折りたたみiPhone Ultra直前情報まとめ。35万円前後か、生産は「1日数百台」

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Appleの「Surprise and shine」イベントは9月9日、日本時間では10日の午前2時です。目玉は初の折りたたみ、iPhone Ultra。本誌はこの1か月、Touch ID採用、試作機の評判、幻のApple Pencil、画面構造、発売時期、価格予測と追ってきました。発表4日前の今日は新しい材料が2つ出ています。ひとつはボーダフォン・エジプトのサイトに一時掲載された発表前の価格(現行機の1.65倍)、もうひとつはNikkei Asiaが伝えた「8月下旬の生産は1日数百台」という報道です。この記事では、いま分かっていることを確度付きの一覧表にし、価格と生産の2つの材料を数字で確かめ、まだ分かっていないことを5つに絞ります。8月末に出したApple Watch Series 12 / Ultra 4のまとめと同じ形式です(円換算は1ドル=156円、1元=23.2円、1香港ドル=19.9円、1エジプト・ポンド=3.06円。以下同じ)。
暗い背景に開いた折りたたみスマートフォンが立ち、その隣にチェックリストを書いたノートとペン、虫眼鏡が置かれたイメージ画像。発表前に分かっていることと分かっていないことを一覧にする記事のアイキャッチ

一覧表、直前の見立てと確度

確度は筆者の判断。「高」は複数の独立した情報源が一致、「中」は有力な情報源1つか一致が不十分、「低」は単発または矛盾あり
項目直前の見立て確度主な情報源
名前iPhone Ultra高ブルームバーグ、9to5Mac
画面(開いた状態)7.7〜7.8型、4:3に近い縦横比高ブルームバーグ(9月1日は7.8型、9月4日は7.7型)
画面(閉じた状態)5.3〜5.5型高同上
厚さ開いて約4.5mm(クオ氏は4.5〜4.8mm)、閉じて9〜9.5mm中MacRumors、クオ氏
折り目残るが最小限。Samsungの最新機と同等中ガーマン記者(試作機を触った人の話)
生体認証電源ボタン一体のTouch ID。Face IDなし高ブルームバーグ、MacRumors
背面カメラ48MP広角+48MP超広角の2眼。望遠なし高ブルームバーグ、モックアップ
前面カメラ内側は画面下カメラ(24MP説)低MacRumors
チップA20 Pro(2nm)高ブルームバーグ、TrendForce
モデムApple製C2。C2はミリ波非対応の可能性があり、米国向けはQualcomm製の可能性も中ブルームバーグ、MacRumors
メモリ12GB高TrendForce(Samsungから大量発注)
容量256GB / 512GB / 1TB中各社の予測
素材・ヒンジチタンのフレームとガラスの背面、液体金属(リキッドメタル)のヒンジ中MacRumors、リーカー
画面の構造超薄型ガラス2枚の積層(折り目対策)中The Elec
色シルバー系の白と、濃い紺の2色。赤は偽物中ガーマン記者
SIMeSIM専用(全市場)高ガーマン記者、クオ氏
MagSafe対応中ガーマン記者(「MagSafeはある」)
アクションボタンなし。音量ボタンは上辺中モックアップ、リーカー
Apple Pencil短いペンが試作されたが見送り中本誌8月31日
価格2,000ドル前後。ボーダフォン・エジプトの掲載から逆算すると1,999ドル(日本なら35万円前後)。各社の予測は1,800〜2,500ドル中GSMArena、各社の予測(下の節で試算)
生産8月下旬で1日数百台。年内1,000万台の計画とは桁が2つ違う中Nikkei Asia(下の節で計算)
発表9月9日(日本時間10日午前2時)高Apple公式(イベント告知)
予約・発売予約は9月12日(土)が有力。発売は18 Proと同時か直後、ただし初回分は極少で米国先行の段階発売も低ブルームバーグ、Nikkei Asia

形、開いて7.7型・閉じて5.3型の「短くて幅広い」本

ブルームバーグのガーマン記者は9月1日のインタビューで「閉じて5.5型、開いて7.8型」、9月4日の記事では「7.7型と5.3型」と書いています。数字が少し揺れているのは、角の丸みを含めるかどうかの測り方の違いでしょう。いずれにせよ開くとiPad miniより一回り小さい4:3に近い画面で、閉じた状態は普通のiPhoneより短く幅広い。ケースメーカーのモックアップも同じ形を示しています。厚さは開いて約4.5mm。閉じた状態はミンチー・クオ氏の予測で9〜9.5mmで、SamsungのGalaxy Z Fold 7(開いて4.2mm、閉じて8.9mm)とほぼ同じ水準です(MacRumors)。

折り目は「残るが、Samsungの最新機と同等まで目立たない」というのがガーマン記者の評価。当初出回った「折り目が消える」という話は現実的でなかった、とMacRumorsも書いています。画面の構造は超薄型ガラス2枚の積層で、来年以降Android勢にも広がる見込みです。

削られたもの、Face ID・望遠・アクションボタン・物理SIM・ミリ波

MacRumorsが9月4日に「Ultraに載らない可能性が高い5つ」としてまとめたのが、次の項目です(MacRumors)。

  • Face ID: 薄すぎてTrueDepthカメラが入らない。電源ボタン一体のTouch IDで代替
  • 望遠カメラ: 背面は48MPの広角と超広角の2眼。ガーマン記者は「一番がっかりされるのはカメラ」と予告
  • アクションボタン: 左側面は何もない。電源ボタンは右、音量ボタンは上辺。基板の配置のためとリーカーは説明
  • 物理SIM: 全市場でeSIM専用。ガーマン記者とクオ氏の見方が一致
  • ミリ波5G: Apple製のC2モデムが対応しない可能性。米国向けだけQualcomm製のモデムを使う可能性も伝えられている

Touch IDについては8月に詳しく書きました。折りたたみでFace IDを捨てるのはSamsungも同じ選択で、薄さを取れば認証は指紋になる、というのが業界の相場です。

中身、A20 Pro・12GB・C2モデム・iOS 27の2画面

チップは18 Proと同じ2nmのA20 Pro、メモリは12GB(TrendForceによればSamsungのLPDDR5Xを大量発注)。ソフトはiOS 27で、開いた画面に2つのアプリを左右に並べ、間でドラッグ&ドロップできる「iPadに近い」使い方が入ります。ガーマン記者は「Androidに対する初日からの武器」とまで言っていますが、これはiPadで10年やってきたことをiPhoneに持ち込む話なので、Appleにとっては新技術というより手持ちの再利用です(9to5Mac)。

iOS 27には、1つの電話番号を2台のiPhoneで使う「iPhone Handoff」も入ります。Ultraと手持ちのiPhoneの2台持ちを想定した機能で、昨日の記事で整理しました。ただし対応キャリアは当面、米国のT-Mobileとドイツテレコムだけです。

色、白と紺の2色。赤は偽物

色はシルバー系の白と濃い紺(ダークインディゴ)の2色という見方が有力です。8月末に出回った赤いUltraのレンダリングは、ガーマン記者が「小米の画像が元」と指摘し、偽物と見られています。18 Proの「黒かシルバーか」論争と違い、Ultraは無彩色2色で落ち着きそうです。

価格、ボーダフォン・エジプトの誤掲載から逆算すると1,999ドル

価格の予測はUBSの1,800〜2,000ドルからIDCの平均2,550ドルまで幅がありました。そこに今日、新しい材料が出ています。エジプトの通信キャリア、ボーダフォン・エジプト(Vodafone Egypt)のサイトに、発表前のiPhone 18 Pro・18 Pro Max・iPhone Ultraの価格が一時掲載され、GSMArenaが報じました。見つけたのはYousif Ayman氏で、ページはすでに削除されています。金額はエジプト・ポンド建てで、Ultraが15万5,750ポンド、18 Proが9万8,000ポンド、18 Pro Maxが10万5,000ポンド。同じサイトの現行機と比べると、Ultraは17 Pro Maxの1.65倍、18 Proは+10%、18 Pro Maxは+11%です。

エジプト・ポンド建て。円換算は実勢レート1ポンド=3.06円で、エジプトの関税・税込みの価格なので日本の値段の目安にはならない
モデルボーダフォン・エジプトの掲載価格同サイトの現行機(256GB)比率
iPhone 18 Pro98,000ポンド(約30万円)iPhone 17 Pro 88,800ポンド+10.4%
iPhone 18 Pro Max105,000ポンド(約32万1,000円)iPhone 17 Pro Max 94,400ポンド+11.2%
iPhone Ultra(折りたたみ)155,750ポンド(約47万7,000円)iPhone 17 Pro Max 94,400ポンド+65.0%(18 Pro Max比では+48%)

エジプト・ポンドをそのまま円に直すと、Ultraは約47万7,000円、18 Proでも約30万円になりますが、この換算に意味はありません。ボーダフォン・エジプトの現行iPhone 17 Pro Maxは9万4,400ポンド、実勢レートで1,853ドル相当。米国の1,199ドルより55%も高いのがエジプトの普段の値段です(関税と税金、通貨安の影響。GSMArenaも「国ごとに税金が違うので、通貨の直接換算はほとんど当てにならない」と注意しています)。だから見るべきは金額ではなく、同じ店の現行機との比率です。Appleが各国の値段を一律の率で上げるなら、この比率は世界共通になるはずです。比率を各国のApple公式ストアの現行価格(9月5日時点、256GB)に掛けたのが下の表です。日本は7月18日の値上げ後の価格を使っています。
現行価格はApple各国ストアの9月5日時点(日本は2026年7月18日の値上げ後)。「見立て」はAppleの端数の付け方(99ドル、800円、999元)に寄せた筆者の推定
モデル米国日本中国本土香港
iPhone 17 Pro(現行、256GB)1,099ドル194,800円8,999元9,399香港ドル
iPhone 18 Pro(+10.4%を機械的に)約1,213ドル約214,980円約9,931元約10,373香港ドル
同、Appleの端数に寄せた見立て1,199ドル214,800円9,999元10,399香港ドル
iPhone 17 Pro Max(現行、256GB)1,199ドル214,800円9,999元10,199香港ドル
iPhone 18 Pro Max(+11.2%を機械的に)約1,334ドル約238,900円約11,122元約11,344香港ドル
同、Appleの端数に寄せた見立て1,299ドル239,800円10,999〜11,499元11,399香港ドル
iPhone Ultra(17 Pro Max比+65%を機械的に)約1,978ドル約354,400円約16,497元約16,827香港ドル
同、Appleの端数に寄せた見立て1,999ドル354,800円16,999元16,999香港ドル

米国の18 Proは約1,213ドルで、Appleの値付けの癖(99で終わる)に寄せれば1,199ドル。ブルームバーグのガーマン記者が伝える「100ドル値上げの1,199ドル」とぴたり重なります。18 Pro Maxは約1,334ドルで、素直に丸めれば1,299ドル(+100ドル)。1,349ドルという中途半端な数字をAppleが使うとは考えにくいので、1,299ドルが本命でしょう。そしてUltraは約1,978ドル、丸めれば1,999ドル。「2,000ドルを切る」ことになります。GSMArena自身も「価格は切りのいい数字になるのが普通なので、最低構成は2,000ドルだろう」と結論づけています。

日本が興味深い。18 Proの試算値21万4,980円は、今のiPhone 17 Pro Maxの価格21万4,800円とほぼ同じです。Ultraの35万4,400円は、今の17 Pro Max 2TBの35万4,800円とほぼ同じ。つまりAppleの日本の価格表にすでにある数字に収まります。円換算では1,999ドル=約31万2,000円ですが、Appleは日本の価格を税込で1ドル=約177円相当のレートで付けている(税抜なら約161円で実勢並み)ので、日本で買う人が見る数字は31万円ではなく35万円前後と考えておくのが現実的です。7月の値上げで日本価格はすでに実勢レートに合わせ直されているため、9日の発表でドルの値上げ率がそのまま乗る、というのが本誌の読みです。

Ultraの最低価格について出ている予測を、安い順に並べたのが下の図です(MacRumorsのまとめと各社の発表から)。
折りたたみiPhone Ultraの最低価格の予測を米ドルで横一列に並べた図。UBSは1,800〜2,000ドル、ボーダフォン・エジプトの掲載から逆算した値は1,980ドル、ブルームバーグのガーマン記者は2,000〜2,500ドル、ミンチー・クオ氏は2,000〜2,500ドル、TrendForceは2,099〜2,299ドル、富邦は2,400ドル、IDCの2027年の平均販売価格は2,550ドル。2,000ドルの位置に点線。ボーダフォンの値は最も安い側にある

  • UBS: 1,800〜2,000ドル
  • ボーダフォン・エジプトから逆算: 約1,980ドル(1,999ドルか)
  • ブルームバーグ(ガーマン記者): 2,000ドル超、容量によっては2,500ドル
  • ミンチー・クオ氏: 2,000〜2,500ドル
  • TrendForce(9月3日): 2,099〜2,299ドル、最上位構成は3,000ドル超
  • 富邦(Fubon): 2,400ドル
  • IDC: 2027年の平均販売価格で2,550ドル超(最低価格ではなく、売れた構成の平均)

ボーダフォンの数字は、UBSのレンジの上端、ガーマン氏とクオ氏のレンジの下端、TrendForceの下限より100ドル下、という位置です。MacRumorsも「1,999ドルを下回ることはない」という言い方をしており、1,999ドルは各社の見立ての「床」に当たります。昨日の記事で「Ultraの最低価格が2,099ドルを切るか。切ればAppleがかなり吸収したことになる」と書きましたが、エジプトの数字はまさに「切る」側です。

とはいえ、通信キャリアの発表前の掲載には留保が要ります。第一に、キャリアは発表前に商品ページを準備し、価格欄に仮の数字を入れておくことがあり、今回の数字がAppleの卸価格から計算したものか社内の見込みかは分かりません。第二に、この試算はAppleが全世界を同じ率で上げると仮定していますが、Appleは国ごとに値段を決めます。日本は7月に単独で値上げされたばかりで、為替の状況次第で日本だけ率が違うことはあり得ます。第三に、X上ではオーストラリアの価格として3,700・4,200・4,700豪ドル(256GB・512GB・1TB)という数字も流れており、現行17 Pro Max(2,199豪ドル)との比率1.68倍はエジプトの1.65倍と符合しますが、根拠は示されておらず、エジプトの数字から逆算しただけの可能性もあります。独立した裏付けとは見ないほうがよいでしょう。

生産、8月下旬は「1日数百台」。年内1,000万台なら1日2万7,000台が必要

もうひとつの材料は供給側です。Nikkei Asiaが9月4日、「8月下旬の時点で生産は1日数百台にとどまっている」とサプライチェーン筋の話として報じました(Nikkei Asia、MacRumors)。伝えた内容は4つです。

  • 生産は8月下旬で1日数百台。立ち上がりは緩やかで、サプライチェーンの管理職は「この初期の量では市場の需要に応えるのは難しいかもしれない」と話している
  • 理由はAppleの極めて高い品質基準。「表面の平坦さとヒンジの性能」でAppleがより高い歩留まりを求めている
  • 8月に量産準備の検証工程が追加され、商業生産の開始が数週間後ろにずれた
  • 生産が加速しなければ1,000万台の目標に届かないおそれがあり、Appleとサプライヤーは「昼夜を問わず」立ち上げに当たっている。米国を先行させる段階的な発売になる可能性がある

Nikkei Asiaは7月2日に「Appleはサプライヤーに、今年およそ1,000万台の折りたたみiPhoneを作る準備を指示した。数か月前の見込み700万〜800万台から引き上げ」と報じていました(MacRumors)。この1,000万台と「1日数百台」を同じ物差しに乗せたのが下の図です。
折りたたみiPhone Ultraの1日あたりの生産台数を3本の横棒で比べた図。8月下旬の実績はNikkei Asiaの報道で1日数百台(図では300台)、2026年に1,000万台という計画を365日で平均すると1日約2万7,400台、同じ1,000万台を9月から年末までの122日で作るなら1日約8万2,000台。現状の棒はほとんど見えない細さで、必要量の数%に満たない
1,000万台を365日で平均すれば1日約2万7,400台。実際には8月下旬に始まったばかりなので、9月から年末までの122日で作るなら1日約8万2,000台が要ります。対して現状は数百台。図で見ると、現状の棒はほとんど見えません(割り算は筆者)。もちろん立ち上げ期の量産ラインは指数関数的に増えるもので、数百台が数万台になること自体は珍しくありません。ただ、通常のiPhoneなら7〜8月に済んでいるはずの立ち上がりが、Ultraでは9月に入ってもこの段階だ、という点が報道の核心です。8月末に本誌が整理した「発売は9月、ただし初回分は極少か」という見立てを、数字で裏付けた形です。

Nikkei Asiaが詰まっている工程として名指ししたのは「表面の平坦さ」と「ヒンジの性能」の2つです。折りたたみスマホは、開いたときに画面の折り目部分がどれだけ平らか、ヒンジが何万回の開閉に耐えて緩まないか、で品質が決まります。上で触れた「超薄型ガラス2枚」の画面構造は、折り目を目立たなくするための新しい積層で、誰も量産したことのない構造ですから、歩留まりが最初から高いはずがありません。ヒンジについては、7月の時点で「試作でヒンジの問題は解決したもよう」と伝えられて発注が1,000万台に引き上げられた一方、7月下旬には「なお生産上の課題が残る」との報道があり(MacRumors)、8月には検証工程の追加。解決と課題の報道が交互に出ているのは、量産の規模を上げるたびに新しい不良の種が見つかっている、ということでしょう。関わっている主なサプライヤーを表にしておきます。

TrendForce(2026年4月14日、Nikkei・Bloomberg・集微網・The Bellの報道をまとめたもの)から筆者整理
部品・工程供給元(報道ベース)備考
最終組み立て鴻海(Foxconn)独占。量産は2026年10〜12月期の計画(TrendForce 4月)
折りたたみ有機ELパネルSamsung Display3年間の独占供給。COE(偏光板なし)
超薄型ガラス(UTG)・カバー藍思科技(Lens Technology)UTG、PETフィルム、ガラス支持材、3Dカバーガラス
ヒンジの主要部品新日興(Shin Zu Shing、台湾)ヒンジのキーパーツ
ヒンジモジュール・支持部材領益智造(LY iTECH)ステンレス・チタン合金・炭素繊維
メモリSamsung12GB LPDDR5Xが標準構成。調達価格は前年比で約2倍
カメラレンズ大立光(Largan)48MP広角+超広角の2眼

組み立ては鴻海の独占で、TrendForceが4月に伝えた計画では量産は10〜12月期。つまり「本格的な量産は年末に近づいてから」というのは、実は4月の時点で織り込まれていた日程です。Nikkei Asiaの報道は、その前段の8〜9月がさらに緩やかだ、と言っています。市場調査会社の見立てはこれと対照的に強気で、IDCは8月26日、Appleが「2027年までに1,700万台超を出荷し、2027年には折りたたみ市場の約40%」と予測し、9to5Macはこれを「発売から1年で1,000万台超」と読み解いています(IDC、9to5Mac)。調査会社の数字は「作れれば売れる」需要側の話、Nikkei Asiaの数字は供給側の現在地で、両者のずれがそのまま「発売しても買えない期間」の長さになります。

段階発売になった場合、日本は過去、iPhoneの第1陣に入るのが常でしたが、初回分が極少なら米国・中国の次に回る可能性はあります。中国はさらに事情が複雑で、UltraはeSIM専用と見られています。昨年のiPhone Air(eSIM専用)は、中国では9月の世界発売に間に合わず、3キャリアが10月13日にeSIMの商用試験の認可を得てから、10月17日予約・10月22日発売になりました(MacRumors)。今年はその認可が既にあるので同じ遅れは起きにくいはずですが、台数が足りなければ、eSIMの手続きが要る中国を後ろに回す判断はあり得ます。

まだ分かっていない5つのこと

  1. 重さ。信頼できる数字が出ていない。比較対象のGalaxy Z Fold 7は215g
  2. バッテリー容量。こちらも一致した数字がない。開いて4.5mmの2枚の筐体にどれだけ入るかは、発表を待つしかない
  3. 画面のリフレッシュレート。外側・内側ともProMotion(最大120Hz)かどうか。TrendForceは3機種とも「LTPO+」に更新と書いており、可変には対応しそう
  4. 日本と中国の発売日。段階発売なら米国が先。中国はeSIM専用機の前例(iPhone Air)で1か月遅れた
  5. 名前。「iPhone Ultra」が有力だが、Apple自身はまだ一文字も言っていない。「iPhone Fold」「iPhone 18 Ultra」の可能性は残る

中国から見ると、1万6,999元は小米18 Foldの1.4倍。供給網の半分は中国企業

中国本土に当てはめた1万6,999元(約39万4,000円)は、2日後の9月7日に発表される小米18 Foldの見込み価格1万2,000元(約27万8,000円)の1.4倍です。政府のスマホ購入補助金は6,000元以下の機種が対象なので、UltraにもProにも届きません。中国の折りたたみ市場は華為が6割を握る土俵で、Appleは台数を取りに行くのではなく、価格帯の一番上に旗を立てる格好になります。中国の消費者が「小米の1.4倍を払ってTouch IDと2眼カメラを選ぶか」は、Apple自身が最も知りたい答えでしょう。香港版の試算値1万6,999香港ドルは約33万8,000円で、中国本土版より約5万6,000円安い計算(本土は増値税13%込み、香港は無税)。この試算どおりなら、円換算で香港版が日本版より1万7,000円ほど安く、中国本土版が最も高い並びになります。

もうひとつ、上のサプライヤーの表を見ると、パネルはSamsung、ヒンジの主要部品は台湾の新日興ですが、ヒンジモジュール・支持部材は領益智造、UTGとカバーガラスは藍思科技と、折りたたみ特有の部品の半分は中国本土の企業です。華為が中国の折りたたみ市場の6割を握り、そのサプライチェーンが本土で育った結果、Appleも同じ供給網を使う構図になっています。中国勢の強みは製品そのものより「すでに量産できている」ことです。1日数百台の立ち上げに苦しむAppleに対し、華為は2024年9月に3つ折りのMate XTを発売し、2025年にMate XTs、そして今年はMate XT 2と、毎年出し続けています。折りたたみでは、Appleが追う側です。

9日に確かめる数字、聞くべきは値段より「いつ、どこで」

  • 米国: 18 Pro 1,199ドル / 18 Pro Max 1,299ドル / Ultra 1,999ドル
  • 日本: 18 Pro 214,800円 / 18 Pro Max 239,800円 / Ultra 354,800円
  • 中国本土: 18 Pro 9,999元 / 18 Pro Max 10,999〜11,499元 / Ultra 16,999元

この数字より上ならTrendForce寄り、下ならAppleがメモリ高騰分をかなり吸収したことになります。ただ、Ultraは発表されるでしょうし、2,000ドル前後という値段もほぼ見えています。分からないのは、日本でいつ買えるか、初回の予約でどれだけ取れるか、です。Nikkei Asiaの「1日数百台」は、そのどちらにも悲観的な材料です。iPhone Xのときのように「発表は9月、発売は11月、年内は品薄」という展開を、本誌は今のところ最も可能性が高いと見ています。9日のイベントでAppleが発売日をどう言うか、「Available in(発売日)」の後ろに国名がいくつ並ぶかに注目してください。予約開始は9月12日(土)の日本時間夕方4時が有力です。

本誌は日本時間10日午前2時のイベント終了後、米国・中国本土・香港・日本の価格と仕様の比較記事を出します。この表の「見立て」がどこまで当たったかも、そこで答え合わせします。

記事は以上です。

(記事情報元:MacRumors(直前情報)、MacRumors(載らない5つ)、MacRumors(ブルームバーグ9月4日)、9to5Mac(ガーマン記者インタビュー)、GSMArena(ボーダフォン・エジプト)、MacRumors(予測のまとめ)、TrendForce(価格予測)、Nikkei Asia、MacRumors(7月2日)、MacRumors(7月23日)、TrendForce(サプライチェーン)、IDC、MacRumors(iPhone Airの中国発売)、現行価格はApple米国・日本・中国本土・香港の各ストア)

※記事中の画像はイメージです。

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