Digitimesによると、Appleのスマートフォンに使用されるレンズモジュールの大手サプライヤである台湾のLargan Precision(大立光電股份有限公司)は、2018年第4四半期の売上高と営業利益が、主に全世界でのiPhoneの売上減少により20%以上減少しましたが、3レンズ以上のモジュールの採用については依然として楽観的な見解を示しているようです。同社は主力のスマートフォンモデルのために、その生産能力を拡大していくとしていて、かなり強気です。
Largan Precisionはペリスコープレンズモジュールと7枚のプラスチックレンズからなるレンズモジュールの出荷を開始し、パネル内光学式指紋認識レンズモジュールと3Dセンシングレンズを受注する準備が整ったとしています。
Larganはまた、ファーウェイ(Huawei)、Oppo、Vivoなどの中国本土を拠点とするスマートフォンベンダー、および韓国の大手サムスン電子(Samsung Electronics)のレンズモジュールサプライヤーにもなっています。つまり、世界の殆ど主要なスマートフォンメーカーは同社のレンズモジュールを使用していることになります。レンズモジュールメーカーの間で、Larganはその資本規模と技術的能力によって競争力で優位に立っているため、2019年にトリプルレンズ(3レンズ)モジュールの受注するチャンスに溢れているといえるでしょう。
なお、以下はDigitimesによるLarganの生産能力(キャパ)拡大の表です。NT$はニュー台湾ドルを指します。今年1月だけでも2回の生産キャパ拡大を行っているところを見ると、かなり強気に市場を取りに行っていることがうかがえます。
Larganの生産能力拡大、2017年7月から2019年1月 |
|||
用地取得 |
土地面積 |
敷地面積 |
取得コスト |
2017年7月17日 |
13,871 |
7,357 |
NT $ 10.36億(4,290万ドル) |
2018年9月27日 |
9,925 |
6,858 |
NT $ 8億460万 |
2019年1月18日 |
24,406 |
13,221 |
NT $ 18.24億 |
2019年1月29日 |
11,610 |
7,848 |
NT $ 9億8,340万 |
出典:MOPS、Digitimes編集、2019年1月
しかし世界中のファウンダリはTSMC、レンズモジュールはLarganと、かなりの根幹部分を台湾のメーカーがほぼ独占で握ることになっています。この寡占状態が続く限り、中国本土も今はおいそれとは台湾を叩くわけにいかないですが、この独占状況に終止符を打つべく、経済規模的には台湾を遥かにしのぐ中国本土の企業がより高い技術の取得をして、その地位を奪おうとしているのも事実です。
今後もAppleは中国本土企業と台湾企業を天秤にかけていくことでしょう。
さて、今年の新型iPhone 2019モデルには、1機種には3レンズが搭載されるという噂があります。既に他社では実現している機能の後追いということになりますが、実際はCMOSセンサーやソフトウェアの性能などでもその写真の質は大きく変わってきます。特に最近のファーウェイのスマホの画質は凄まじいものがあり、正直個人的にも最近中国の親戚のためにHuawei P20を買ったのですが、このデュアルレンズ端末でもiPhoneは相手にならないくらい画質のレベルが高く感じます。そのファーウェイの最上位モデルのMate 20 ProでもiPhone XS Maxの半額程度で買えるとなれば、皆ファーウェイのスマホを買ってしまうでしょうね。私もiPhone 2G(初代)からiPhoneを必ず毎年買い替えてきましたが、さすがにそろそろ買う気が失せてきました。
iPhoneは少なくとも、カメラにおいてはファーウェイと同等かそれ以上の性能を持たせないと、この価格を維持していくのは厳しいと思われます。そのためには、最低でも3レンズは必須といえるでしょう。
記事は以上です。
(記事情報元:Digitimes)