apple Payが苦戦する中、Appleはこれまでのオンライン決済から実店舗の決済にアリペイの採用を拡大した形に
現在まで、中国を含むApple直営小売店では、モバイル決済はApple Payしか受け付けていませんでした。モバイル決済の一次サービスを提供する会社として、Apple Payはお膝元のアメリカ合衆国ではかなりの普及を見せましたが、ヨーロッパやアジアではそれほど普及していません。そして中国ではほぼゼロに近い普及率といっても過言ではありません。
Appleは1年以上前から、iTunesとApp Storeでのオンラインデジタル決済では既にアリペイを採用していて、モバイル決済として使用できるようになっていました。今回それをApple直営小売店に拡げたことになります。
2014年からAppleとアリババは協力関係を結ぶ可能性もあった
Apple Payのこれまでの長く苦難な中国での普及への道を見てきた人にとっては、今回のApple直営小売店へのアリペイの導入はそんなサプライズでもないでしょう。2014年の時点では、Appleはアリババと組んでApple Payのサービスを中国市場に導入しようとしている、と伝えられていたこともありました。
Appleのティム・クック(Tim Cook)CEOとアリババの代表ジャック・マー(Jack Ma、馬雲)はかつてパートナーシップを結ぶことに興味を持っており、アリババも後にアリペイがバックエンドとしてApple Payを中国に普及させようという話し合いがあったことを認めています。
ただ、それらの話し合いは最終的に物別れに終わったようで、Appleは中国の消費者向けに、アリババから一切の支援を受けることなく、2016年から中国でApple Payサービスを開始しています。しかしその普及率の低さは正直目を覆わんばかりの惨憺たる有様です。
中国人が海外のAppleストアで製品を購入するのに便利になるかも
Apple直営小売店でアリペイの支払が可能になったことで、逆に中国人が外国(香港やマカオなども含む)に出て、比較的高額なApple製品を購入する際に利用されるかもしれません。これで更に中国人がApple製品を買いやすくなったといえるでしょう。
Appleは今後、中国本土ではアリペイとほぼ同じ普及率で、今後はアリペイを大きく引き離すといわれているテンセント(Tencent、騰訊)のWeChat Pay(微信支付)を採用する可能性はあるのでしょうか。個人的にはAppleが更に中国市場での販売台数を増やしたいのであれば、WeChat Payもサポートした方がいいと思いますが。。
記事は以上です。
(記事情報元:Reuters、Apple Insider)