UBS:Apple、中国でiPhoneのシェア続落、統治的な地位を既に失っている

  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

UBSのレポートで、2018年の次世代5.8インチiPhone Xの価格は、現行のiPhone Xよりも100ドル高い1,099ドルからとなるという予測が出たことから、ユーザだけではなく投資家達の間にも動揺が走っています(6.5インチiPhone X Plusは一体いくらになるのでしょう。。)。そして悪い知らせはこれだけではありません。UBSのもう1つのレポートで、Appleの中国市場での支配的な地位は既に終わっているとされているのです。

Apple-iPhone-CHina

Appleの中国市場でのピークは2015年だった

UBSのアナリスト、Steven Milunovich氏によれば、iPhone 6/6 Plusは外観を変更し、大型ディスプレイを搭載して4G通信をサポートしたことから(中国では2014年のiPhone 5sではまともに4G=LTEが使えませんでした)、iPhoneの中国での影響力はそのiPhone 6/6 Plusがリリースされた2015年がピークで、当時の出荷台数は中国全体のスマートフォン市場の25%を占めていました。

しかしその後下り坂となっていて、現在の出荷台数ベースの市場シェアは19%まで落ちており、また将来的な中国市場の展望を見ると、iPhoneが今後は成長どころか、そのレベルを保つのも難しいのではないかと推測されています。

中国市場でiPhoneのシェアが落ちてきた原因は3つ?

iPhoneのシェアが落ちてきた原因について、UBSのアナリストSteven Milunovich氏は以下の3点を挙げています。

1. ハイエンド・ミドルレンジ市場ではファーウェイ(HUAWEI)のプレッシャーとiPhoneの価格上昇

中国国産スマートフォンブランドの中でも高品質な製品を作ることでも有名な「ファーウェイ(HUAWEI、華為)」が、中国のハイエンド市場及びiPhone 6sやiPhone SEが現在含まれるミドルレンジの市場においてもAppleに対して大きなプレッシャーとなっていることが挙げられます。iPhoneはハイエンド市場では今でも支配的な地位を持っているといえますが、Apple全体の萎縮は避けられず、更にiPhoneの価格がどんどん上がっていることから、新型iPhoneを買える層の人数もますます減ってきています。

Apple-in-China_2018

2015年のピーク時には、AppleはTier 1とAdvanced Tier 2市場(あわせてハイエンド市場)の中でのシェアは40〜50%を占めていました。しかし、その数字は現在は20〜30%まで落ちてきています。中国のスマートフォン市場の潜在的総ユーザ数は中国の人口とほぼ同じの13億人とされていますが、そのうちTier 1とAdvanced Tier 2市場の人口は3億人とされています。ただ、Appleの現在の価格では、1.5〜2.2億人しか対象にならないということです。ちなみに中国でハイエンドスマートフォンとは、4,000人民元(約68,000円)以上の価格のものを指します。

2. ローエンドの市場では中国のその他の国産ブランドのプレッシャー

Appleはローエンド市場には旧型機を送り込むことでそのシェアを確保しようとしてきました。例えば現在iPhone X/8シリーズが最新で主流になっていて、iPhone 6s/6或いは更に古い機種がローエンド市場の主力ということになりますが、UBSはAppleのこの策略は、中国の三・四線級都市では全く意味がないとしています。なぜならこれらの都市での販売システムがまだまだ完全ではなく、またユーザにとって、旧型機は既にかなり時代遅れになっていると感じられるからです。

旧型iPhoneに比べ、新型のAndroidのミドルレンジやローエンドクラスの機種の方が、大きなバッテリーと新しい設計(殆どがiPhoneのパクリともいえますが。。笑)、そしてもっといいカメラを搭載しています。つまり、Appleが世界的に展開している、旧機種によってローエンド市場を支配するという策略も、中国には通用しないということです。下の図では、中国国産スマートフォンブランドがここ数年でAppleやサムスン(SAMSUNG)に相当巨大なプレッシャーを与えていることがわかります(ただ、2014年からのサムスンの凋落ぶりが目立つのも確かです)。

Chinese-Local-Brand_Caught-Up-Apple_2018

3. スマートフォンの買い替え周期が長くなっていることも影響

中国市場では、全体的にスマートフォンの買い替え=アップデートの周期が長くなっていることがAppleにも影響しているとみられます。中国のスマートフォンユーザは、恐らくここ数年目立った進化がないことから、またスマートフォンにある程度の品質があれば日常の使用でほぼ満足できるため、買い換えの周期が長くなっていると思われます。ただし、この問題はAppleだけではなく、他の中国で販売しているメーカー全体が抱えている問題でもあります。

4. 番外編:Appleはハードウェアよりもソフトウェアやサービス業務に主力をシフトか

以前のモルガン・スタンレーのアナリスト、Katy L. Huberty氏のレポートでは、AppleはiPhoneなどのデバイスの売上の成長が鈍っていることから、ソフトウェアなどのサービス業務(Apple Music、App Store、iCloud、Apple Pay等)にシフトし、それらによって営業収入や利益を伸ばそうとしています。予測によれば、Appleの2018年の営業収入の成長率は2%になるだろうとみられています。

Apple Payに一縷の望みが・・・?

Apple MusicやApple Payの中国でのシェア率は10%以下とされていて、まだまだ成長の余地がある市場ともいえますが、実際は音楽ストリーミング配信サービスやモバイル決済サービスの市場においては、既に中国国内企業によって支配的な地位が築かれてしまっており、そこに入っていくのは容易なことではありません。今のところ、Apple Payは最近iOS 11.3から中国の交通カード(まだ北京・上海のみですが)に対応したことから、中国でもこれから少しずつシェアを伸ばすのではないかと期待されています。

記事は以上です。

(記事情報元:Yahoo! Finance

Visited 70 times, 1 visit(s) today
  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

この記事を書いた人