Appleは昨日未明、新製品発表スペシャルイベントで次世代iPhoneのうちアニバーサリーモデルの【iPhone X】を発表しましたが、なんといってもその最大の特徴は顔認証の「Face ID」といえるでしょう。
しかしこのFace IDが発表されてから、世界中(特に中国)で「愛人を登録しておいたとして、奥さんがいる前で愛人の顔で解除されたらどうしよう」などと心配の声があがっていました。これは色々な(ちょっと歪んだ)意味でプライバシーの侵害になりそうでした。
しかし、どうやらそのようなちょっと変な心配は杞憂に終わりそうです。というのも、1つの【iPhone X】の端末には、Face IDは1つしか登録できないことがわかったからです。というわけで、他人があなたの【iPhone X】のロック解除をしようとするとパスワードやパスコードが必要となるので、パスワードやパスコードを複雑にしておけば安全、ということになります。
しかしそう考えると、Face IDに比べ、Touch IDの方が遥かに便利といえば便利でした。Touch IDの場合は5本の指が登録できたので、最大4人の他の人の指紋も登録することができます。またTouch IDは手が濡れているなどのことがなければあまり失敗しませんでしたし、特にiPhoneを顔の前に持っていかなくても解除できていました。
またFace IDもTouch IDと同様、別の顔で認証しようとするのを何度も繰り返すと、パスワード・パスコードの打ち込みを要求されます。かなり顔認証の精度が高いと言っておきながら、昨日のAppleの新製品発表スペシャルイベントでクレイグ・フェデリギSVPが壇上で【iPhone X】のデモをしたときに、1台の【iPhone X】がクレイグ・フェデリギSVPの顔を認識しませんでした。こちらの動画の4:11あたりでその失態を見ることができます(再生すると自動的に4:11から再生されます)。
クレイグ・フェデリギSVPは2度試しますが、結局パスコードを入れるように要求され、”Ho ho ho! Let’s go to backup here!” と言ってごまかして、バックアップ(予備)で用意されていたもう1台の【iPhone X】で何事もなかったかのようにデモを継続します。
この原因は、PhoneArenaによると、どうやらデモの前に多くのスタッフが解除しようとテストしていた可能性があると指摘されていますが、バックアップをわざわざ用意していたくらいなので、いずれにせよまだ完全ではないのかもしれません。実は、私小龍も個人的な顔認識センサーのメーカー筋から得た情報として、【iPhone X】に搭載されているセンサーは前世代のものにカスタマイズを施されたものらしく、まだ問題があってそれをファームウェアで解決できるかどうか、といった段階にあるそうです。ということで、【iPhone X】は製造が歩留まりが悪く遅れているのと同時に、Face IDのファームウェアが不安定で、iOS 11のバージョンがiOS 11.1またはそれ以降になってからでないと安定しない、というのが【iPhone X】が販売先送りになった原因となっているようです。
ちなみにSAMSUNGのフラッグシップモデルGalaxy S8では、指紋認証・顔認証・虹彩認証の3つから選ぶことができます。正直、少なくともその点だけはGalaxy S8は【iPhone X】よりずっと先を行っているといっていいでしょう。
Appleの【iPhone X】に搭載されたFace IDは、イベント会場の現地にいた記者などを除き、まだ私たち一般人は実際に体験していません。実際に製品化した場合、今回のクレイグ・フェデリギSVPのような恥ずかしい場面が発生しないことを祈るのみです。Appleは指紋認証のTouch IDの誤認証の確率が5万分の1に対して、顔認証のFace IDの誤認証の確率は100万分の1だと喧伝しました。しかし実際に認証できないこともあることがなんと1分の1であの晴れ舞台の上で露呈してしまったのです。
いずれにせよ、私はTouch IDの方が便利だったのではないかと思います。ほぼ意識せずにロック解除できていたのですから。。Face IDの場合は更にスワイプが必要です。ロック解除の工程が一つ増えるとは、ナンセンスな気がします。。
株価のために1年に1回、10周年という時間に縛られ、まだ完璧でないものやあまり練られていないものを世に送り出すことを余儀なくされていることから、今回まだ不完全なFace IDの発表せざるを得なくなったという事情になっていないでしょうか。。私は何となくiPhone 8 Plusが欲しくなってきてしまいました。笑
記事は以上です。
(記事情報元:PhoneArena)