著名なデベロッパーで脱獄ハッカーの@Comexがmoby pictureにビデオをアップロードし、本来搭載されていないWebブラウザをApple Watch上で動作させてGoogleのトップページを閲覧し、Apple Watchに搭載されているWatch OSの脱獄に成功したことを証明した。当然ながら、小さい画面でのスクロールなどは非常に使いにくそうで、現実的ではないが。。
重要なことは、このビデオによってApple Watchでも任意のコードが実行可能だということが証明され、これがApple Watchの脱獄の第一歩となったことだ(以前@i0n1cが脱獄に成功したという報告はしていたにせよ)。当然、ComexはApple Watchの脱獄ツールをリリースすることは保証はしていない。ビデオ上ではiOSユーザが既に見慣れたUIの要素、例えばコピーのポップアップメニューなども表示されていることがわかる。これによってApple Watchの根底にはiOSの血が流れていることが判明した。Watch OS 1.0はやはり実際はiOS8.2の簡易版で、比較的浅いレイヤーでApple Watchの小さいディスプレイに合わせているのだ。
Watch OSがiOSであることを証明するために、Comexは更にiOSの辞書も出しており、ただそれが1.5インチディスプレイに表示されているだけだとしている。ちなみにAppleは既にApple WatchのSDKをデベロッパに配布しているが、新しいSDKではデベロッパにApple Watchで動作可能なアプリを開発可能だが、WatchKitによってiPhoneアプリの拡張ができるというわけではないのが現状だ。
画蛇添足 one more thing
iOS7の脱獄ツール”Pangu”が出るまでのiOS脱獄(ジェイルブレイク、Jailbreak)は欧米ハッカーの独壇場だった。実はそれ以降中国の脱獄ハッカーグループがリリースした完全脱獄ツール”Pangu(盤古)”も”TaiG(太極)”も、脱獄の技術の基礎は欧米ハッカーによるもので、中国はその応用とマネタイズという役割を果たす、という構図が見え隠れする(ただしマネタイズして美味しいところを持って行くのは中国だが)。
もし中国人もApple Watchの脱獄に成功しているのであれば、世界一・世界最速が好きなので、必ずビデオや写真を公開しているはずだが、まだしていないということは成功していないのは間違いない。ということでApple Watch脱獄の現状は欧米ハッカーの方が一歩先を行っていることになる。
ただ、欧米はマネタイズのエコシステムができていないように思える。そんなわけで今後も、欧米開発、中国マネタイズという構図が続くのかもしれない。
いずれにせよデフォルトの状態ではあまりにやれることの少ないApple Watch。ComexによってWatch OSはやはりiOSがベースになっていることが明らかにされた今、脱獄でできることの想像力が一気に膨らんだのは間違いないのではないだろうか。
Apple Watchの成功の秘訣は脱獄にあるのかもしれない。それは、かつてのiOSがそうだったように。
記事は以上。
(記事情報元:9to5Mac)