Apple社クックCEO:テック企業の男女のバランスが悪さがアメリカの競争力を下げている

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AppleのCEO、ティム・クック(Tim Cook)CEOが先日母校のオーバーン大学で演説をした時、「私たちは多様化されたチームだけが偉大な製品を開発できると信じている」と述べた。当然ながら、Apple内部も従業員の「多様性(ダイバーシティ)」に非常に力を入れて強化しようとしているし、Apple社としても職場やそれ以外での寛容性を強めることを強くサポートすることを直言している。

現実は厳しい、シリコンバレーはやはり男性が支配する文化

しかし現在のシリコンバーレの現実は厳しい。シリコンバレーでは、男性のテクノロジー系技術者こそがそこの国王であるかのように信じており、テック産業の発展を壮大に推し進めるのは男性に導かれた雰囲気で、シリコンバレーができてからこれまで深く根付いてしまった文化のように見える。

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Getty Images
Tim Cook, CEO of Apple, visits an Apple store where third grade children from PS 57 James Weldon Johnson Leadership Academy are learning how to code through Apple’s ‘Hour of Code’ workshop program on December 9, 2015 in New York City.

ティム・クックCEOはこの状況について非常に心配だとしている。彼は、現在のアメリカのテック企業の男女従業員比率のバランスが深刻なほど崩壊しているとしていて、このままの状態が続けば、アメリカが世界中のテック市場でのリーダー的な地位を失うのではないかと危惧している。

 

クックCEOのロジック:女性のSTEM分野への進出が少ない、それがアメリカの競争力に影響する

ティム・クックCEOのロジックは非常に簡単だ。「女性達も(男性達と)同様に労働力を組成する重要な一部です。もしもっと多くの女性がSTEM(科学・技術・工学・数学)分野に入ってこなければ、このような男女比率のバランスの悪さがアメリカのテック産業のイノベーションに影響するでしょう。そしてアメリカが世界でリーダー的な地位を失うのも、火を見るよりも明らかな事実です。」

 

Appleは積極的に女性従業員の採用を進めているが、32%でまだ不十分

Appleが公表したデータに依れば、Appleの従業員のうち、女性は32%を占め、また新入社員のうち37%が女性だったという。ただし、技術に関する職位については、やはり女性従業員はたった23%しかいないのが現状で、Apple社自身も昨年、ようやく自らも男女の給与の平等を実現したと発表したばかりだ。しかしアメリカ全体を見てみると、工業のエンジニアの女性はたった17.1%しかいないのが現状だ。

クックCEOは演説の中で、「ある人が強烈に多様性は重要ではないと説いたとすれば、私たちは彼らにもっと別の意見があることを聞かせて、彼らが間違っていたのではないかと思わせたいです。私は多様性が非常に重要だということをずっと唱えてきました、彼らがどう私たちを見ようとね」。

クックCEOは更に、多様性の向上はアメリカのGDP(GNP)や製品の品質にも役に立つと考えているが、このような考え方で現状を変えるのはやはり並大抵のことではない。

 

まだまだ道のりは険しい

近年来、Appleは従業員の多様化に全力を注いできた。その成果は、やはりApple製品のイノベーションや売上などの目に見える形で成功したか失敗したかが見えないといけない。ただAppleを取り巻くマクロの環境、シリコンバレーだけではなく世界のテック企業に変化をもたらすには、クックCEOは更に多くの仕事をしなければならないだろう。

 

画蛇添足 One more thing…

ティム・クックCEO自身がゲイであることを自らカミングアウトしたように、彼は自らが多様化の旗振りの旗手となってAppleを引っ張っている。しかしテック企業のイノベーションは果たして多様化によってもたらされるのだろうか。。過去を振り返ってみても、テック業界で神のように崇められているのはやはり男性が圧倒的に多い。Appleのスティーブ・ジョブズやスティーブ・ウォズニアック、マイクロソフトのビル・ゲイツ、グーグルのラリー・ペイジやセルゲイ・ブリン、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ、テスラのイーロン・マスクなども全員男性だ。日本でもソフトバンクの孫正義もやはり男性だ。もちろん女性も活躍しているのだが、表に出てくるのは男性ばかりということで、やはりマクロの環境を変えていくのは難しいのかもしれない。

しかし、少ないからといって男性だけが向いているのかというとそうともいえないのだろう。何らかの文化の足かせが女性のSTEM分野への進出を阻んでいるのかもしれない。私も日本で通っていた高校は高校2年生で文系と理系にわかれたが、理系のクラスに入った女性は極端に少なかった。それはやはり、なんとなく文化的な背景があったように感じたのを覚えている。自由で男女平等が日本より進んでいるといわれているアメリカでさえそうなのだから、日本では尚更なのだろう。埋もれている才能が結局文化的足かせで活かされないのはもったいない。

ただ、クックCEOの今回の発言は、殊更アメリカファースト主義、白人主義、移民を認めない態度などを表明しているトランプ大統領に向けられた痛烈な批判ではないかと私個人的にはみている。マクロ環境を変えるならまず大統領から。。結構大胆な行動じゃないだろうか。

 

記事は以上。

(記事情報元:CNBC

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