インテル(Intel)は木曜日に2018年第三四半期(以降18Q3)の業績報告をしましたが、その数字は多くのアナリストの予測を超える好調なものでした。アナリスト達は、米中貿易戦争の影響があるとみていたようですが、どうやら利益率の高いデータセンタービジネスと、堅調なPC用チップ、そしてiPhone向けのモデムチップの伸びによって、その不安要素を吹き飛ばしたようです。
ロイター(Reuters)は、インテルはQ2では落ち込んでいたPC用チップの力強い売上げと、iPhone用モデムチップがその業績を押し上げたとしています。
そして更にインテルもQ3で売上が加速したのは、モデムチップの好調によるものとしていて、131%成長したとしています。そしてこの急成長は、Appleがインテルのライバルメーカー・クアルコム(Qualcomm)と特許使用量をめぐる係争関係にあることから取引をやめ、100%インテルに発注したことに起因しています。
インテルの暫定最高責任者、ボブ・スワン(Bob Swan)氏は、「モデムとメモリの好調によって、当社は更に大きな市場に展開することができるようになった」と語っています。同社の利益は39%伸びています。
AMDが次世代7nmプロセス採用のプロセッサを開発するというニュースが流れていますが、インテルは未だに10nmプロセスで四苦八苦しているところです。ただ、AMDも今年1月には7nmプロセス採用プロセッサを消費者向けとビジネス市場のデスクトップ・ノートPC・サーバ向けにリリースするとされていましたが、未だにまだリリースできていないのが現状です。現在7nmプロセスの製品をリリースできているのはTSMCだけということになります。
また、インテルはバイドゥの巨大なデータセンターや、コンシューマ向けPC工場の顧客が中国に大量にいるにもかかわらず、米中貿易戦争の影響をかなり楽観的に捉えているようです。
更に、インテルの”Optane Memory”チップ事業がマイクロン・テクノロジー(Micron Technology)に買収される件についても、インテルのスワン氏は今後もその特許や権利を保持していて共同で使えるようにする道を探っていること、またその工場からも今後18〜24ヶ月の間は購買ができることから、代替手段を見つけるには十分な時間があるとスワン氏は語っています。
10nmプロセスでの苦戦によってボトルネックが発生し、出荷の遅れなどで昨年から今年にかけてかなりピンチに陥ったインテルですが、AppleのiPhoneのモデムチップ独占受注により息を吹き返してきているといえるのかもしれません。そして、それだけの発注があったということは、今年のiPhone XS/XS Maxや昨日発売されたiPhone XRも、相当な台数が製造されたことが推測され、下馬評よりもAppleの実際の出荷台数は多いかもしれません。来年のiPhoneからは5G通信に対応するという情報もあり、インテルも5G対応モデムチップの開発に余念がないことと思います。
ただ、Appleは今後数年のうちにリリースすることを目標としてモデムチップさえも自社開発をしているという情報もありますし、Macシリーズに搭載するメインチップ(SoC)についても、ARMベースで自社開発しているという情報も出てきています。いずれはAppleもSoC(CPU・GPUやその他のファンクションチップを含む)やモデムチップ、メモリなど根幹部品を自社開発できるようになれば、インテル・クアルコムなどチップメーカーに頼らずに自社製品をリリースできるようになります。そこではTSMCがますます大きな役割を果たすことになるかもしれません。
記事は以上です。
(記事情報元:Reuters via Patently Apple)