iPhone 6sの『唯一変わったのは、そのすべて。』は誇大広告?中国で訴訟、中国移動がキャッチコピー取り下げ

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皆さんの中にはAppleのiPhone 6sの『唯一変わったのは、そのすべて。』はずいぶんと誇張した言い方だと感じていた人も多いのではないだろうか

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iPhone 6sを購入した中国の弁護士が、キャッチコピーが虚偽広告と感じ、販売した携帯キャリアを起訴

中国の何干林弁護士AppleのiPhone 6sを購入した時に、『唯一変わったのは、そのすべて。』というキャッチコピー(中国語では『唯一的不同,是处处都不同』)が誇大広告であると感じ販売者の中国最大にして世界最大の携帯電話キャリア、中国移動(China Mobile、チャイナモバイル)を相手取って約2万元(約38万円)の訴訟を起こしていた問題で、進展があった。中国のメディア≪Mac X≫の報道によれば、11月17日に何干林弁護士が中国の澎湃新聞網に伝えたところによると、チャイナモバイルはiPhone 6sの広告からこのキャッチコピーを外したという。

 

何弁護士によるiPhone 6sのキャッチコピー『唯一変わったのは、そのすべて。』が虚偽広告であるとする理由とは

中国の≪澎湃新聞網≫の以前の報道によれば、何干林弁護士はチャイナモバイルの公式サイト上でiPhone 6sを購入したが、キャッチコピーの『唯一変わったのは、そのすべて(唯一的不同,是处处都不同)』がおかしく、また実態に合っていないと感じたという。まずこのキャッチコピーではiPhone 6sが変わったとするその対象についてこれまでのiPhoneシリーズなのか、それとも他社のAndroid製品なのかを述べていないこと、またもし前世代のiPhone 6と比べたとした場合iPhone 6sの外観は基本的に殆ど全く変わらず、そして性能上の改善もそれほどなく、また機能や部品の一部に至っては全く何もグレードアップされていないからだ。

 

『唯一』や『すべて』という絶対化用語の使用は中国の広告法に違反

そのほかにも、何干林弁護士はキャッチコピーの中の『唯一(日本語と同じ意味)』という言葉と『处处都(どこもかしこも全て、という意味)』は絶対化用語で、これは≪中華人民共和国広告法≫で明らかに広告に使用することが禁止されている用語だと指摘している。

確かに今年9月1日に施行された中国の新広告法の9条では、広告では『国家級』、『最高級』、『最良の』といった用語は使ってはならないと定められている。また28条では、広告内容が人に誤解を与えるような欺瞞が合った場合、また消費者を誤誘導するような広告は虚偽広告とみなす、と明記されている。

 

チャイナモバイルが早速iPhone 6sのキャッチコピーを取り下げる、訴訟と関係が?

11月12日、澎湃新聞網が確認したところ、Appleの中国オフィシャルサイトとチャイナモバイルの販売ページにおいて、iPhone 6sの宣伝写真の上にはまだ『唯一的不同,是处处都不同』のキャッチコピーが使われていたという。

そして5日後の11月17日に同じく澎湃新聞網がチャイナモバイルのサイトを確認したところ、iPhone 6sに関わる画像からこのキャッチコピーが全て消されていたという。確かに、記事更新時点で私がチャイナモバイルのiPhone 6sの販売ページを確認したところ、このキャッチコピーは見当たらなくなっている。ただこのキャッチコピーの消去が、何干林弁護士の訴訟と関係しているかどうかについては不明だ。

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11月18日時点のチャイナモバイルのサイト上のiPhone 6sの広告画像。確かにキャッチコピーが削られている

 

AppleはまだiPhone 6sのキャッチコピーを取り下げていない

なお、11月18日の記事更新時点でAppleの中国公式サイトではiPhone 6sのキャッチコピーがまだ残っている

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訴えられたのは販売者のチャイナモバイルだが、Appleも共同被告に加えられる?

何干林弁護士が起訴したのは、中国移動通信グループの末端会社、広東支社だった。彼は、同社が販売量を増加させるために虚偽の宣伝広告を打ったとして、被告にiPhone 6sの購買価格の3倍の賠償金20,574元(約39万7200円)を支払うよう訴えている

既に11月9日には中国広東省広州市天河区の裁判所はこの訴訟を受理している。なお、近いうちに、裁判所はApple社も共同被告として加える予定だという。

 

画蛇添足 One more thing…

かなりそれを言っちゃおしまいだよ!(ドラえもん風に)的な訴えで、この弁護士は中二病なのか!と思われるかもしれない。あまりに純粋、そしてあまりに痛い。。風車に立ち向かうドン・キホーテか、はたまたビッグ・ブラザーIBMに立ち向かうアップルコンピュータの海賊スティーブ・ジョブズ気取りなのかもしれない。。しかしチャイナモバイルが実際にキャッチコピーを取り下げているのを見れば、あながち効果がなかったとはいえないのではないだろうか(もちろん訴訟が理由かはわからないが、取り下げるタイミングがよすぎる)。

訴訟額も40万円以下と訴訟費用を完全にオーバーしていると思われる(とはいえ何弁護士自身が訴訟をしているのであまり関係ないともいえるが)この訴訟は、どちらかというと何弁護士の個人への賠償というよりもメディアなどを巻き込んだ社会現象にしたいという思いがあるのだろう。そう考えれば何弁護士の売名行為だと思われなくもない。

ただ、確かにiPhone 6からのマイナーチェンジのiPhone 6sに『唯一変わったのは、そのすべて。』というキャッチコピーをつけたのはAppleもちょっとやりすぎだなと私も感じていたくらいなので、共感する人は多いのかもしれない。

iPhone 6sでiPhone 6からアップデートされたのはCPU性能、3D Touch機能の増加、RAMの増加、カメラの性能向上、Touch IDの反応速度の向上、LTE Advancedのサポート、くらいなもので、あとは何が変わったかといわれると返答に窮する。外観もローズゴールドモデルが増えた以外は背面刻印のSの字が追加されたくらいだ。すべてが変わったかといわれると、確かに変わっていないし、それが唯一といわれるとなんだかよくわからない。消費者を煙に巻いているような言葉にも見える。

ちなみに最近Appleは確かに誇大表現が多いなという気がする。Appleも広告を打つときに、現地の広告法を調べたりしないのだろうか?ただ殆どが英文の直訳(iPhone 6sの場合、“The only thing that’s changed is everything.”)だと考えると、コンプライアンス体制が甘かったかもしれない。

違和感のあるキャッチコピーや広告は確かによくない。ただ、アメリカのように何でも訴えたら勝ちみたいになると、挑戦的で創造的な広告も生まれないわけで、なかなかバランスが難しいところのような気もする。

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記事は以上。

(記事情報元:澎湃新聞網Mac X

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