【禁じ手か、現実解か】Apple、中国製メモリ「CXMT(長鑫存儲)」の採用テストに着手。米上院は8月21日までの回答を要求

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Appleが、中国のメモリメーカー【CXMT(長鑫存儲)】のDRAMを、iPhoneやMacBookに採用できるかテストしているようです。The Wall Street Journalが8月10日に報じました。中国国内で販売する製品向けに、部品供給について初期段階の協議に入っているとのことですが、話はそう単純ではありません。米政府の承認待ちであり、さらに米上院議員団が「使わないと明言しろ」と回答期限を切って迫っています。

半導体工場でウェハーを扱う様子のイメージ

そもそもCXMTとはどういう会社か

CXMT(長鑫存儲、ChangXin Memory Technologies)は、安徽省合肥に本拠を置くDRAMメーカーです。中国が国を挙げて進めてきた半導体国産化のなかで、DRAM分野における本命と位置づけられてきた会社ですね。

ここ数年で急速に力をつけていて、中国国内のスマートフォンメーカー向けには既に大量に供給しています。とはいえ、Micron、SK hynix、Samsungという世界3強と肩を並べたかというと、まだそこまでではない、というのが一般的な評価です。

そのCXMTの製品を、Appleが自社製品に載せるかどうか検討している。これはかなり大きな話です。Financial Timesは以前から、AppleがCXMTのDRAMの品質認定(クオリフィケーション)に着手していたと報じていました。

米国の規制が厄介。「買うのはいいが、注文仕様で作らせるのはダメ」

ここが今回いちばん面白いところです。輸出管理を専門とする弁護士のKevin Wolf氏が、規制の線引きをこう説明しています。

Appleは、CXMTが既に作っている汎用品を買って価格交渉することはできる。しかし、自社の要求仕様に合わせて設計させることはできない。

米国のルールは、米国企業がCXMTに技術を移転することを禁じており、これには技術的な打ち合わせや製品仕様の共有までが含まれるためです。つまり「棚にあるものを買う」のは可能でも、「うちの製品用にこう作ってくれ」と注文するのは違法になる、と。

これは実務上かなり痛い制約です。Appleは自社製品に合わせてメモリの構成を細かく詰めるのが常なので、汎用品をそのまま使うとなると、基板を設計し直すか、性能面で妥協するかを迫られることになります。

シューマー院内総務ら超党派の議員団が待った。回答期限は8月21日

政治の側からも圧力がかかっています。チャック・シューマー院内総務が率いる超党派の上院議員グループが、Appleに対して中国製メモリの使用を完全に排除するよう要求しました。回答期限は2026年8月21日とされています。

もう10日ほどしかありませんね。Appleがどう答えるのか、あるいは答えを濁すのか。ここは注目しておきたいところです。

そもそもCXMTに余力があるのか。しかも安くない

そして現実的な問題として、CXMT側の事情もあります。報道によれば、CXMTは年間の生産能力を既に使い切っていて、新規の海外顧客に回す余力がほとんどないとのこと。さらに価格も、Micronなど競合と同等かそれ以上だといいます。

ここは意外に思われるかもしれません。中国製というと安いというイメージがありますが、今のDRAMは世界的な品不足で売り手市場です。安く買い叩ける相手ではないわけですね。

そうなると、Appleがここまでのリスクを取ってCXMTを検討する理由は、価格ではなく調達先の確保だということになります。とにかく数が要る、という切迫した事情が透けて見えます。

中国に住んでいる立場から見ると

今回の話で個人的に引っかかったのは、「中国国内で販売する製品向け」という限定が付いている点です。

これが実現すると、同じiPhoneでも中国本土版だけ中に入っているメモリが違う、という状態になり得ます。中国本土版と香港版・日本版の違いといえば、これまでは物理デュアルSIMの有無や技適の話が中心でした。そこに部品構成の違いが加わってくるとなると、話の性質が変わってきます。

もっとも、メモリは規格品ですから、同じ容量・同じ速度であれば体感で分かるような差は出ないはずです。過剰に心配する必要はないと思います。ただ、当ブログでは毎年、中国本土版と香港版の仕様を細かく調べていますので、今年はそこも見るべき項目に入ってきたな、というのが正直な感想です。

そしてもう一つ。中国側から見ると、これは「Appleがついに中国のDRAMを認めた」という文脈で語られることになります。実際に採用まで至るかは別として、Appleが品質認定に踏み込んだという事実だけで、CXMTにとっては強力な看板になります。米国の議員団が神経を尖らせているのも、まさにそこでしょう。

なお、Appleがここまでしてメモリを確保しようとしている背景については、こちらの記事にまとめています。

Apple、2026年のハードウェア出荷を絞り込みへ。メモリ不足が直撃

記事は以上です。

(記事情報元:MacRumorsThe Wall Street Journal

※記事中の画像はイメージです。実機や実際の施設の写真ではなく、生成AIで作成したものです。

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