Appleの共同創業者の1人、スティーブ・ウォズニアック（Steve Wozniak、以下ウォズ）はよくインタビューなどで一般の人が思いもよらないような言葉を発することで有名だ。

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最近、彼はもし彼ともう1人のAppleの共同創業者、スティーブ・ジョブズ（Steve Jobs）が2015年に二人とも20歳の若者だったとしたら、たぶんAppleには就職できなかったかもしれない、という発言をしている。

大学をドロップアウトしたジョブズとウォズでは今のAppleには就職できない

ウォズは最近、オーストラリアのメディア”フィナンシャル・レビュー（Financial Review）”の取材を受けたときに、「僕は最近Appleの人材募集の条件を見たんだ。そこで要求されている経験と学歴を見るに、ジョブズと僕は今はAppleで仕事を見つけるのは難しそうだね」と語っている。

その理由について彼が語るには、今のAppleやGoogle（グーグル）、Microsoft（マイクロソフト）のようなテクノロジー界のトップ企業では、ジョブズや彼のような大学を中退したような学生は採用しないだろうから、としている。しかし企業のそのような偏見は、テクノロジー企業に「世界を変えようとする人」を雇う機会を失わせるとも語っている。

Appleも保守的な会社になったということ？

ウォズは現在のAppleについて、会社がますます大きくなる段階では、製品デザインやソフトウェア方面により大きなリソースを傾けるべきで、数百万人（現在のAppleの場合桁が2つ違うと思うが、、）の顧客に対してサービスを提供することを考えなければならず、このことは会社の発展スピードを遅くするだろうと分析している。

ウォズはAppleが現在も引き続き優秀な製品を作り出そうとしていることを認めているが、往々にして新しくイノベーティブなアイデアというのは、例えば最近Appleが買収しているような小さい会社から生まれると指摘している。

画蛇添足 One More Thing

ウォズの語っていること、特に最後の方はまさに当を得ている発言だと思う。

現在のAppleは確かに世界で最も価値がある企業となっているが、それはスティーブ・ジョブズがいた頃のイノベーションがもたらした製品の延長線上にあり、その企業価値は株価に支えられている。
もちろん株価は売上や利益などの会社の業績評価によって決定されるものでもあるが、Appleは今や失敗が許されず、株主の顔色をうかがう企業に変化しているように思えないだろうか。

ドロップアウトした不良学生、そしてApple立ち上げ前にはいたずらっ子で反社会的な商業活動もしていた”二人のスティーブ”が立ち上げたAppleは終わった。もう2人とも、Appleにはいない。

今のAppleは、当然かつてビッグ・ブラザーのIBMを倒すためにイノベーションを起こそうとしていた小さい会社だったAppleとは違い、逆に自らが倒すべき対象だったビッグ・ブラザーになっているようにも思える。

会社の起業時期や、低迷した企業を立て直すときには、時には狂ったかのような人には思いつかないようなアイデアと方針が必要だったりする。しかし、会社もある程度の規模になってうまく回るようになると、そのようなアイデアと方針は逆に大きな失敗を生み出し、会社経営そのものを傾かせる可能性があるため忌避される。スティーブ・ジョブズが一回Appleを放逐されたのもそれが理由だし、身売り寸前で瀕死のAppleに戻ってきた後に数々の奇跡を生み出したのも、恐らくマーケティングリサーチなどくそ食らえの方針で素晴らしい製品の開発に邁進したからこそ成し遂げたことだろう。

しかしジョブズがいなくなった現在のApple社内で新しい製品を生み出すときには、徹底的なマーケティングリサーチを重要視するようになっている。なぜなら株価のために失敗は許されないからだ。そんなときには、優等生的な考え方と発言が求められる。現在のCEOのティム・クックなどは本当に良い例だ。先ほど当ブログでお知らせしたとおり、Appleがビッグデータやマーケティングリサーチのデータベースを持つ企業を相次いで買収していることも、そのことを証明していると思う。

逆に、今のAppleにはジョブズやウォズのような異端児・天才を必要としているのかもしれない。ただそんな人たちが入ってきて成功してしまったら、今のAppleの経営陣は駆逐されるだろう。経営陣はそれを最も恐れているのではないだろうか。

そんな中、4月にリリースされる予定の”Apple Watch”は現在のAppleの状況を鑑みてもかなり冒険をしたのではないかと思う。
Apple Watchが成功するか失敗するかによって、Appleの現在の経営陣の方針が正しいかどうか評価されるような気がする。今のAppleはどんなことをしても成功にもっていくような気もするが。。

記事は以上。

（記事情報元：WeiPhone）