マーケティングリサーチ機構のMixpanelの最新情報によれば、Appleが9月17日にリリースした最新のモバイルデバイス用OS【iOS 9】のアップデート率は24時間以内に12%に達し、昨年リリースされたiOS 8のアップデート率を超えていることがわかった。
iOS 9のアップデート率は、リリース直後停滞したが、その後強い反発があり上昇したという。
Mixpanelの創業者のSuhail Doshi CEOによれば、iOS 9のアップデートの速度がiOS 8を上回ったのは、iOS 9のファイル容量が小さくなったことで、ダウンロードに必要な空き容量の要求が下がったからだと指摘されている。なお、iOS 9のアップデートに必要な容量はiOS 8の1/3.5ほど小さくなっている。この差は非常に大きい。
なお、iOS 9、iOS 8、iOS 7のリリース後18時間内のアップデート率の比較は以下のグラフの通りだ。実はiOS 9はiOS 8よりも若干上回っているだけで、iOS 7を大きく下回っている。
Doshi CEOは、「Appleは今年間違いなく大きなメリットをもたらした。それは今年リリースされたアップデートの容量は去年より減少したと言うことだ。Appleユーザは毎回アップデートのたびに容量を減らす努力をせねばならず、Appleもそのことには懸念をしていたようだ。ただ、iOS 9のアップデート率がiOS 7を下回ったのは、人々がアップデートをしようとしたときにサーバがそれに追いつかず、ユーザのアップデート要求を満足できなかったからだ」と述べている。
画蛇添足 One more thing…
Doshi CEOのいうことには一理ある。確かにiOS 9のアップデートサーバはかなりパンク気味だった。しかしそれは毎年同じようなことが起こっていて、今回のiOS 9だけに限った話ではない。それに、iOS 9がアップデート容量が少ないことを事前に知っていた人はごく少なかっただろう。
個人的には、iOS 9とiOS 8のアップデート率がiOS 7を大きく下回ったのには別の原因があるのではないかと思う。
最大の原因は、iOS 9やiOS 8はあまり変化を感じられないアップデートだからということだ。iOS 9はiOS 8の、そしてiOS 8はiOS 7のマイナーアップデートバージョンのように見える。つまりiOS 9はiOS 7からほとんど変わっていないように外からは見えてしまう。見た目にそれほど大きな変化がなく、新機能も限定的だ。iOS 8ではサードパーティへのIMEの解放をした。iOS 9での大きな変化はiPad Air 2では画面分割によるマルチタスク機能が追加されたが現在のところ他の機種では実現できないし、フォントの変更やNewsアプリの追加(一部の国のみ、日本はなし)くらいなもので、あとは細かい小手先の変更だけだ。もちろんぐっと便利になるようなものもあるが、いまいちインパクトに欠けるのだ。
iOS 7はiOSの歴史上最大の全体のデザインの変更があり、iOS 6までのスキューモーフィズムからフラットデザインに変更されたことが大きかった。それに比べるとiOS 8、iOS 9の変化はあまりにもパンチに欠ける。
更にiOS 9では通信関係仕様が変わり、MVNO業者が提供したプロファイルを入れて使っていた人が急に使えなくなる、またSIMフリーiPhoneを特定のキャリアで使うとPDP認証エラーが出て通信ができないというような不具合も発生している。一部のアプリでは不具合も発生しているようだ。
Apple製品は、よほどの物好きでなければ初物は避けるべし。いつも通り、周辺がiOS 9に対応するまで、少しアップデートを待った方がいいかもしれない。
記事は以上。
(記事情報元:MacRumors)