AppleがiPhone6で採用するかもしれない?サファイアガラス情報まとめ

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iphone6_Sapphire_Display

AppleはiPhone6など次世代デバイスにサファイアガラスディスプレイを採用する可能性があるのか?

多くのメディアによって来る9月9日にApple(アップル)の次世代iPhone「iPhone6」のリリース発表イベントが行われるとされ、Appleファンのみならず業界内外からも機体の声が高まっている。
最近は当ブログでも毎日お伝えしているようにiPhone6の部品の流出報道が相次いでいるが、スペックについてはまだ謎が多い。特にフロントディスプレイのガラス部分の材質についてだ。
iPhone6_front_panels_2

iPhone6はサイズ的には大きくなるだろうか?当然そうなると言われている。
次世代機種は軽くなるだろうか?それはわからないが、軽量化が図られるのは間違いない。
iPhone6ホームボタンにはTouch IDが採用されるか?既に部品の流出でそれは確定されている。
しかしiPhone6のフロントディスプレイの材質に噂のサファイアガラスが用いられるか、それともこれまでのゴリラガラスが用いられるのか、それについては確固たる情報が存在しない。

iPhone6_front_panels_1

もちろん流出写真を含め全ては噂にすぎないことで、全てを確定情報とすることはできないが、ディスプレイはiPhone6の中でも大部分を占めるものであり、多くの人の関心を集める話題だ。ただ多くのスマートフォンユーザも噂になっているサファイアガラスについてよく理解しているとはいえないと思われる。以下にいくつかの情報と共に、サファイアガラスへの理解を深めていただくとともに、Appleが本当にサファイアガラスをディスプレイの材料として用いる可能性について探りたいと思う。

サファイアガラスって青いの?

Apple_iPhone6_Sapphire_Glass_Display_1

多くの人が「ディスプレイの材料にサファイアが用いられる」と聞くと、「サファイアって青いよね?」と考えるはずだ。「そんなものをディスプレイの材料に使えるの?」と。
実は我々が一般の宝飾品の中で見かけるサファイアは、微量の他の元素を含んでいる。例えば銅、マグネシウム、鉄などだ。これらの微量元素と鉱物が混ざり合うことで、サファイアに様々な色彩を与えているのだ。青以外にも紫、黄色などのサファイアが存在する。

Sapphire_color_Variation

しかし機械で製造されたサファイアは、コントロールされた環境下で生成されるもので、鉱物物質の中には不純物が混在しないため、いわゆる工業用サファイアは無色透明となっている。そんなわけでサファイアガラスディスプレイに青などの色が付くことはないのである(色がついていたとしたら不純物があるか、色がつけられていることになる)

サファイアそのものがガラスになるの?

Apple_iPhone6_Sapphire_Glass_Display_3

サファイアガラス(sapphire glass)という言い方は正しいのだろうか?

サファイアは当然のことながらガラスでも二酸化ケイ素(シリカ)でもない。サファイアは一種の結晶体で、酸化アルミニウムを使って生成されるものだ。当然ガラスと工業用サファイアは両方とも無色透明なため、スマートフォンのディスプレイの材料としては問題なく使える。しかしこの2種類の材料には大きな違いがある。ガラスの中には様々な種類の物質が混在しており、そのため違う材料を使うとその性能に大きな違いが出るため、原材料の物質には様々な改善と調整が必要だ。それに対し、サファイアの属性は不純物さえなければ基本的に半永久的に不変なのが特徴だ。

corning-gorilla-glass-3

スマートフォンのディスプレイ用ガラスの材料として有名なのが、コーニング(Corning)社ゴリラガラスだ。ゴリラガラスは2007年に既にAppleの初代iPhone(iPhone 2G)に採用されている。その後2010年にコーニング社は第2世代のゴリラガラスを、2013年には第3世代のゴリラガラスをリリースしている。Amazon FireやSamsung Galaxy S5に用いられているのもコーニングのゴリラガラスだ。またコーニング社のスポークスマンによると、これから4ヶ月以内に第4世代のゴリラガラスがリリースされるという。初代から4代目まで、そのゴリラガラスはその強度と耐性のますますの強化が図られている。

サファイアとガラスは違うものなので、「サファイアディスプレイ」と呼んだ方が本当は近いのかもしれない。

サファイアをディスプレイに使うメリットとデメリットは?

サファイアはともかく硬い

Sapphire_Hardness

サファイアはその硬さで有名だ。物質高度を表す単位、モース(Mohs)硬度でいうと、サファイアの硬度は9で、ダイアモンドの10に次ぐ硬さだ。またサファイアはひっかき耐性についても非常に高いことが知られている。つまりサファイアを使うことで硬く傷つきにくいディスプレイを実現できるわけだ。

サファイアは耐熱性が高い

Sapphire_耐熱性

またサファイアは非常に高温にならないと融化(液体化)しない。また極端な低温にも強い。つまり耐熱性が非常に高いということで、この特徴はスマートフォンだけではなく、多くの工業製品にとって非常にメリットが大きいものだ。

サファイアは衝撃で小さい亀裂が発生しやすい?

亀裂

ただしゴリラガラスを製造しているコーニング社はサファイア材料について、結晶体は衝突・衝撃による大きな亀裂は発生しにくいが、逆に小さな亀裂が発生する可能性が非常に高いと警告している。またいったん亀裂が発生すると、その亀裂は結晶面に沿って亀裂が伸びてしまい、割れが発生しやすいという。そんなわけでコーニングはサファイアはゴリラガラスよりも「割れやすい」という批判をしている。ただ、どの程度の衝撃でそれが起こるのかなどは多くの実験を行って比較しない限り、サファイアディスプレイの割れやすさについて論ずることはできないだろう。

サファイアは重い

また、サファイアは密度がガラスよりも高いので、ガラスよりも重くなってしまう欠点もある。携帯電話やスマホにとって、重量は非常に重要なスペックだからだ。
これについては、マサチューセッツ工科大学(MIT)によるMITテクノロジーレビュー(MIT Technology Review)の最近の文書によれば、Appleが買収してサファイアを製造しているとされるGT Advanced Technologiesは新しい加工技術を使い、薄いサファイア圧縮層を製造していると報告している。つまりAppleはガラスの上にサファイア圧縮層をコーティングすることにより、重量の問題とコストの問題を両方クリアしていることになる。
Apple_iPhone6_Sapphire_Glass_Display_2

サファイアはテクノロジー業界では新しい技術?

当然そんなことはない。工業用サファイアは既に数十年、様々な技術や製品に用いられてきた。

前出のゴリラガラスで有名なコーニング社も、ガラスだけを作っている会社ではない。実は同社もサファイアを製造していた時期がある。しかし同社は30年前にこの材料を製造するのをやめてしまった。というのも、当時サファイアは非常にコストが高い材料で、また当時経済危機があったためにサファイアをガラスの代わりに用いることは時期的にまだ熟していなかったのだ。また日本の京セラ(Kyocera)は既に41年もサファイアを製造している。

iPhoneに関しては、前出の通りGT Advanced TechnologiesがAppleのサファイアのサプライヤーとなっているのは周知の事実だ。Appleは昨年11月に同社と5.78億米ドル(約578億円)の提携を結び、その額を分割で支払うことになっている。両社はアリゾナ州メサにサファイアガラスディスプレイの製造工場を建設し、Cascadeと命名されている。敷地面積は13万平米と膨大だ。
Apple_GT_Sapphire_mesa_Cascade

この工場ではiOSデバイスのサファイアが製造されるとされていて、同社のCEOのTom Gutierrezは最近、Appleのメサの工場では製造に少々問題が発生していたが、現在は大型設備の準備が整い、大規模なサファイアガラスの大量生産ができるようになったという。

現在でもサファイアディスプレイを搭載したスマートフォンは買えるの?

その答えはYesだ。サファイア材料の研究と開発技術は日を追うごとに成熟しており、昔のように非常に高額な携帯電話だけに使われた材料ではなくなり、主流の価格帯にも使われるようになってきた。

Kyocera Brigadier by Verizon

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先週米国のキャリアVerizonがリリースした京セラ(Kyocera) Brigadierは、京セラ自身がサファイアによって液晶を保護すると称している。Brigadierの保護基準は、ミリタリー(軍用)基準の810Gに準拠している。それは防塵、耐振動、耐落下、耐熱(高温・低温)、防水、耐気圧、防電磁波、防錆、防湿性能が非常に優れていることを示している。また同機はIP6 8防塵基準を満たしており、6インチの水の深さに30分置いても問題ないという。

Vertu Ti

vertu-ti1

また携帯電話のラグジュアリーモデルを製造していることで有名なVertu(ヴァーチュ)もサファイアディスプレイを採用したスマートフォンをリリースしている。Vertu Tiが使っているのはサファイアディスプレイだ。但しVertuの製品は全て価格が高いので、一般消費者としてはただ指をくわえて眺めるしかない。

iPhone5s

ディスプレイではないが、実はAppleのiPhone5sのTouch IDの表面やiSightカメラのカバーに使われているガラスは、既にサファイアガラスだったりする。
Touch_ID_Sapphire

iPhone5s_iSight_Camera_Sapphire

iPhone6にサファイアガラスディスプレイが用いられるかは不透明

以上にサファイアそのものやサファイアディスプレイに関する情報をまとめてみたがいかがだっただろうか。

現在のところ、iPhone6には4.7インチモデルと5.5インチモデルが存在するとされている(後者はiPhone Airと呼ばれることもある)。それらにサファイアガラスディスプレイが用いられるかは現状不透明で、5.5インチのみに採用されるなどという噂もある。

いずれにせよ、来月のリリース発表イベントで全てが明らかになる。

記事は以上。

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