紺屋の白袴!Appleのプログラム言語”Swift”が公式iOSアプリやOS Xにさえ殆ど使われない理由とは

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Appleは2014年6月のWWDCで、全く新しいプログラミング言語”Swift”を発表した。そして現在、Swiftは最もホットなプログラミング言語ランキングにおいてObjective-Cを抜いて14位になっている。そしてもちろんAppleはデベロッパに対して、できるだけSwiftを使うように推奨してきた。では、Apple自身のプログラムやアプリケーションはどれくらいSwiftによって書かれているのだろうか

2014年のWWDCでAppleのクレイグ・フェデリギ上級副社長がSwiftについて説明
2014年のWWDCでAppleのクレイグ・フェデリギ上級副社長がSwiftについて説明

iOS 9.2プリインストールアプリの中では計算機アプリしかSwiftを使って書かれていない

一昨日、デベロッパのRyan Olson氏がMedium上で発表した文章から、AppleはSwiftをリリースしたにもかかわらず、iOS 9.2の全てのプリインストールアプリ(ネイティブアプリ)のうち、”計算機”アプリだけしかSwiftで書かれていないことが判明した。Olson氏は他のアプリのフレームワークには、何一つとしてSwiftのコードが含まれていないとしている。“計算機”アプリはSwiftのダイナミックリンクライブラリ(Dynamic Linkable Library)とドッキングしていなければならないが、実際はiOSにはSwiftのダイナミックリンクライブラリが含まれていないという。なぜならABI(アプリケーション・バイナリ・インターフェイス、Application Binary Interface、この場合はアプリケーションとライブラリの間のインターフェイスのこと)がまだ不安定だから、とのことだ。

他にも、App StoreでAppleが公開している公式アプリの内で、Swiftコードで書かれているのはApple WatchアプリとWWDCに関するアプリのみだという。

 

OS X El CapitanではDockのみSwift使用

そしてOS X 10.11 El Capitanにおいては、Appleのクレイグ・フェデリギ(Craig Federighi)ソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長(シニア・ヴァイスプレジデント)が著名なブロガーJohn Gruber(Darling Fireballの著者)とのインタビューで自ら説明しているとおり、現在のところDock機能のところにしかSwiftコードが使われていないという。

 

Apple自身の公式アプリやOSでさえSwiftが使われない理由とは

Appleのアプリ開発エンジニアは現在のところ自由にプログラム言語を選択することができ、Objective-Cでも少しずつSwiftの特性を追加することができるようになってきているといい、そのことがSwiftの使用率が低いままの原因でもあるという。また上記の通りABIが不安定であることも普及率を下げている原因だ。もしAppleが安定したABIを搭載したSwift 3をリリースすれば、Apple自身の公式アプリやプリインストールアプリ(ネイティブアプリ)にもSwiftが使われる日が来るかもしれない。

 

画蛇添足 One more thing…

本当の意味での普及をさせるには、AppleがSwift以外のプログラム言語を禁止することが最も効果的と思われるが、それはたぶん現実的ではないのだろう。

いずれにせよ、現在のAppleはiOSもOS Xもまだまだ【紺屋の白袴】状態だということだ。エンジニアやデベロッパにとって、これまで使い慣れたプログラム言語から全く新しい言語への切り替えと習得は一朝一夕でできるものではなく、恐らくAppleの予想外に大きなリソースを割く必要があったからなのかもしれない。それが自社内のエンジニアであろうとも。

記事は以上。

(記事情報元:Medium

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