事件は現場で。

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今日は客先クレームがあり、
松江にある某エンドユーザーの工場へ出かけた。

金物が錆びている、全部無償で取り替えろ!
というのだ。

会社や工場のトイレで、
仕切りの下が床が水洗いしやすいように隙間が空いているのを見たことがないだろうか。
その隙間を空けるための金物が、
脚金物という。
今回錆びたというはその金物。
しかも、納品し、
新しい工場棟に取り付けた数日後に、
取り付けた150個全部が錆びていて、
エンドユーザーの検収段階でNGになったというのである。

現場を見ていない段階だが、
全部に錆と言われるとさすがに素材を疑わざるを得ない。
この金物、製品仕様はSUS304。
簡単に言うとステンレス、その中でも腐食性に強いものである。
もちろんステンレスは絶対に錆びないというわけではないが、
よっぽどのことがなければそんな簡単には錆びないものである。
委託先からはまず材料証明を取り寄せる。

そして後は現場検証だ。
本当は営業(うちの中国人)が見に行けばいいのだが、
なぜか技術が来てくれという要望もあり、
営業と自分と技術担当(日本人)の3人で出かけていった。

で、現場。
確かに錆が発生している。
しかし脚のプレート部分も、
胴体のパイプ表面も茶色い錆が付いている。

まずは写真を撮る。
確かに、茶色い錆だ。
さてそこで待てよ、と思う。
他の金物はどうだろう。
トイレ内には排水溝の金物もある。
(うちが入れた訳じゃないが)
それを探してみたら、
予想通り。
その排水溝の金物にも錆が発生している。
またトイレ入り口のドア枠の下側のパッキンの周りにも、
錆が発生している。
それらの錆は、
擦ってみるととれる上に、
素材そのものに錆がいっているわけではないこともわかった。
また表面にはぞうきんで拭いたような跡や、
水滴のように錆がついていた箇所もあった。

これでわかった。
つまりこれは、
恐らく殆ど100%の確率で、
検収前の清掃業者による掃除の際に、
塩素系の洗剤か何かで拭いて、
喚び錆がついてしまったのだろうと判断できる。

客先に掃除しましたか、何を使って掃除しましたかと聞くと、
確かに掃除はした、水を使って掃除したとの回答。
でも何年も使っていたわけでもない状況で、
1回くらいの水拭き掃除でSUS304錆びることはないし、
排水溝やドア枠まで錆びたのも説明できないはずだ。

最終的な報告内容は後日提出予定だが、
委託生産先の材料証明もちゃんともらっているし、
現場の状況を考えると、
基本的には掃除業者の責任ということになりそうだ。
ということでうちは無償支給の処理はしなくても済むことになる。

やはり事件は現場で起こっていて、
現場に行かないとわからないなあ、というお話。
まあ慣れた人だと状況を聞いただけで上のことくらいはわかるらしいけれど。

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