スマホやタブレットなどのモバイルデバイスを、単にデバイスの数で比較したら、Androidデバイスの方がiOSデバイスよりも圧倒的に多い。なぜならAndroidデバイスはiOSデバイスに比べて基本的に中・低価格路線だからだ。しかしデバイスの数が多いからといって、多くの人がそのプラットフォームにより多くのお金を落とすとは限らない。では、具体的にはどのような数字になっているのだろうか?
iOSユーザはAndroidユーザの2.5倍アプリにお金を使う
AppsFlyerのデータによると、iOSユーザが毎月アプリ内課金(in-app purchase、IAP)で使う金額は、Androidユーザに比べて2〜3倍多いことがわかった。このデータは、AppsFlyerがモバイルプラットフォームで$3億ドル(約307億円)ものアプリ内課金のデータを解析した結果判明したもので、対象ユーザ数は1億人を超えるというからかなり信頼に足る数字といえるだろう。
上記のAppsFlyerによる2016年4月〜5月の比較グラフを見れば一目瞭然だが、iOSユーザの方がAndroidユーザの2倍(平均では3倍近く)アプリ内課金でお金を使っていることがわかる。つまりiOSユーザの方がAndroidユーザよりもアプリにお金をより多く使う傾向にあるということだ。
iOSデバイスはAndroidデバイスよりも端末の値段が高い。つまり収入が多く余裕がある層がより多くiOS端末を買っていることも、原因のひとつともいえるだろう(一方、中国などではメンツのために腎臓を売ってまでiPhoneを買う若者がいて社会問題になっているが)。
また、他にも面白い傾向があるので紹介したい。
ゲームユーザは支払いが圧倒的に多い傾向に
またAppsFlyerのデータによれば、世界的にゲームユーザ(ゲーマー)がアプリ内購入で支払う毎月の支出額の平均は$9.39ドルで、ノンゲームユーザ(ノンゲーマー、$0.32ドル)の30倍になっていることがわかった。iOSにはアプリ内課金がある魅力的なゲームがAndroidより多いのだろうか。
ただし、ゲーマー全体のうち、たったの3.5%の人しか課金していないこともわかっている。つまり、ゲーマーで課金する人は圧倒的に大量に消費するが、ゲーマーの中でも基本的には殆どの人が無料ゲームで遊んでいるということだ。
アジアのユーザが他地域より支払いが多い
AppsFlyerは世界の地域別の分類もしているが、そのうちアジア地域のモバイルユーザが世界で最もアプリ内課金でお金を多く使っていることがわかった。アジア全体の毎月の平均消費額は$0.7ドルに対し、世界平均は$0.5ドル。またゲームがアジア地区ユーザの最も消費額が多いジャンルで、その他の地域の平均に比べて75%も多いという数字が出ている。
中国人はメンツのためにかなりアプリ内課金をするというのが私個人的な肌感覚だ。周りに自慢したい、周りよりも上でいたい。そんな気持ちが、際限なくユーザに課金させるのだ。ゲームメーカーもそのような中国ユーザの”射倖心”を刺激するようにゲームを作っているといえるだろう。
世界中のアプリが生み出す利益の58%がiOSデバイス上での購買
マーケティング機構のIDCが今年5月に出したレポートによれば、2015年末までに、世界中のモバイルデバイス上にインストールされたアプリの数を全て合計すると1,560億個に近くなるといわれ、それによって広告を除いて$342億ドル(約3兆5,064億円)の利益を生み出しているというが、そのうちの58%がiOS上で発生したものだという。
もちろん、その莫大な儲けの一部はAppleの儲けになっていることも忘れてはならない。そんなApp Storeの構想にかのスティーブ・ジョブズは最初は反対していたというのだから、Appleは危うくとんでもなく大きなドル箱を失うところだった。幸いにも周囲の説得に妥協してジョブズはしぶしぶ同意した。
画蛇添足 One more thing…
以下は完全に個人的な感想だが、AppleのiOSデバイス(iPhone、iPad、iPod Touch)ユーザの消費能力の高さには驚かされるばかりだ。
Appleのデバイスを使う人は全体的に射倖心が高いことと、またいいものにはお金を払うことを惜しまないという傾向があるような気がする。それに比べ、Androidユーザはとりあえずスマホであれば何でもいいとか、安く或いは無料で済ませられるものはそれで済ませたいという傾向があるのかもしれない。そのような価値観の違いも、消費金額に影響してくるような気がする。
記事は以上。
(記事情報元:gamesindustry.biz、AppsFlyer)