Apple Silicon DTKのベンチマークスコアが登場、Rosetta 2もパフォーマンスに影響か

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先日行われたApple主催のWWDC 20(世界開発者会議2020)の基調講演で発表された、Mac用独自設計ARMプロセッサ「Apple Silicon」。そして同時に発表された、開発者用のテスト環境として用意されたMac miniにA12Z Bionicチップを搭載したバーチャルMac「Apple Silicon Developer Transition Kit(DTK)」が話題となりました。このApple Silicon DTKの世界最初のベンチマークスコアが、発表から1週間後というタイミングでGeekBench 5のサイトに登場しました。

Apple-Silicon-developer-transition-kit-tim-cook

登場したGeekbench 5のベンチマークスコアは、「VirtualApple」という検索結果がで見つかった結果から、DTKの識別子と考えられている「eperm-d995af6e2ef02771」という名前のシステム概要が明らかになっています。

発見された8つの結果は全て、プロセッサに「VirtualApple 2,400MHz(4コア)」を搭載していて、これがDTK用のA12Z Bionicチップの仕様であることがわかります。またOSとして「macOS 11.0」が使用されていて、RAMは16GB搭載されていることがわかっています。

パフォーマンスの面では、シングルコアテストの結果は、736〜844ポイントとばらついていて、平均は811でした。マルチコアベンチマークスコアの範囲は2,582〜2,962で、平均スコアは2,781です。

Apple Silicon DTK Geekbench 5 Benchmark Scores

これらの結果は、同じくA12Z Bionicを搭載しているiPad Pro 12.9インチモデルのシングルコアスコア1,118及びマルチコアスコア4,625よりもかなり低くなっていますが、それにはいくつかの理由が考えられます。

まず第一に、AppleはA12Z Bionicを、iPad Pro用の2.5GHzクロックではなく、DTKでは2.4GHzで実行しています。CPUの動作クロック数を落とすことで、パフォーマンスが落ちるのは間違いありません。

別のスコアダウンの主な要因は、ベンチマークテスト自体にあります。なぜなら、このベンチマークテストは、Apple Siliconで実行されるネイティブのARMベースのアプリを使用しているのではなく、Geekbench 5のmacOS用クライアント(アプリ)を使用してベンチマークが実行されている可能性が非常に高いからです。

Appleは、IntelベースのMac向けのアプリをApple Siliconで機能するように変換する一種の”翻訳システム”として「Rosetta 2」を導入していて、Geekbench 5のアプリはこのRosetta 2上で動いていることが想定され、そのことがベンチマークスコアに影響しているのは必至でしょう。

上記のベンチマークスコアは、現行のMac miniモデルのスコアさえ下回っているので、一部の人はこの結果に失望するかもしれません。しかし心に留めておくべき点がいくつかあります。

まず、DTKは、開発者が開発中のソフトウェアを新しいApple SiliconベースのMac用にテストするためのシステムとして意図されており、Apple Siliconのパフォーマンスのデモとして使用することを意図していません。

ジャーナリストのジョン・グルーバー(John Gruber)氏との最近のインタビュー(下の方のYouTube動画参照)で、 Appleのソフトウェアエンジニアリングの最高責任者、クレイグ・フェデリギSVP(上級副社長)は、今週リリースされたDTKを従来或いは将来のコンシューマー製品と比較すべきではないことを強調したかったようです。

「将来的にMacに搭載する予定のない既存のiPadチップで実行されているDTKハードウェアであっても、移行テストのためだけに存在するものです。macOS Big Surはそんなシステム上でも非常にうまく動作します。」「もちろん、これは将来のMacを判断するための基準ではありませんが、私たちのApple Siliconチームが試していないことでも、何ができるかを理解するのに役立ちます。」

Appleが最初のコンシューマーベースのApple SiliconモデルのMacを出荷する前に、チップ自体の変更や他のコンポーネントの改良など、ハードウェア的な変更を加える可能性が非常に高いのは間違いありません。さらに、「macOS Big Sur」自体と「Rosetta 2」を高速化するために、パフォーマンスの改善が行われるのはほぼ確実です。

現時点の開発者用ベータ版、しかも移行用テスト環境でこのレベルのパフォーマンスが出ているということで、逆に安心した方がいいのかもしれません。とはいえ、iOS 14ベータ版を含め、ベータ版はまだまだ動作が不安定なため、開発者以外の使用を推奨するものではありません。我々一般消費者は、Appleのエンジニアや外部の開発者、そして先駆者達が苦労して開発したハードウェアとソフトウェアが最終的にリリース版(GM版以降)となって登場するのを待てば良いのです。

さてあなたはApple Silicon版のMacをすぐ手に入れますか?それとも?

私は、暫く様子を見たいと思います。今年MacBook Pro 16インチ Ultimateモデルを買ったばかりですし、今後もIntel Macは発売される予定です。また完全な移行には2年かかるらしいですしね。。

記事は以上です。

(記事情報元:Apple Insider

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