二人とも小さい批判に超敏感!?モスバーグ氏がスティーブ・ジョブズとビル・ゲイツのエピソードを語る

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先月、著名なテック業界のコラムニスト、ウォルト・モスバーグ(Walt Mossberg)氏が自身のコラムの中で、最後のコラムを発表しました。そのコラムの後は、モスバーグ氏は正式に引退するということです。ただまだやはりこれまで有名だった人物だけに、モスバーグ氏はまだ大衆の視線から完全に消え去ったわけではないようです。

Walt Mossberg Code Conference
ウォルト・モスバーグ(Walt Mossberg)氏。

先日、モスバーグ氏はVox Media及びrecode主催のCode Conferenceに姿を見せ、インタビューの中で見た自身とAppleの共同創業者・スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)及びマイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ(Bill Gates)とのストーリーやエピソードを語りました。モスバーグ氏にインタビューしたのは、Twitterの前CEO、Dick Costoloでした。

1991年から、モスバーグ氏はウォールストリート・ジャーナル上でテック系のコラムを執筆し始めます。その中で、Appleとマイクロソフトの製品の評価について書くと、毎回書くたびにかなりの確率でジョブズ或いはゲイツから個人的に電話がかかってきたそうです。

例えば、90年代末、ジョブズがAppleに復帰する前に、Appleは倒産の危機に陥っていました。モスバーグ氏はそれに関してコラムに書きました。その標題もそのものズバリで「Appleの訃報」でした。コラムの中でモスバーグ氏は、ゲイツは智によってジョブズに勝ったとし、「スティーブはテック業界に飛躍的な発展をもたらしたが、ビルは更にすごいビジネスマンだった」と記したのです。

コラムがリリースされた当日の朝、モスバーグ氏はゲイツからの電話を受けました。その時、ビル・ゲイツは非常に怒っていたそうです。

モスバーグ氏は、ゲイツが「私がただのビジネスマンだって?スティーブはエンジニアで、私はビジネスマン。私はこういう言われ方に本当に嫌気がさしているんだよ」と話したことを明かしています。

モスバーグ氏が話したジョブズとゲイツに関するエピソードから、この2人のテック業界の巨頭には共通点があったことがわかります。それは、彼らは2人とも、うまく批判を受け止めることができず、どんなに小さな批判に対しても雷の如く怒って反応するということです。

モスバーグ氏は、毎回Appleの製品の評価を書くたびに、必ずジョブズからの電話をもらったそうです。

ジョブズは電話で、「私が電話をかけたのは、コラムに対して不満だからじゃないんだ」と切り出すそうですが、結局毎回話題はだんだんコラムへの不満に移っていったのだそうです。

モスバーグ氏が評論の中で、どんなにApple製品を褒めようと、そしてユーザにApple製品を買うように薦めようと、ほんのちょっとでもApple製品の不足について指摘をすると、必ずジョブズの怒りを買ったそうです(モスバーグ氏は評論の中で必ず製品の不足点について指摘をしていました)。

「あれは不公平だ。」と言ってジョブズはコラムの中で非難された製品について解釈と説明をしたそうです。

いずれにせよ、ジョブズであろうとゲイツであろうと、最終的には批判を受け容れたそうです。モスバーグ氏は、「テック業界は本当によくやっている、彼らは一般人でもあっという間に使い方をマスターできる製品を作るようになってきている」と評価しています。

それも、Appleやマイクロソフトだけではなく、テック業界全体がいかにユーザに使いやすい製品を作ろうと努力しているかということの表れなのでしょう。批判に対していちいち反応して電話をかけるというジョブズやゲイツもなんだかかわいいですが、モスバーグ氏としてもあの天下のジョブズとゲイツから直接個人的に電話をもらえる仲で、しかも最終的に批判を受け容れてもらていたというのはやはり並ならぬ信用と実績、そして人間的に繋がっていたんだなあということを感じます。そしてもちろんそれはモスバーグ氏のコラムが適切に製品の良さも指摘していること、またテック業界への愛が溢れていたことが前提にあるのでしょう。ジョブズもゲイツも、モスバーグ氏のコラムを楽しみにしており、個人的に電話をかけるのを楽しみにしていたところもあったりするのではないでしょうか。

そんな偉大なコラムニストでジャーナリストのモスバーグ氏の引退は残念ですが、また新しい世代のコラムニストが、新しくイノベーションを起こす世代のトップ達と共にエキサイティングな記事を書いてくれることを期待しています。私もブログを書いている者として、できればそのような形でものが書ければ冥利に尽きると常々思っています(一部、iPhoneケースの『Palmo(パルモ)』に関しては開発側としてそれに近い書き方はできるのですが)。

なお、インタビューについてはrecode及び以下のYoutubeから見ることができます(全編英語ですが)。これまでrecodeでインタビューする側だったモスバーグ氏がインタビューされる側に回ったというだけでも面白いことですね。

なお、Code Conferenceでは、本日別の記事でも書いたスティーブ・ジョブズの未亡人、ローレン・パウエル・ジョブズ(Laurene Powell Jobs)さんや、トランプ大統領と大統領選で戦い敗れたヒラリー・クリントン(Hilary Clinton)さんへのインタビューなど、興味深い人物からの生の声を聞くことができます。recodeのYoutubeのチャンネルを見ると、沢山のこのような貴重なインタビューに溢れています。英語力が必須ではありますが、字幕を追っていけばある程度わかるのではないでしょうか。

記事は以上です。

(記事情報元:recode

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