Appleは先日MacBook Pro 13インチをアップデートし、キーボードをMagic Keyboard(従来のシザースイッチ構造キーボード)に戻し、バタフライ構造キーボードの問題が新規で販売するデバイスに発生しないようにしました。しかしMacBook Proには受難が続いています。Appleは2016年のMacBook Pro 13インチモデルのディスプレイと本体を繋ぐケーブルに設計上の欠陥があってディスプレイが映らなくなることを認めており、無償交換サービスプログラムを提供していますが、15インチモデルについてはこれまで認めていませんでした。
しかしパリス法律事務所は15インチMacBook Proにもディスプレイが映らなくなる問題が発生し、それが13インチモデルと同様に設計上の欠陥が原因であると結論づけ、Appleには無償交換サービスプログラムを提供すると共に、これまでに有償で修理した分の返金をすることを望んでいます。
世界的に著名なiFixitによる分解レポートによれば、2016年モデルのMacBook Proには13インチモデルも15インチモデルも、普遍的にディスプレイと本体を接続するためのヒンジ内に入っているのは非常に繊細な「リボンケーブル」になっていることをつきとめています(下図参照)。そしてこのリボンケーブルは、MacBookを開閉するたびに摩耗し、短期間で消耗して破れ始め、故障を引き起こす可能性が高いのです。しかもこの問題は、AppleがMacBookそのものを開いて中身にアクセスすること自体を難しくしていて、非常に修理がしにくいのも難点です。iFixitはこの問題を2019年1月に指摘しています。
症状は、最初は「舞台照明」のような形で現れます(下図参照)。そして、そのまま放置して開閉を続けていくと、最終的にはディスプレイが点灯しなくなります。
パリス法律事務所の弁護は先週水曜日に、2016年から15インチMacBook Proでディスプレイを修理するために費やした850ドルのAppleからの払い戻しを希望するクライアントの代理人として、訴訟を起こしたことを発表しました。そのクライアント=原告のMahan Taleshpour氏は、2017年にデバイスを購入し、2020年1月からディスプレイが表示されない問題が発生したということです。
「Appleは13インチおよび15インチMacBook Proのすべてに同じ製品の欠陥を共有しているにも関わらず、Appleは無償修理プログラムにそれらのうちより安価な製品ラインのみしか適用していません」とパリス法律事務所の弁護士Alexander R. WheelerはAppleを非難します。
パリス法律事務所は、この訴訟を集団訴訟にすることを望んでいて、Appleに対して「原告と集団訴訟のメンバーに対し、MacBookの修理または交換に起因するすべての費用を返済してほしい」と求めています。
個人的にも、2つの製品が分解の結果明らかに同じ構造をしているのに、1つの製品にしか無償交換サービスプログラムを提供しないというAppleの態度は非難されても仕方がないと思われます。集団訴訟になる前に、無償交換サービスプログラムを提供するのが「潔い」と思われるのですがいかがでしょうか。
この2016年モデルのMacBook Proのヒンジ問題は、以前から「flexgate」と呼ばれ問題視されてきましたが、ここにきて更に消費者の怒りが噴出する形になったといえそうです。どうやら昨年までの13インチと15インチのMacBook ProのTouch Bar付きモデルはキーボードといいディスプレイといい、設計に問題が多いデバイスということがいえそうです。今後も中古で買うのもできるだけ避けた方がいいと思われます。
記事は以上です。
(記事情報元:Cult of Mac)