TechCrunchの報道によると、Appleは最近AIのスペシャリスト集団「ラティス・データ(Lattice Data)」社を買収した。同社の専門分野は【ダークデータ(dark data)】に関連する。Appleは数週間前に買収を完了し、ラティス・データの20数名のエンジニアもAppleに吸収される形で入社したという。
ラティス・データ社の専門分野、【ダークデータ】とは
ちなみに【ダークデータ】とは、企業などに蓄積されているデータのうち、有効利用されていないが何らかの理由で保存されているデータのことを指す。その中には、デジタル化されていないもの、非構造化データも含まれる。
買収目的や計画をAppleは明らかにしていない
Appleはラティス・データの買収に2億ドル(約226億7500万円)を費やした。なぜAppleが同社を買収したのか、また今後の計画についても、私たちは窺い知ることはできない。Appleのスポークスマンは、Appleの定例の企業買収報告に従い「Appleは常に小型のテック企業を買収しています。私たちは通常、購買目的と計画については議論しません」と発表したにすぎないからだ。
非構造化のダークデータを構造化して使えるデータに変える技術
さてラティス・データ社のAIの研究方法は、【ダークデータ】またはそれに似たテキスト・画像など非構造化データを構造化されたデータに変えるというもので、それによって従来のデータ分析ツールで処理できるようになるというものだ。ラティス・データ社は機械学習技術によって大量にデフォルトでは無用と思われるようなデータをかき集め、それらをAIや医学の研究などに用いることができるように、それらのデータにタグづけやジャンルづけをしていく。現在70〜80%の非構造化データが【ダークデータ】で、一般的に私たちはそのままではそれらのデータを処理したり分析したりすることができない。
2015年、Christopher Ré、Michael Cafarella、Raphael HoffmannとFeng Niuがスタンフォード大学の研究を基礎にしたラティス・データ社を設立した。そして同社はGV、Madrona、そしてInQTelなどのベンチャーキャピタルから2000万ドル(約22億6000万円)の融資を受けた。
Siriの強化が主目的か
Appleに買収される前、ラティス・データ社は他の会社からどのようにAIヘルパーを強化するかという相談を受けていたという。つまりAppleも、自身のAIヘルパーである「Siri」に関する開発を更に強化する目的でラティス・データ社を買収した可能性が高い。Appleも、Siriに質問されたデータなどを大量に保管している可能性が高いからだ(もちろんプライバシーポリシーによって、個人を特定できない範囲内で)。
Appleは昨年にも機械学習のスペシャリスト「Turi」を買収
Appleは去年、機械学習とAIのR&Dを行っていた「Turi」社を買収し、直後に今後の製品開発に新しい”特性”をもたらすために、機械学習を専門に研究する部門を社内に立ち上げた。Appleがラティス・データ社を買収した真の目的や、どのように同社の技術を製品に利用するのかについては、もう少し時間が経ってみないとわからない。しかし最近の買収の傾向をみれば、AppleがAIや機械学習のR&Dに非常に興味を持っており、資金を惜しまず投資していることがうかがえる。
Siriだけではなく、噂されている自動運転や、またVRデバイスなどにも今回買収されたラティス・データ社の技術が応用されるかもしれない。
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(記事情報元:TechCrunch)