前Apple工業デザイン主任が語る、Appleで学んだこととは

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2007年、著名な工業デザイナー・Robert Brunnerはこんなジョークを言ったことがある「私が死んだ後、私の墓銘には”ジョニー・アイブを雇った男だった”と書いてくれ」と。
Brunnerはデザイン会社Ammunitionの創業者で、かつてBeats、Adobe、Polaroid、Square等でハードウェアとソフトウェアのデザインを担当していた。以下は中国のメディアfeng.comの記事から。

Robert-Brunner_former_Apple_design_leader

しかしBrunnerが最も人々に知られているのは、1989年〜1997年にかけてAppleにて工業デザイン主任を担当していたその経歴だ。当時Appleで彼は同社のデザインチームの結成を任されており、それがあったためにAppleには現在のデザインのトップ、ジョニー・アイブ(Jony Ive)が入社したのだ。もしBrunnerがAppleにいなければiPhoneもなかったかもしれないし、今のAppleの快進撃もなかったかもしれない。

「ずっと前のことだけど、私にとっては非常に重要な事だった。私の当時の考え方はこうだったと記憶している。”もし世界でどこかの会社が他の人がびっくりするようなデザインチームを創りあげるとしたら、それはAppleに違いない。そうだろ?”と。しかしあの頃はまだAppleにはデザインチームがなかった。だから私の任務はApple内部に素晴らしいデザインチームをつくり上げることだったんだ」

Brunnerは、Appleでの経歴が、自分が命を捧げた会社の中に完全に浸透することの重要性がわかったという。彼はそれこそが本当に人が最も影響力を発揮するための唯一の方法だと考えているという。

「あれは本当に絶妙な体験だったよ。あれが私にわからせたんだ。。これは専門家には学べないことだが。。あなたと会社の関係の深さがものごとの可能性に影響するんだってことが。トラディショナルな工業デザイン以外にも、私は社内で多くの方面の仕事に関わった。何千人、何万人という非常に賢い人達と共に1つの社会と1つの文化の中にいることで、会社が製品を作り出し、また製品を売ることができるんだ。これらの経歴が私の業績を作ってくれたんだ」

Brunnerは、これらのAppleで学んだことをもって、自身の新しいデザイン会社Ammunitionを立ち上げたのだという。

「この点は非常に重要だ、Appleでの経験が私たちAmmunitionでの仕事を導き、当社と他社の協力関係も導いている。他社と相互理解を深め、相手の企業文化を理解し、相手の幹部たちとコラボレーションをすることですべてを可能性を試すことを促進できる。なぜならそれが私たちの仕事だからだ。優秀なデザイン以外にも、我々は可能性を実現することが必要とされていて、それによってプロダクトが誕生し、そして世界に貢献することができるんだ。これらはみんな私がAppleで学んだことだよ」

画蛇添足:Brunnerがいた頃のApple、その後の輝かしいApple、そして今のApple

BrunnerがAppleにいた頃、1989年〜1997年のAppleの製品はデザイン的に優れていたかというとあまりそういうことはなかったかもしれない。そもそもその時期はAppleの低迷期で、いつ潰れてもおかしくはないといわれていたのだった。彼がAppleを去ったのはスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)がNeXTからAppleに非常勤顧問として復帰した直後の1997年だった。もしかしたらジョブズとそりが合わなかったのかもしれない。

そしてAppleがデザイン的に最も優れたものが出てきていたのはやはりBrunnerが去った後の、1998年から始まるiMac、iPod、アルミフルボディのMacBook、MacBook Air、そしてiPhone、iPadだろう。
これらはBrunnerが基礎を作り、ジョニー・アイブがトップを務めたデザインチームが生み出した傑作であることは間違いない。Brunnerがそのジョニー・アイブをAppleに雇ったことを考えれば、その功績は計り知れない。
だがしかし、それらの傑作は全てスティーブ・ジョブズがその最終的なデザインを決めていたことを忘れてはならない。

ジョブズ亡き後のAppleは皆さんもご存知のとおりだ。基本的にはジョブズ時代の遺産をそのままひきずっており、脱却できていない。利益の半分はiPhoneによってもたらされている。デザインもiPhone6/6 Plusからは完全にジョブズの息がかかっていないと言われるが、出てきた現物は見た目の通り、まああんなものだ。そして来年発売予定のApple Watchのデザインも。。一体誰が最終的なデザインにGoを出したのだろう、と溜息をつかざるをえないレベルになっている。

惜しむらくは、Brunnerが97年以降Appleに残らなかったことかもしれない。

記事は以上。

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