香港のSouth China Morning Postが報じたところによると、The Mirror Newspaperからの情報として、中国の首都北京で、初めてニセモノの”Appleサービスセンター”が摘発され、知財侵害として27万元(約468万円)の罰金が科せられたということです。
店舗は本物に似せた作り、スタッフさえニセモノであることを知らないパターンも
この店舗ではスタッフも濃い色地に白いAppleのロゴが入ったTシャツを着ており、まるで本物のように部品などを販売したり、修理サービスを受け付けていたりしていたそうです。AppleのiPhoneで3Dバーコードを読み込むと、Appleロゴマークが入ったAppleサービスセンターからのメッセージが表示されるという凝った演出もしていたそうで。。スタッフの中にさえ、本物のAppleのお店で働いていたと信じ込んでいる人もいたようです。
北京でニセApple店舗が摘発されるのは初めてのこと?
ニュース記事によると、北京でこのようなニセモノのAppleサービスセンターが摘発されるのは初めてのことということです。北京の工商局も、このニセサービスセンターが顧客を騙し、更にAppleの商標権を侵害していたことを認めています。また工商局はこの店舗ではニセモノの部品が販売されており、質の悪い粗悪品を掴まされるだけではなく、そこで修理すると公式での修理が受けられなくなるという不利益を被るということです。
既に販売されていたニセモノを押収開始、他の店舗も強制捜査へ
店舗で販売されていたニセモノの部品は月曜から押収が始まり、既に関連店舗への強制捜査が入っているようです。なお、今回摘発された店舗を運営していた企業の英語名はBeijing Zheng Yuan Henri Technologyということです。同社は業務内容として、30000社もの取引先にモバイルとコミュニケーションサービスを提供している、と豪語していたようです。
トランプ大統領がいるアメリカの強い要望で見せしめ的に摘発が行われた可能性も
一般的に著作権の遵守意識がほぼないといってもいい中国でこのようなニセAppleサービスセンターが摘発されるのは非常に珍しいパターンといえます。ニセモノのiPhoneや部品の取り締まりや摘発は、深圳の世界最大の電子市場、華強北市場でよく行われているのですが。。
中国とアメリカ合衆国は知財に関する協定を結んでいて、最近トランプ大統領になってから、特に中国で知財侵害についての調査が進められていたということです。今回の摘発は、アメリカからの依頼によって行われた可能性が高く、しかも首都北京で規模が大きいところが摘発されたためニュースになったということで、見せしめの可能性があります。
中国での実態、店舗も部品もニセモノだらけ
実際中国では町中にニセモノのApple小売店やAppleサービスセンターが溢れています。これらのニセサービスセンターでは、例えばiPhone用のAppleロゴ入りのバッテリーが300〜400元(約5,200〜6,900円)という価格で売っているにもかかわらず、実体は仕入れ値が60元(約1,040円)以下の品質が悪いニセモノであるとの調査結果があります。また、今年1月の半年だけで40万元(約693万円)もの売上がある店もあったことが、調査員の調べでわかっています(下の写真がその証拠です)。なお、中国に41店舗あるApple直営小売店では、本日からモバイル決済のアリペイ(支付宝、Alipay)の取扱が始まったのですが、この店舗では既にアリペイや、現在まだApple直営小売店では扱っていないはずのWeChat Pay(微信支付)まで使われていることがわかります。
本物のAppleサービスセンターはごく少ないが、公式サイトで調べよう
これらのニセAppleサービスセンターの特徴として、表の看板や店内に大きくAppleのロゴが飾られていて、”苹果”というAppleの中国語名も大きく書かれていることが挙げられます。本物のApple直営小売店は、Appleロゴは比較的控えめに出しており。”苹果”というAppleの中国語名を表に出すことはほぼありません。これらが本物との見分け方といえそうです。
いずれにせよ、もし旅行や滞在の際に中国でiPhoneを修理する場合は、Appleの公式サイトで公式のApple直営小売店を調べて行くことをお勧めします。中国のマップアプリやサイトの百度や高德などでは、ニセモノのAppleサービスセンターが勝手に登録されているので、そういったアプリで探さないようにするのがよいでしょう。Apple直営小売店は全国で41店舗しかないため、ほぼ大都市(省都クラス)にしか存在しませんし、それ以外の都市のサービスセンターはほぼ全てがニセモノといっても過言ではありません。
記事は以上です。
(記事情報元:South China Morning Post、Tencent QQ News)