マーケティングリサーチ会社のStrategy Analysticsが、世界のスマートスピーカー市場調査の結果を8月14日に公表しました。その結果、Appleが半年前にリリースした新製品、HomePod(日本では未発売)の販売台数は予想通り芳しくないものになっています。
Strategy Analysticsによると、2018年第2四半期(4〜6月期)で、HomePodの出荷台数は70万台となり、世界のスマートスピーカー市場でのシェア率は6%に留まっています。
ちなみに2018年第1四半期(1月〜3月期)では、HomePodの出荷台数は60万台だったということです。ということで、AppleのHomePodは1月末からアメリカ・オーストラリア・イギリスで販売を開始してから、6月末までの約半年弱で世界で130万台出荷された、ということになります。
この数字は、別のマーケティングリサーチ会社のCIRPの出した数字よりもかなり低い数字となっています。CIRPははHomePodがリリース以来、アメリカだけでも300万台販売されたとしていました。
この2社の数字に倍以上というとんでもない開きがあるのは、Appleが公式にHomePodの出荷台数を公表していないからです。Appleは、HomePod、Apple Watch、Apple TV、AirPods、Beats、iPod Touchやサードパーティ製品などを一緒くたにして、”その他”というジャンルで扱って発表しているからです。2週間前のAppleの業績レポートによると、2018年第2四半期(4〜6月期)の”その他”の営業収入は3740万ドルで、昨年同期比37%成長しています。
当然ながら、HomePodの”出荷台数”は最終的な”販売台数”とはまた別の数字となります。というわけで、最終的にユーザの手に渡ったHomePodがどれほどの数になるのかについては、なかなか知ることができません。もしかしたら、Strategy Analysticsの数字は、真実に近いのかもしれません。もともとHomePodはいわゆるニッチな製品で、今年6月からカナダ・フランス・ドイツの3ヶ国で新たに販売が始まったとはいえ、まだ6ヶ国でしか販売されておらず、Appleも今後その販売地域を広げるかどうかについては不透明です。
Strategy Analyticsのデータでは、今年第2四半期のHomePodは世界で最も売れたスマートスピーカーランキングの4位で、Amazon Echo、Google HomeとAlibaba(アリババ)の天猫精霊がそれぞれ1位〜3位に入っています。そしてこの市場シェアトップはAmazon Echoで、世界で41%のシェアを握っています。Google Homeは27%、Alibabaの天猫精霊は7%となっていて、Appleとは僅差になっています。
AppleのHomePodは出遅れ、いきなり躓いているような状況といえるでしょう。そしてHomePodにとって市場には更に発展のスペースがあるともいえますし、また多くの不足を補わないと更なる発展は難しいともいえるでしょう。HomePodは他のメーカーに比べ、2〜3年遅れて発売となりましたが、正直この状況は目に見えていたといっても過言ではないでしょう。
多くのアナリストは、AppleがHomePodの値付けをもっと競争力のあるものにしないと、市場シェアを伸ばすことはできないとしています。349ドルという価格は、Amazon Echoの50ドルと比べると明らかに割高です。Google Homeは高いですが、それでも129ドルです。Appleは既にこの点を意識したようで、”低価格版HomePod”を現在開発中という情報もあります。また、BeatsブランドにもSiriを搭載し、もっと安い価格で提供する計画があるともいわれています。
もう1つの大きな問題は、Siriの性能です。AmazonやGoogleに比べ、あまりに聞き取り間違いやミスリードが多いSiriは、正直実用レベルではないともいわれているほどです。ソフトウェアも改善しない限り、HomePodの成功は難しいでしょうね。
記事は以上です。
(記事情報元:MacRumors)