TechCrunchの報道によると、イギリス・ロンドンのガトウィック(Gatwick)空港が、利用者が2つのターミナル間をより便利に行き来することができるように、空港内に2000個ものビーコン(beacon)を既に設置したという。
1つ1つのビーコンには加速度計、フラッシュメモリ、ARMアーキテクチャの(つまりモバイル用の)マイクロプロセッサとBluetoothモジュールが入っており、小さなボタン電池で2年間稼働するという。
このプロジェクトの目的は、初期段階ではまずスマートフォンユーザに空港内での位置を確実に把握するのに役立てるとし、その次の段階ではAR(拡張現実)テクノロジーによってiPhoneなどのスマートフォンで実際の写真と共に矢印などを表示して、搭乗口などへの行き先をわかりやすく示すようにするという。
そして第三段階では、空港は更に航空会社と提携して、乗客が乗る飛行機や時間を間違えないようにしたり、航空会社にいつ預かり荷物を下ろしたらいいのかのタイミングを知らせたりするのに役立たせるという。空港によれば、ビーコンによる室内測位システム機能を空港の関連アプリと連動させ、乗客のデバイスにいつ搭乗したらいいのかのタイミングをプッシュで案内したり、空港自身のアプリやサービスをより乗客に使いやすくしてもらいたいという狙いがあるようだ。
イギリスの航空会社もビーコンの基地局設置を計画或いは既に始めており、ヴァージン・アトランティック航空はロンドンのヒースロー空港またはいくつかの小型の空港でビーコンの有効性をテストしているところだという。
小龍的にはこう思う:AppleもiBeacon機能を大々的に宣伝するチャンス?世界的に拡がったら孫正義もホクホク?
AppleもiBeaconという名称で、Bluetoothによって屋内測位(位置情報測定)や情報のやりとりができるシステムを実は既にiOS 7の時代から使えるようになっている。これを使うことで、店舗などは近くに来たiPhoneユーザにプッシュでお得な情報を送るなど、様々な使い方が考えられる。ただ、iOS 7の時代、つまり既に4年以上前に採用された技術とはいえ、それほど存在が知られていないのも事実。
端末のBluetoothを常にオンにしてもらう必要があるなどのハードルがあるものの、特に大きく構造が複雑な空港や駅、博物館や美術館などの屋内・構内で、GPSがうまく動かずに測位ができない場合などにはビーコンは非常に役に立つ。そして位置情報と交通機関の運行状況、館内の展示物情報やルート案内などの機能を使ってもらう代わりに、更に商業的なアプローチができれば施設側にとっても御の字だろう。更に施設側にとっては防犯にも役立つというメリットもあるだろう。Appleにとっては、iBeacon機能の大々的な宣伝と、Apple Payでの支払と組み合わせれば更に商業的なチャンスを広げることもできるだろう。
ガトウィック空港はそれらを一気にではなく、段階的に導入しようとしている。なかなか頭がいいと思う。もしそこでうまくいったら、世界中の空港にもビーコン設置が拡がっていく可能性がある。そして風が吹けば桶屋が儲かる的な話だが、世界的にビーコン基地局設置が拡がったら。。ARMのプロセッサが大量に売れるわけで、ARMを買収したソフトバンクとその代表の孫正義氏にガッツリお金が入ってくる、ということになりそうだ。
記事は以上。
(記事情報元:TechCrunch、Apple Insider)