AppleのiPad ProがGoogle Pixel Slateに学ぶべきいくつかの点について

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世界で最も売れていて、最強のタブレットデバイスといえばAppleのiPad Pro(しかも最近発売されたばかりの2018年モデル11インチと12.9インチ)ですが、実はグーグル(Google)も自社の強力なタブレットデバイスを販売しています。今年10月、グーグルはChrome OSで動作する全く新しいタブレットデバイス、Pixel Slateを発売しました。これはまさに2in1デバイスで、キーボードとトラックパッドを使うことでタブレットデバイスがノートパソコンに早変わりするのです。

iPad_Pro_2018

Google Pixel Slateは12.3インチのタブレット型コンピュータですが、基本理念はマイクロソフト(Microsoft)のSurfaceと似たようなものですが、iPad Pro 2018モデルと同様USB-Cポートを搭載し、マグネットポートも搭載し、内部にはインテルの第8世代のx86系プロセッサが使われています。

今回はGoogle Pixel Slateの詳細の紹介をするのではなく、このデバイスのiPad Proもこれを学ぶべきと思われる優れた点をいくつか挙げてみたいと思います。

2つ目のUSB-Cポート

iPad Pro 2018と同様、Pixel SlateもUSB-Cコネクタを使って外部と接続します。Pixel Slateにはイヤホンジャックはありませんが、側面の端に2つ目のUSB-Cポートが追加されていて、これがAppleのiPad Pro 2018よりも優れていて実用的といえます。

Google_Pixel-Slate_01

なぜなら、タブレットデバイスは縦にしても横にしても、キーボードやその他のベースに挿して使う場合でも、接続ケーブルが不便にならないようにPixel SlateのUSB-Cポートは端についているからです。iPad Proは真ん中にしかないため、UX的にはPixel Slateに劣ります。

USB-Cで外付けストレージに接続可能

iPad Pro 2018では、業界で標準的になってきているUSB-Cポートが採用されましたが、他のコンピュータとは違い、接続できるデバイスが限られている上に、その制限について公式に何も発表されていないため、ユーザは自身の持っている外付けデバイスを接続してみて使えるかどうか試さなければならないというような事態に陥っています。現在わかっているiPad Pro 2018に接続できない外付けデバイスとして、代表的なものはUSB-C接続の外付けストレージデバイスです。

iPad Pro 2018のUSB-C接続による拡張性が低いということは、製品名にもあるはずの”プロ”の範囲を大幅に狭めているといえます。ユーザは直接iPad Pro 2018にプリンタやスキャナを接続することもできません。USB-Cポートはあくまで充電や、外付けディプレイ、デジタルカメラなど、Appleで公式に認められたデバイスと用法でしか使用できないのです。しかしPixel Slateでは、USB-Cポートでは少なくともUSB-Cタイプの外付けストレージには接続可能で、どのアプリからも簡単にそのストレージにアクセスして中のデータやファイルを読み書きすることができます。

マルチユーザログイン

iPadシリーズで長年論争を生んできたのが、マルチユーザログインが不可能なことです。一人で使う分にはその需要は大きくないですが、iPhoneと違ってiPadのような家族で使うようなデバイスの場合は、やはりマルチユーザログインがあったほうが便利です。iPad Proは特に高い価格で販売されているので、家庭で1人に1台というわけにはいきません。子供が使う場合などは、使うアプリなどを制限したいという需要は常にあるのです。

Google_Pixel-Slate_02

Pixel Slateではマルチユーザログインが可能で、ユーザによって使用する機能を変更することが非常に簡単にできるようになっています。グーグルのAndroidではもともとそれが可能でしたが、Chrome OSはそこまで便利ではなく完璧でもないものの、例えばメインユーザのみPlay StoreとAndroidアプリが使えるようにすることは設定でき、お子様にも安全に使用してもらうことができます。

トラックパッドとバックライト付キーボード

iPad ProにはSmart Keyboardという純正キーボードオプションが用意されています。ということは、これはユーザがiPad Proを机の上に置いて、デスクトップパソコンのように使うことを想定されているわけですが、ではiOSはデスクトップのUIとUXはそのように考慮されて作られているものでしょうか?例えば、ユーザはタッチパネルに一切頼らずにキーボードのみで操作ができるようになっているでしょうか?

ハードウェア的なやり方は簡単です。iPad ProにはSmart Connectorがあり、そこに外付けトラックパッドを取り付ければいいのです。しかし、iOSの制限上、マウスもサポートされていませんし、外付けトラックパッドによるタッチ操作もサポートされていません。マウスは百歩譲って使えないことを受け容れたとしても、トラックパッドによる指の動きで色々な操作ができれば便利になり、作業効率は上がります。しかし現状ではiPad Proで仕事に関わる作業をやろうとした場合、ユーザはどうしてもキーボードと画面のタッチパネルの間を指が往復しなければならないという状況になっています。キーボードのカーソル操作にも限界があったりします。

Google_Pixel-Slate_03

またキーボードバックライトも本来は簡単に実現する機能のはずです。AppleのMac(MacBook)が世界で初めてキーボードバックライトを導入したということもあり、しかもキーボード1つ1つにバックライトを搭載するという細かい芸当も実現していて、これらによって暗い環境下でも作業ができるようにしています。しかしiPad Pro用のSmart Keyboardには今でもバックライト機能はなく、機能的に遅れているか、時代に逆行しているような印象を与えます。

完全なデスクトップベースのブラウザ

一般ユーザにとってはあまり大きな問題ではないかもしれませんが、Appleがコンピュータを作るということであれば、強力なブラウザはやはり必要でしょう。しかも、iPad Proと”Pro”ユーザ御用達を標榜しているわけですから、尚更です。そしてiPad Proのブラウザ機能はそこそこ満足できるできで、速度も速く、互換性も高いのですが、技術的な角度からいえば、やはりその機能はまだモバイルデバイスのUX上にあるといえます。

それに比べると、Pixel SlateのChromeはPC版と全く同じで、更に専用に設計された機能が使用可能です。このChromeブラウザでは、基本的なブラウジングの機能だけではなく、様々なプラグインでWeb上のアプリなどを利用することができ、またデスクトップ版のWebページをいちいち読み込む必要もありません。

もしAppleがiPad Proをパソコンと同等にしたいのであれば、少なくともデスクトップ(macOS)と同等の完全なSafariを入れるべきではないでしょうか。

Pixel Slateにも欠点が

Google_Pixel-Slate_04

もちろん、すべての製品には長所と欠点があります。例えばPixel Slateの欠点も少なくありません。まず、Pixel SlateのUIは完全にタッチパネルに最適化されていません。Chrome OSはもともとデスクトップベースのOSであって、その後大改造されてタッチパネルに対応したものだからです。また、タブレットデバイスでありながら様々なレベルのCPU(Intel Core m3、i5、i7、Celeronなど)から選べるというのもユーザを混乱させます。その点は、iPad Pro 2018はA12Xに統一されていますし、これまでの世代のiPadシリーズも基本的には1つの世代は1つのCPU(SoC)で統一されているところは優れています。

いずれにせよ、1つの製品がますますよくなっていくにつれ、欠点の修正は必要になってきます。その際に、他社や競争相手の製品の長所を取り込むというのは非常に重要な要素となるといえるでしょう。

iPad Proはビジネスユースでバリバリ使うにはほど遠い

iPad Proもコンピュータと同等に扱えるようにするには、もっと多くの改善が必要ですが、根本的にOSがモバイルOSである以上、難しそうな気がします。いっそ、macOS搭載のタブレットデバイスが出てくれればなあと思うのですが、そうするとMacBookとiPad Proとのカニバリゼーションが起こってしまいそうですね。

macOSとiOSの統合は、現時点ではAppleは考えていないようで、それぞれ用途によって使い分けるとされていますが、それならばiPad ProのようなコンピュータでできることをiPadで、というような宣伝のやり方はやめてほしいと思います。統合していく方向なのは間違いないですが、まだまだ遅々として進んでいないという感じがします。現在は売り上げの大きさの違いもあり、また恐らく開発チームの規模も違いもあり、macOSがiOSの機能を取り込んでいます。特にスクリーンショットの処理などは、macOS MojaveになってiOSっぽくなっています。

昨年のiPad Pro 10.5インチ(2017モデル)を所有している私個人としては、まだまだiPad(iPad Pro)は表計算などが非常に面倒で、macOSの代わりにはならないと思っています。正直、凄まじい性能を持てあましている感じさえあります。もちろん、クリエイティブな仕事がメインな人はiPad Pro 2018だけでも十分なのかもしれません。用途によって異なるということですね。

同様に、いくつかの海外メディアでのiPad ProとGoogle Pixel Slateの比較記事では、殆どが全体的な性能的としてはiPad Proに軍配が挙げられてますが、やはり選択は用途次第だとされています。iPad Proはよりクリエイティブな仕事をしている人に向いていて、Pixel SlateはAndroidユーザや、Chromeブラウザ+キーボード+トラックパッドを使う仕事が多い人にはiPad Proほどのお金をかけずにいいものが手に入る、というような評価が大多数で、個人的にも同様の感想です。ただChrome OSのPCは以前所有していたことがあるのですが、Chromeブラウザから離れられないのがちょっと窮屈な感じはします。

記事は以上です。

(記事情報元:WeiPhone

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