Appleのティム・クックCEOへの顧客からの直メール”Dear Tim”は、Apple内で巨大な影響力を持つ

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AppleのCEOであるティム・クック(Tim Cook)への顧客の個人的な電子メールは、実際に読まれており、特にApple Healthチーム内で、従業員のやる気とモチベーションをあげさせ、将来の機能へのインスピレーションを生み出すもとになっているとApple Insiderが伝えています。

Dear-Tim-Email
Dear Timと題されたEmail。Tim Cook CEOのEmailアドレスは、すぐに想像できますよね。

ティム・クックがAppleに入社する以前から、顧客はAppleの製品に関する経験、、つまり製品の善し悪しについて、Appleの最高責任者に直接メールしてきました。もちろん、ティム・クックの前はスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)です。カリスマに溢れる創業者だったからこそ、その製品も顧客に愛されていたので、直言したい人が多かったのでしょう。そしてティム・クックCEOが後を継いでから、その動きは更に活発化しています。

時には、顧客はAppleの最高責任者からEメールや個人的な電話で返事をもらうことさえあります。かつてティム・クックCEOは、多くの人が昨年のMac miniのアップデートを待っている間、Mac miniのアップデートをコミットメントを再確認し、顧客に対してメールで返信したことがありました。

そして、最近 “Dear Tim”と呼ばれるようになったこれらのいわゆる”直訴Email”は、実はほとんどの人が予想するよりもはるかに大きな影響をAppleにもたらしているというのです。

実際に人々の生活を改善したり命を救ったりするのに大きな影響を与えた製品、Apple Watchの発売とともに、これらの”Dear Tim” Email宛に顧客が自ら経験した物語を共有するにつれて、その量が増えたようです。

Apple Watch Series 4 ECG

サンフランシスコのアップルストアで行われた最近のアメリカ心臓月間(American Heart Month)イベントで、 Julz Arny氏は「それらの手紙(Email)が舞い込むようになってきてから、Appleにとっての新しい日々が始まりました」と述べているほどです。

CNBCでは、これらの”Dear Tim” EmailのApple社内内部処理プロセスについて概説しています。この作業には、まず情報源に従って、受信したEmailを読むことを唯一の仕事とするプロセスに精通したパーソナルアシスタントが関与します。特に重要だと思われるEmailは、個人的な注意を払うためにティム・クックCEO自身の本当のメールアドレスに転送され、その他のEmailはApple内のさまざまなチームの幹部のメールリスト宛に送信されます。

そしてこれらのEmailは個別のチームに広められた後、更に一般職員に対してさえ、モチベーションのために共有されるのです。

Apple Watchが最初に発売された後、Appleはこの製品において、健康とフィットネスの機能をデバイスの最も重要なセールスポイントの一つにすることを推進しました。内部情報源では、ヘルスケア機能の促進のために”Dear Tim” Emailの一部をわざわざクレジットしているほどです。

そういった機能などの改善に役立つ以外にも、Emailは士気を高めるために重要であるとCNBCは伝えています。Appleは秘密主義を貫いていて、特にApple社内で顧客に直接対面することのない立場の従業員、例えばエンジニアのような人たちは、そのEmailによる顧客からの声がなければ、自分たちの仕事の結果を直接聞いたり見たりすることが難しいからです。

この管理手法は、私も以前日本企業の中国上海支社で工場長と調達・品質管理をやっていた経験から効果があるのを知っています。私は自社の従業員だけではなく、提携先の個々の作業員レベルに対しても、現在製造したり組み立てたり検査したりしている製品が最終的にどのような完成形になるのか、そしてどのように使われるのか、更に実際に使ってもらった感想や喜びの声などを日本の本社から取り寄せて伝えることで、その製品の製造に関わることに喜びや誇りをもってもらったり、また責任感を感じてもらうという努力をしていました。その結果、モチベーション(士気)があがったのはいうまでもありません。

日本の江戸時代に徳川吉宗が設置したことで有名な「目安箱」みたいなものなのかもしれませんね。ちなみに目安箱制度自体は、戦国時代の戦国大名、北条氏康が相模に、武田信玄も甲府に設置していたようですよ。

いわゆるティム・クックCEOのメールアドレス=目安箱には恐らく毎日莫大な”直訴メール”が届いていることでしょうね。日本ではこのような直訴状が悪用されるパターンもあり、その辺は判断が難しくなります。Apple社内に専門のメールを読むスタッフがいるというのが驚きですが、メールが活かされるか殺されるか、或いは悪用されてしまうかはその人の裁量次第である程度決まってしまうところがありそうです。そしていずれはAIによってその仕事も取って代わられるのでしょうか。。

記事は以上です。

(記事情報元:CNBC via Apple Insider

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