スイスの腕時計メーカーH. Moser&Cieが、Apple Watchのスイス機械式腕時計式クローンモデル「Swiss Alp Watch」を発表しました。なんと、そのお値段は320万円超え。さて、どんな腕時計なのでしょうか。。?
H. Moser&Cie「Swiss Alp Watch」のキャッチコピー
この時計の動画紹介でのキャッチコピーが、この時計の全てを表しているといっても過言ではありません。
- Less is more. →余計なものはない方がいい
- One application: Time →たった1つのアプリケーション:時間
- Swiss Alp Watch, Final Upgrade. スイスアルプウォッチ。最後のアップデート。
H. Moser&Cie「Swiss Alp Watch」の特徴
長方形のベゼル、湾曲したエッジ。そして側面の特徴的なリュウズ(クラウン)。外観はApple Watchに本当にそっくりです。中身は本当に高級機械式で、手巻き式のHMC324キャリパー搭載で、1回フルに巻き上げれば96時間動作します。この動作時間は機械式の中でも比較的長い方です。もちろん、Apple Watchよりも長いのはいうまでもありません。
Apple WatchのOLEDディスプレイを模倣するために、H. Moser&Cienの時計職人達はこの文字盤をベンタブラックでコーティングしました。ベンタブラックとは、カーボンナノチューブから構成される、可視光の最大99.6%を吸収する、これまでに製造された中で最も暗い人工物質です。
また、watchOSとiOSの読み込み中のあのくるくる回るサークルの”記号”を秒表示用に使っているのも特徴です。
H. Moser&Cieの時計職人は、
「更新は必要ありません。お粗末な自律性、不要な機能、迷惑な通知はありません。本当に必要な唯一のリマインダーです。すべてのノイズから離れ、すべての瞬間を大切にしてほしいのです」
と説明し、Apple Watchを諷刺しています。
そして何といっても注目なのは、このApple Watchのデザインをパクったスイスの機械式腕時計はたったの50台しか生産されず、しかも単価が30,800ドル(約324万円)もすることです。
H. Moser&Cie「Swiss Alp Watch」は買いなのか?
あなたは、このような代物に320万円を超える金額を払いますか?
個人的には、ありえないですね。スイスの機械式腕時計のよいところは、長く陳腐化しないデザインと、メンテナンスすればずっと使えることです。この長く陳腐化しないデザイン、というところが、Apple Watchを模倣することで崩れてしまうからです。Apple Watchは今やスマートウォッチの中でも独占的な地位を築いていますが、これも腕時計の長い歴史から見ればほんの短い間のことです。Apple Watchは初代から現行最新のseries 6までの6〜7年間、殆どデザインを変えずに来ましたが、今後それが変わらないとは限りません。
この時計はApple Watchに対する諷刺のために作られたものではありますが、外観は中国のパチモンiWatchにそっくりですし、機能はそれらにさえ劣ります。。しかもやれることは時間を見るだけですが、時間そのものの精度もデジタルウォッチには全くかないません。
個人的には、スイスウォッチはスイスウォッチらしく、威厳を保っていればいいと思っています。人々が100円のクォーツやデジタル腕時計よりも精度が劣るスイス機械式腕時計にわざわざ高いお金を出して買い求めるのは、「人間がコンピュータなど電子機器の力を借りずに手作りで作れる最高峰のものである」「それを身に付けている」という価値を与えてくれるからです。
このような諷刺をかっこいいと見るか、意味がないと見るか。。機械式腕時計好きの自分としても、個人的には後者のように捉えてしまいます。どうせ真似するなら、フルのコンプリケーションなどを実現したらよかったんじゃないかと思いますが、そうするとこの時計の機能を究極にシンプルにするというコンセプトが崩れるのでしょうね。Appleをかっこよく諷刺したい。。そのためにはお金を惜しまない。。というくらい道楽で320万円程度は問題なく使える層は、買ってみてもいいのかもしれません。世界に50台しかないという希少価値もありますからね。ただし似たような時計は何千万台、恐らく全世代や中国のパクリiWatchを合計すれば軽く億を超えますが。。
記事は以上です。
(記事情報元:Apple Insider)