新しく出てきた市場調査の数字によって、2018年の第一四半期の出荷台数ランキングでiPhone XとiPhone 8が1位と2位にランクインし、最も売れたデバイスになったことが示されています。
先日、IHS Markitが発表した2018年第一四半期(Q1)のスマートフォンの出荷台数の調査レポートで、スマートフォン全体の出荷台数は3億4550万台で、そのうちiPhone Xは1,270万台にのぼるとされているのです。この数字はアナリスト達の予測を大きく上回るもので、出荷台数1,000万台を超えた唯一のスマートフォンとなり、しかも2位のiPhone 8に大きな差を付けています。
ただ、iPhone Xが他のスマートフォンに比べて抜きんでた実績を残したとはいえ、昨年同時期(2017年Q1)はiPhone 7とiPhone 7 Plusの合計で3500万台だったのに対し、今年はiPhone XとiPhone 8シリーズ全てを合計しても3000万台に満たず、新機種の出荷台数としては昨年よりも少ないことも指摘されています。Appleは昨年3機種の新機種をリリースしたわけですが、iPhone 7/7 Plusの2機種だったときよりも出荷台数が落ちているということになります。
更に、iPhone 7やiPhone 6がトップ10に入っているのをみるとAppleのiPhoneは旧機種がまだまだ健闘していることから、iPhone 8やiPhone 8 Plusが先進的機能がなかったことから、結果的に顧客へのアピールポイントが少なかったことになり、手頃な価格のiPhone 7/7 Plusが今でもランキングに残っていることになります。今年販売されるという3機種のiPhoneが、ユーザがアップデートするに足る十分な説得力がないと、Appleは更に売上が落ちるかもしれません。ただ、Appleは今年のiPhoneには全てiPhone Xと同様のベゼルレスでホームボタンを廃止し、Face IDを搭載したモデルに統一するといわれていますが、そのうちの1つにLCDとFace IDを搭載した廉価版が登場するものとみられ、多くのアナリストがその機種が新型iPhoneの出荷台数の半分を占めるとみており、iPhone全体の出荷台数を押し上げるのではないかとみられています。
IHS Markitのコンシューマーデバイス部長のJusy Hong氏によれば、最近メーカーはディスプレイに拘っていて、なぜなら新たなディスプレイに切り替えると消費者は明らかにアップデートしたことを感じるからだといい、CPUなどのプロセッサのアップグレードによる速度向上に負けないくらいの財布の紐を緩める要因になるとしています。Hong氏は、ディスプレイのアップグレードが重視されているこの傾向は、Appleの新型iPhoneの市場シェアを伸ばすのに有利な条件になるかもしれないと述べています。
Androidにおいては、サムスンの最も売れたいわゆる”入門レベル”のGalaxy Grand Prime Plusが、830万台で3位に入っています。そしてその下にiPhone 8 Plusがあり、サムスンの新しいフラッグシップデバイスのGalaxy S9 Plusはその下に甘んじていて、790万台となっています。中国国産スマートフォンも全体的には出荷台数は伸びてきていて、世界的な市場シェアも増加しているのですが、機種ベースの出荷台数ランキングとなるとトップ10には入ってきていないようです。
昨年の同時期(2017年Q1)には中国のファーウェイ honor 5AとVIVO X9が同列10位にランクインしていたのですが、今年は中国国産スマートフォンはトップ10入りはなりませんでした。中国国産スマートフォンは、ミドルレンジ〜ローエンド市場で大量の台数を捌くという戦略が出荷台数を押し上げていますが、ハイエンドのフラッグシップ市場はいまでもAppleとサムスンが最も安定しているといえそうです。もちろん、今年のファーウェイ(HUAWEI)・シャオミ(XIAOMI)・VIVOやOPPOなどの主要中国国産スマートフォンメーカーの新機種の発表が軒並み第二四半期にずれ込んだことも、第一四半期の出荷台数に影響を与えたともいえるでしょう。
ちなみに、下図は以前Strategy Analyticsが発表した2018年Q1時点での世界スマートフォン機種別市場シェアランキングですが、上記のIHS Markitのデータとは異なった結果となり、Xiaomi Redmi 5Aが5位にランクインしています。また、iPhone Xは1600万台、iPhone 8は1250万台、iPhone 8 Plusは830万台で、この3機種での合計が3500万台を超えています。
どちらのデータでもiPhone XとiPhone 8が2018年Q1で最も売れたデバイスというのは変わりがありませんが、その数字には大きな隔たりがあります。どちらが正しいのかわかりませんが、どちらもメーカーの公式発表を反映したものでもなく、また100%消費者や流通を把握しているものでもない、あくまである程度のサンプル数から集めたアンケートデータからの予測と思われるため、やはりマーケティングリサーチ会社のデータは参考程度に見ておいた方がいいのかもしれません。
記事は以上です。
(記事情報元:Gizmochina)