5年で世界No.1のスマートフォンメーカーになるという「夢」。
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの中国のスマートフォンメーカー、シャオミ(xiaomi、以下小米)のCEOレイジュン(雷軍、雷军)の素晴らしいスピーチに出てくる。
このスピーチについては中国語で読んでいたので以前から知ってはいたが、友人寺村氏の書いているブログで日本語でこう紹介されると余計にテンションがあがるというものだ。
■奮い立つ!小米(Xiaomi)董事長 雷軍の台湾での新年の挨拶(前編)
■奮い立つ!小米(Xiaomi)董事長 雷軍の台湾での新年の挨拶(後編)
ということで、ちょうど中国にいたこともあって、本当は小米Noteの4G対応ハイスペック版を買う予定だったのが、まずは試してみるか!ということで、一番安いけど実用的っぽい、Redmi Note(以下紅米Note)を買ってみた。
しかもたったの899元、今の円安でも17,000円だ。
まずはRedmi Note(紅米Note)をゲット
購入はもちろん小米のオフィシャルサイトから。他のところから買うとニセモノを掴まされたりするらしいからだ。実際、既にGoophone等ニセモノ専門メーカーからニセモノが出ていることだし。。
購入したのはRedmi(紅米)Noteの4G増強版。この4G版増強版は2種類に分かれていて、中国移動のTD-LTE対応版と、聯通のFDD-LTE対応版となっている。
私は両方のSIMを持っているが、メインで中国聯通の4G SIMを使っているため、サブの中国移動の4G用を使うために移動4G版を購入した。
一昨日の午後にぽちっとして、昨日の午前中に届いた。注文から24時間以内での到着だ!
三線級の都市なのにこの速さ、凄まじい。さすが、(たぶん人類最速で)5年で売上1兆円企業になっただけのことはある。このスピード感を中国大陸で実現したのはすごいことで、私もその速度を身をもって体感した。
xiaomiは各都市の倉庫に在庫を置いているようだ。Appleなどは中国では物流倉庫を集中して組立工場の中に置いているので、地方都市だと届くのが遅かったりするのだが、小米はやはり違った。本気で中国で品質をつくりあげ、その結果中国でNo.1になったのは頷けるというものだ。
Redmi Note(紅米Note)開封儀式
いまさらという感じだが、、
■外箱もきっちりと個装箱とサイズを合わせて作っている。このまま配達員から手渡される。
■個装箱の蓋を取ると、こんな感じ。小米の「为发烧而生」という言葉が液晶保護フィルムに書かれている。
■本体、裏側。カメラにも保護シートが。なお、Redmi(紅米)という名前だが機体は赤ではない。色は白しか選択できなかった。赤だったらシャア専用みたいでかっこよかったんだが。。まあ、裏蓋はうなるほどいろいろな種類が街で売っているので変えればいい。
■付属品はこんな感じ。シンプルだ。で、取説は思いっきりAppleそのものだ。。笑
■下側のUSB差込口あたりからがばっとプラの裏蓋を外すと、中が見えてくる。SIMは今はあまり見なくなった通常サイズ(正式名称はmini SIM)。micro SDカードも入る。
■起動すると、こんな感じ。最初は言語が中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、英語しか選べない。
Redmi Note(紅米Note)の用途
しかし単に「買ってみた」だけじゃ面白くない。色々とやってみようと考えた。
日本人の使い方として、以下は実現したい。
1. VPNを入れる:これは外国人として中国滞在中には必須!
2. Googleサービスを使えるようにする:AndroidなのにGoogleのサービスが使えないのはちょっと、ということで
3. Root化して日本語化する:iOS脱獄をしている私がAndroidはRoot化していないのは変なのと、日本語化は需要があるかなと思った。ちなみに日本語化にもRoot化が必要のよう。
4. Ingress入れる:なんだか流行っているので。。
5. Macと直接ファイルのやりとりができるようにする:ほぼおまけ。
結果からいうと、1をやらないと2も4もできなかったが、全てできた。
以下に方法を紹介していく。
1. VPNを導入する
まずはこれをやらないと何もできない(いや、中国大陸で中国のサービスを使うだけなら、何も不満はないのだが)。。
ということで、もちろん私自身もブログでオススメしている2つのサービスを導入。
ちなみに私自身の手順としては、まず12VPNとつながるNowのPPTP接続でVPNを手動設定した。自動接続アプリなどは、Googleサービスを導入しないとできないからだ。
追加方法は、上記のリンクから行けるそれぞれのサービスの公式サイトにて最新の情報をチェックしながらどうぞ。
なお、下の2.を完了させた後は、以下の様なアプリも導入して、簡単にVPNに常時接続できるようにした(ただ、なぜかつながるNowのOpenVPN for Androidはうまく動作しなかった。追加検証必要)。
■12VPN
OpenConnectというアプリを導入。
■つながるNow
OpenVPN for Androidというアプリを導入。
2. Googleサービスを使えるようにする
いくつか方法があるようだが、私は以下の方法でGoogleサービスを導入した。
この情報はFacebookの小米ファングループ、「小米倶楽部」のM山氏よりいただいた。大感謝!
■小米应用商店(xiaomi App Store)で、まずはGoogleのサービスが使えるようになるツールをダウンロード
小米应用商店(xiaomi App Store)で、Googleサービスフレームワーク(Google 服务框架、Google Service Flamework)及びGoogle Play サービス(Google Play 服务、Google Play Services)を導入。
■Google Playをダウンロード
同じく小米应用商店(xiaomi App Store)でGoogle App Downloader(谷歌应用下载器)をDLし、そこからGoogle Play(Play 商店)をダウンロード。インストールするまでは中国国内ネットワークを使うのでVPNさえいらない。
これでGoogleのサービスが使えるように。なんだか思ったよりえらい簡単だ。。
ちなみにGoogle App Downloader(谷歌应用下载器)を使えばGoogleのサービスのアプリの全てを中国国内ネットワークでDLすることができて非常に便利。
3. 日本語化する
今のところ小米は公式には日本語ROMがないので、Morelocale2による日本語化をするしかないらしい。
情報は以下の2つのサイトから。
・バムガジェット「小米3 Xiaomi3 (4) 日本語化」
・juggly.cn「Galaxy S 4グローバル版を日本語化する方法」
上記によれば、Morelocale2を使っても、ある設定でたがを外してやらないと日本語にはならないという。結構面倒くさそうで気が滅入ったが、私がやってうまくいった手段を紹介する。
■開発者設定をオンにする
普通、現在の紅米Noteに標準搭載されているKitkat(Android 4.4.4)では設定アプリのaboutでバージョン番号のところを7回タップしてから設定に戻ると開発者メニューが出るらしいが、なぜか紅米Noteでは出なかった。MIUIの特別仕様なのかもしれない。
困ったときには先生に聞こう!ということで前出のFacebookグループの小米倶楽部というところで聞いてみたところ、小米マスターことW谷さんよりありがたいアドバイスが、、
「MIUIには公式でも稳定版と開発版があり、これを導入することで、GooglePlayなどが利用できます」
なんと、最初から聞けばよかった。。
ということで、開発バージョンを導入するには、MIUI公式サイトからダウンロードする必要がある。私は紅米4G増強版の移動LTE版(SIM1枚挿しバージョン=单卡版)の開発版MIUI ROMを選択した(下の方)。
ダウンロードしたROMをまずWindows等で本体にコピー(私はMIUIフォルダの中に入れた)し、系统工具(Tools)フォルダの系统更新(System Upgrade)を起動し、右上のボタンをタップ、”手动选择安装包”をタップし、先ほどコピーしたROMを選択する。
あとは勝手に色々やってくれてMIUIの開発版のインストールが完了する。アップデートするような感じなので、中のデータは消えない。
■開発者メニューに入って、USBデバッグモードをオンにする
设置(Settings)の”其他高级设置”の下の方に”开发者选项”が現れるのでタップ。
USB调试(デバッグモード)をタップしてオンに。
■小米オフィシャルの小米手机助手を入手
Windowsマシンと小米携帯を繋いであれこれやるにはドライバが必要。小米が公式で公開している小米手机助手を公式サイトからダウンロード。
■小米手机助手を実行し、ドライバをインストール
小米手机助手をWindows上で実行し、USB接続で紅米Noteを接続すると、勝手にドライバのインストールが始まる。小米手机助手自体の役割はこれで終わり。
■刷机精灵をダウンロードしてインストール
Root化したり、ROMを焼く、復元するなど色々なことをするために非常に便利な中国製のツールの1つ。これを使って、日本語化設定ができるようになるためのおまじないをする。
公式サイトからWindows用のアプリをダウンロードしてインストールしよう。
■刷机精灵を本体側にもインストールする(これは自動)
刷机精灵をWindows上で実行し、USBで紅米Note本体を繋ぐと、本体側にも刷机精灵のAndroid用アプリがインストールされる。
本体側で刷机精灵のアイコンが増えるので実行し、あとは「一鍵Root」を押すだけ。
これだけでRoot化完了。なんて簡単なんだ。。
■Windows版の刷机精灵で、adb Shellコマンド実行
Windows版の刷机精灵の上側のアイコンの、”实用工具”をクリック、右側のAdb命令行をクリック。
出てきたスクリーンに、
adb shell
プロンプトが変わったら、
pm grant jp.co.c_lis.ccl.morelocale android.permission.CHANGE_CONFIGURATION
下の赤枠で表示されたようなメッセージが出ればOK。エラーが出てるけど私の場合OKだった。
■Morelocale2をダウンロードしてインストール
中国国内からであればVPNを接続し、Google PlayでMorelocale2をダウンロードしてインストールする。
■Morelocale2を実行、日本語を適用
紅米Note上ではMorelocale2は”区域”と表示されるのでタップ。
日本語(一番下までスクロール)をタップ。
これでシステムのだいたいの表示は英語になるが、アプリなどは日本語化される。
日本語入力は、私はGalaxy Note 1の時代にATOK for Androidを単体購入していたのでインストールして使用中。Android定番で無料のSimejiやGoogle日本語入力でも特に問題ない。
Ingress(イングレス)を入れてみる
なんだか最近妙にIngress(イングレス)が日本にいる友人周りで流行っているので、中国にもあるかなと思いつつインストールしてみた。iPhone6 Plusでやればいいのにと思う方もいらっしゃるかもしれないが、脱獄しているとシステムチェックに引っかかって起動できないんだなこれが。。(AndroidはRoot化していてもプレイ可能)
■Ingressのインストール
インストールは簡単。VPNが繋がっていれば、普通にGoogle Playからダウンロード可能。上記で日本語化が完了していれば、表示も日本語になる。
■Ingressの中国でのプレイは問題ありあり
しかし!問題点はこのアプリはGoogleのサービスを使っているため、アプリそのものも中国のネット規制の対象になっており、VPNを通じてしかアクセスできない。なお、VPNも携帯のネットワーク(中国移動4G)では、Openconnectではダメで、PPTP接続でしかアクセスできなかった。Wi-Fi接続でのOpenconnectなら問題ないのに、このあたりの挙動も不明だ。
また、イングレスが使用しているGoogle Mapsは中国では座標がずれるという問題がもろに影響しており、マップが正確ではないので正直殆ど使いものにならない。私は初めてやってみたのだが、ポータルを3つくらいハックしたところでこりゃダメだと断念。
ただ、それなりに中国でもやっている人はいるみたいだけど。
5. Macと直接ファイルのやりとりができるようにする
これはかなりおまけ的だが、Macで紅米Note(に限らずAndroidデバイス)のスクリーンショットを取り込んだり、ファイルのやりとりをすることができるアプリがある。
Android File Transferだ。公式サイトからダウンロードしてインストールすればOK。
ちなみに小米のMIUIでのスクリーンショットの撮り方は、音量小ボタン+Menuボタン。
最初よくわからずに色々と試してしまった。。笑
紅米Note、気に入ったところと気に入らないところ
気に入ったところ
・動きがスムーズ、サクサク
これはひとえにMIUIのおかげかもしれないが、以前のSAMSUNG Galaxy Note1に比べても断然動きがスムーズで、全くと言っていいほどストレスを感じない。ストレスだらけだったのでGalaxy Noteはあっという間に使わなくなったのだが、これなら普段使いも問題ないレベル。
正直、Androidに抱いていた動きがトロいというイメージを格安紅米Noteによって払拭された感じだ。
・大きさ、手触りが手頃
iPhone6 Plusに慣れたからか、大きさもちょうどよく感じる。手触りもプラだが悪くない。iPhone3Gとか3GS時代を思い出した。
気に入らないところ
・VPN接続が面倒、不安定
これはAndroidそのものの問題かもしれない。
・画面がRetinaではないのでよくみると綺麗ではない
iPhone6 Plusと比較してしまうと、さすがに。でもたったの17,000円かと考えれば問題ないレベル。
・文字フォントが汚い
Windowsを使ってもそう思うが、やはりApple製品のMac OSやiOSはスティーブ・ジョブズのこだわりをひきついでいることを実感。
・日本語化が面倒くさい
iOSだったら初代2Gの時代からグローバルだった。Androidはそのへんがメーカーによって設定できる言語が限られているというのはグローバルに売るには欠点じゃないかな、とは思う。
日本語対応してデバイスを日本語化するのは案外面倒くさいことがわかった。技術的に非常に大変なわけでもないが、ひたすら面倒くさい。
小米の紅米Note、全体の感想と評価
しかしこの値段、約17,000円である。気に入らないところがあっても我慢出来てしまうレベル。コスパがあまりに高くて驚いた。
実は以前中国の小米ショップ等で店頭で紅米Noteを触った時には、正直もっさりしてて使えないなと感じたので敬遠していた。たぶん店頭デモ用にアプリなどを入れまくったり使いまくって重くなっていたのかもしれないし、MIUIのバージョン選択を間違ったりしているとダメなのだろうが、今は全く気にならない。というよりちょっと感動するくらいサクサクだ。ここまでの完成度にもってきた小米はさすがだと思う。これはMIUIの貢献が大きいだろう。もともと小米はソフトウェアが強い(キングソフト→MIUI)からだ。ハードウェアとソフトウェアを自社開発していることによる優位性。。あれ、どこかで見たような。。気のせいか。
脱獄したiPhone6 Plusとの差はもちろんまだあれど、この値段でここまでやれるというのは素晴らしい可能性を感じた。サブマシンとしては大合格だ。3月に小米Noteのハイグレード仕様が出るようなので、それは確実に買うことを決めた。
冒頭の小米CEOのレイジュンのスピーチで紹介された5年で世界一のスマートフォンメーカーになるという夢を、「言うのは簡単だが、やるのは難しい」と鼻で笑ったアップルの幹部。
しかし、アップルはiOS8でそのソフトウェアの評判を下げてしまった。もちろん売れてはいるけど、iOS8.0.xのひどいユーザー体験は潜在的な危機をもたらしたと思ったほうがいい。
配送スピードからハードウェア・ソフトウェア製品の完成度の高さから、廉価版からも小米のレイジュンの夢を肌で感じることができた、というのが正直な感想だ(もちろん、脱獄済iPhone6 Plusのサブマシンレベルで満足、ということではあるが)。
アップルもうかうかしていると、いつか逆に小米に鼻で笑われる日が来るかもしれない。
もちろんAppleが好きな私としては、もっとAppleには「ユーザのために」「ファンのために」という原点に戻って頑張ってもらいたい。
記事は以上。