中国最大にして世界最大のキャリア「中国移動(チャイナモバイル、China Mobile)」の4G(TD-LTEだが)サービスも始まり、今年からMVNOも始まる中国。
先週末に中国三大携帯キャリアの統計データが出揃った。
それによると、
現在唯一の4G 通話対応SIMをリリースしている中国移動の4Gユーザ数は810万人に増え、
中国電信(チャイナテレコム、China Telecom)のユーザが95万人減った。
もし中国工信部がFDD-LTEの許可証を出さないと、
現在4Gはデータ通信専用SIMをモバイルWi-Fiとの抱き合わせでしかリリースしていない中国電信と、
3GをHSPA+対応にして高速化を宣伝しているが、
結局は4Gを導入できていない中国聯通(チャイナユニコム、China Unicom)の将来は楽観視できない。
以下が2014年5月の主なデータだ。
■中国移動(チャイナモバイル、China Mobile)
4Gユーザの5月新規契約:331.1万、累計810.9万
3Gユーザの5月新規契約:431万、累計2億3,628万9千
モバイルユーザ全体の5月純増数:268.2万
モバイルユーザ総数:7億8,729万5千
■中国聯通(チャイナユニコム、China Unicom)
モバイルユーザ5月純増数:270.3万
モバイルユーザ総数:2億9,329万1千
そのうち、モバイルブロードバンドユーザの純増:334.8万(うち12.1万はモバイルWi-Fi等データ専用カードユーザ)
モバイルブロードバンドユーザ数累計:1億3775万8千
■中国電信(チャイナテレコム、China Telecom)
5月のモバイルユーザ減少数:95万
モバイルユーザ総数:1億8122万
2014年1月〜5月までのモバイルユーザ純減数:436万
3Gユーザ純増数:98万
3Gユーザ数累計:1億595万
三大キャリアのデータは全体的には4月からそれほど変化はしていないが、
4Gユーザについては変化が見られている。
これまでの動きを見ていると、
中国モバイル市場の現状とこれからは以下の4点にまとめることができるだろう。
1. 2G/3Gユーザが減少する傾向
中国電信の2014年第1四半期ではユーザが268万2千減少し、
今月だけでも95万人も減少した。
3Gユーザの減少は今後もこのペースが続くものとみられる。
また中国聯通の4月のモバイルユーザの増加数は89万5千でこの数字はこの5年の内最低で、
今月少しだけ増えた格好だ。
2. 4Gユーザの増加が加速
中国移動のユーザ数は331万1千も増え、全体で810万になった。
しかし中国移動の2014年の目標は5000万ユーザなので、
今後7ヶ月で毎月500万の増加がなければこの目標は達成できないことになる。
中国移動は現在既に32万もの4G(TD-LTE)対応基地局を設置しており300都市に展開しており、
今年後半では更に4Gの設置が加速するとみられている。
3. FDD-LTEの許可が出ないと、中国電信のモバイルユーザの減少は止まらない
中国聯通は今年3月から3GネットワークをHSPA+によって42Mに加速し、
何とかユーザの不満を抑えているといった状況だ。
中国電信は北京等の都市でFDD-LTE対応基地局を少しずつ設置しているが、
まだ正式な許可証がないためにまだテスト状態だ。
また中国電信の3Gネットワークも、
実際に使用している人達の情報によると以前よりも大幅にスピードダウンしているという。
中国電信はユーザに対し、現在FDD-LTEの許可申請をしており、
また中国の重点都市にFDD-LTEのネットワークを広げていると説明し、
また4G対応携帯を発売予定と発表することでユーザの引き留めを図っているが、効果は限定的だ。
4. マーケット規模の飽和
今後モバイルユーザ全体の増加数は減っていくとみられている。
工信部の最新のデータによれば、
中国全体のモバイルユーザ数はのべ12億5,600万を超えている。
そして中国は子供の数が2億人を超え、老人が1億人となっていて、
中国の総人口は15億人に満たない。
つまり、有効なユーザ数には殆どモバイル環境が行き渡っており、
今後ユーザ数の増減は3キャリア間でのやりくりになり、
新規ユーザの増加はますます減っていくことを意味する。
そして今後3キャリアによるネットワーク品質の競争が生まれてくることになるだろう。
そしてFDD-LTEの許可が出ない限り、
中国電信と中国聯通のユーザ減少に歯止めはかけられないとみられている。
記事は以上。