カナダロイヤルバンク傘下のRBC Capitalのアナリストが、Appleの2018年新型iPhoneについて、先日新しい投資家向けレポートを発表し、他のアナリストも追随する形で一致した内容のレポートを出しています。それらによれば、2018年の秋の新製品発表イベントでは3種類のiPhoneがリリースされ、1種類は液晶ディスプレイ(LCD)、他の2種類は有機ELディスプレイ(OLED)が採用されるとのことで、来月の5月からこの3種類は全て大量生産に入るということです。
2018年の新型iPhoneは3種類、2018年後半で8000〜9000万台販売、LCD版が半分を占めるという予測
RBC CapitalのAmit Daryanani氏のレポートによれば、iPhoneは2種類のOLED機種(iPhone X PlusとiPhone X 2?)以外にも、1種類の6.1インチLCD全面ディスプレイの機種(iPhone X SE?)がリリースされ、全てに3DタッチセンサーとFace ID機能が搭載されるということです。また2018年後半でiPhoneの販売台数は8000~9000万台に達し、そのうちLCD機種が半分を占めるという予測をしています。
2018年の新型iPhoneは3種類、2018年後半で8000〜9000万台販売、LCD版が半分を占めるという予測
今年の年初、多くのアナリストはiPhone X/8シリーズの世代の販売台数は1億台になると予測していますが、RBC Capitalは部品サプライヤーの受注量から見てそのデータは不正確で、予測が少なすぎるとしています。というのも、発注量の減少の主な原因はサプライヤーの仲間が在庫整理を非常に厳しくやっているから、というのです。RBC Capitalは、Appleが厳密な生産量増加によるコスト管理スキームを使っていて、つまり次世代のiPhoneには更に多くの機能、少なくともFace IDは全ての製品に搭載されるとしています(統一することによって数量を増やしてコストを下げる、ということ)。
量産は試作で良品率を見てから徐々に増やしていく方式を採用か
Amit Daryanani氏は更に、次世代iPhoneの量産は5月に開始され、まずは量産試作を行って良品率を測定し、最終的に量産の時期を確定するというこれまでの方式がとられるとしています。昨年のiPhone 8は5月に量産が始まりましたが、iPhone Xは良品率が低かったために、9月〜10月頭にならないと真の意味での大規模量産には入れなかったという事情もあるほどです。
LCD版(廉価版)が半分かそれ以上のシェアを占めるという予測は従来通り
LCDのiPhoneは2018年に販売されるiPhoneの総出荷台数の半分を占めるという見方は、これまでのアナリスト達が予測してきたものとほぼ変わらないものです。今年3月に台湾のメディアDigitimesが、LCDパネルのiPhoneが生産量の50%を占めると予測しています。更に前にはIHS Markitがパネル製造会社の上流の会社から得た情報として、LCDディスプレイのシェア率が全体の2.7億枚のうち半分を超えると予測していました。そしてその更に前には、KGI証券の著名なアナリスト、Ming-Chi Kuo(郭明錤)氏も同様の予測をしていました。
iPhone X Plus(仮称)にはトリプルレンズカメラ搭載か?
なお、台湾の經濟日報によると、3機種のうち1機種(恐らくiPhone X Plus、6.5インチOLEDモデル)に、トリプルレンズカメラが搭載されるという情報もあります。6Pレンズで、光学ズームが5倍まで対応できるというもので、ますますコンデジや一眼レフの性能に近づくかもしれません。トリプルレンズのカメラが採用されれば、組立委託先でもあるフォックスコンの親会社台湾ホンハイ(鴻海)や大立光に大きな利益をもたらす可能性がある、と經濟日報は指摘しています。ちなみにトリプルレンズは既にファーウェイ(HUAWEI)の新型フラッグシップモデル、P20 Proに搭載されており、従来のデュアルレンズにモノクロレンズが追加され、VR/ARに役立つ空間認識能力が高まり、また同性能であれば4000万画素のカメラによる高画質な写真の撮影が可能になると思われます。
Appleは更にMacやiPadも世代交代?新しいストリーミングサービスや新ジャンル製品もリリース?
Amit Daryanani氏は、次世代iPhoneがリリースされれば、Appleのサービス部門の成長も予測を上回るほどとなる、としていますが、スマートフォンやタブレットPCの全体の市場シェアは下がるとしています。とはいえ、同氏は2018年(会計年度)でのAppleの業績の見通しについては楽観的な姿勢を崩していません。なぜならAppleは今年新型iPhoneやMac、そしてiPadも世代交代させ、更に新しいストリーミングサービス或いは全く新しいジャンルの製品群を発表するとしているからです(ただしMacやiPadについては具体的にどのようなものになるかどうかについては言及されていません)。
サプライチェーンからの情報は鵜呑みにすると危険かも
なお、上記のレポートの情報は全てアナリストがサプライチェーンを調査し、実際に取材して得た情報ということですが、あくまでバイアスがかかったアナリストによる発表で、しかもAppleから公式に得られたものではないので、注意が必要です。
記事は以上です。