iPhone 6sが予期せずシャットダウンする問題で、Appleはとうとう日本語での無償バッテリ交換プログラム情報をアップした。
そして、中国のサポートドキュメントのみで、この予期せぬシャットダウンの原因について説明していることも判明した。
中国のサポートドキュメントのみ、製造上の原因であったことが説明されている
実はApple公式の中国のサポートドキュメントのみで、このバッテリー問題の原因が説明されている(他国版にはない)。なお説明は中国語と英語の2カ国語でなされている。内容は以下の通り(翻訳)。
Appleは一人一人のお客様を重視しています、特にApple製品に疑問があるお客様に。iPhoneユーザが予期せぬシャットダウンに遭遇するという状況を知った後、当社は徹底的な調査を行い、デバイスを収集して分析を行いました。
そして当社は、2015年9月から10月に生産された少数のiPhone 6sデバイスのうち、あるバッテリーの部品がバッテリーに組み入れられる前にコントロールされた空気に触れた時間が長すぎたことで、バッテリーの消耗速度が正常の水準よりも速くなったため、予期せぬシャットダウンに繋がったことがわかりました。強調しておきたいのは、これは安全性の問題ではないということです。
(中略)
そして当社としてもお客様にお知らせしたいのは、iPhoneを設計する際に、例えば極度に寒冷な気温などの一定の条件下で自動シャットダウンするように故意に設定しています。自動的にシャットダウンするのは一部の状況によってはお客様にとっては意外に感じられるかもしれませんが、このような設計は電子部品を低電圧によって損傷することから守るために行われているものです。
引用元:Apple公式中国語サポートドキュメント(原文中国語)
つまり、一定期間の部品の製造工程上で、バッテリーの中の一部の部品が規定よりも長い時間空気にさらされていたことが原因、ということのようだ。
なぜ中国のサイトだけで説明されているのか
そして、なぜ製造上の問題であったということが中国のサポートサイトだけで説明されているのだろうか?
実はもともとこの無償バッテリ交換プログラムは中国消費者協会からの”つきあげ”があって、中国市場を重視するAppleがやむなく実行したもの、という裏話があるからだ(ちなみに中国消費者協会は既にiPhone 6s以外にも、またその他のロットについても無償交換プログラムを提供するように公開要求書をAppleに提出済み)。
しかし、それだとAppleが他の国のユーザを軽視していると捉えられてもおかしくない。Appleは日本語のサポートドキュメントの公開も遅れた。恐らく中国のクレームが一番多く、そして次が本国アメリカ、そして日本はクレームが少なかったから対応が後手に回った可能性がある。
グローバル企業としては、少々抜けが目立つ対応ではないだろうか。。
本当にAppleの説明やメディアの情報が正しい?
しかし、本当にAppleの製造上の問題だったということを鵜呑みにしていいのだろうか?本当にAppleの該当の機種の該当のロットにしか同じ問題が発生しないのだろうか?
こういうことであれば、やはり圧倒的な数のiPhoneの修理を長期間にわたってこなしているiPhone修理屋さんに聞くのが一番!!
ということで、いつも私も開発に関わっている究極のiPhoneケース『Palmo(パルモ)』をよく宣伝していただいてお世話になっている、青森のBeeMobile(ビーモバイル)代表荒井さんに聞いてみたところ、やはり興味深いお話が聞けたので以下にざっくばらんにまとめてみたいと思う。
iPhoneの電源が突然シャットダウンする現象についての分析
実はiPhone 6sに限った問題ではない
iPhone 5の頃から同様の問題はあった。しかし不思議なことにiPhone 4sまではなかった。そして現在iPhone 6/6 PlusでもiPhone 6s Plusでも同様の現象が発生している。
iOS 10、iOS 10.1.1にアップデートすると発生するというのは?
他のブログなどで、iOS 10の問題ではないかと勝手に結論づけている記事があるがそれには疑問を感じざるを得ない。なぜなら、現在進行形でiOS 8でも9でも問題が発生しているためだ。
なお、ビーモバイル荒井さんのところに持ち込まれたバッテリー状況のiPhone 6sはiOS 9.3.5でもシャットダウン問題が起こっている。ということでiOS 10特有の問題ではない。ちなみにこの端末はAppleの無償バッテリ交換プログラムの対象端末だった。
バッテリ充電サイクルは516回、1年ちょっとの使用実績としては多い方ではないだろうか(1日1回以上充電していることになる)。Maximum Chargeが、Design Capacityの1715mAhに対し、1386mAhになっているのがバッテリの劣化を表している(下の80.8%)。しかしバッテリのキャパが80%(20%の劣化率)でも、突然の電源シャットダウン問題は起こるのである。
予期せぬシャットダウンが発生する仕組みとは
iPhoneに表示されているバッテリーの%は、実は本当のバッテリーの容量を指しているわけではない。バッテリーは消耗品なのでへたってくる(劣化する)。へたってくると、キャパが落ちてきて、例えば70%になったとすると、iPhoneを満充電するとiPhone上には100%と表示されるが、実際は70%のキャパしか充電されていない。そして表示されているバッテリー残量が使っているうちに50、40%と下がっていって、そして30%くらいで突然電源がシャットダウンするのが今回の問題と思われる。
iPhoneのバッテリ側にはICチップが入っていて、サイクルカウントを記録してキャパを管理している。iPhoneはそれを読みに行って、そこのデータの通りに表示をする。充電ケーブルを挿すとバッテリー容量表示の数字が変わることがあるのは、そのタイミングでバッテリー側のICにデータを読みに行くと思われる。
このことからわかるように、iPhoneに表示されているのは理論値で、実際のバッテリーのリアルタイムのキャパではない。そのため、バッテリーが劣化してiPhoneを動かすのに十分な電力がないのに、iPhone側にはまだ容量が残っているかのように表示されているため、突然予期せぬシャットダウンが発生するというわけだ。
原因としてバッテリーの初期不良も
バッテリーの初期不良の問題もゼロではない。酷使をしていないのに数ヶ月でバッテリーがダメになる個体も実際に存在するため。
なお、今回のAppleの調査の結果ではそのような説明になっているが、あるロットに限ってこれが起きるわけでもなさそうなので、Appleの説明が妥当かどうかは今後の動きに注目する必要がありそうだ。
バッテリーを交換すると間違いなく治るのか?
バッテリーの問題であれば交換すれば治るが、これまでiPhone 5sで、突然の電源シャットダウンによって基板側にまで問題が波及して、リカバリーが不能になった端末もある。その場合は端末の交換が必要となる。
iPhone・バッテリの上手な使い方について
基本的にバッテリの劣化によって突然のシャットダウン問題が起きることはわかった。では、できるだけ劣化させない方法はないのだろうか?
iPhoneのバッテリーとCPUの省電力化は進んでいる
iPhoneは代を重ねるごとに進化しており、それはバッテリー自身のキャパや性能、そしてCPUの省電力化も例外ではない。実際にバッテリーは過去の機種よりも長持ちするようになってきている。
ユーザのスマホの使用量や高性能化によるアプリの負荷が激増、本体側の進化を超越するレベル
上記の通りiPhoneは進化しているものの、それによって更に高性能なアプリが動くようになったり、これまでできなかったことができるようになることで、ユーザのスマホの使用量、時間の激増と、過酷な環境で酷使する頻度が増え、本体の進化を超越してしまっている状況がある。
正に社会では携帯・スマホへの依存が進んでおり、それがバッテリーの消耗を招いてしまっている状態だ。
またアプリ自身の問題もある。アプリの中には、CPUやメモリやパケット通信使用量に負担を大きくかけるものがあり、それらのアプリを長時間使うことでバッテリーに高負荷をかけてしまうことがある。
使用温度もバッテリー寿命に影響する
Appleが推奨する温度外、酷暑や酷寒な環境でスマホを使用することで、バッテリーに負荷をかけることもあり、このこともバッテリーのキャパの減りを早くし、寿命を短くする原因となる。特にビーモバイルさんのお店がある青森などでは気温が低い時には注意が必要だ。
また、周囲の空気の温度に関係なく、本体が熱い状態でiPhoneを使い続けることもバッテリーの寿命を縮める原因となる。本体が熱くなったら充電はやめ、できれば電源を切って放置しておくのが一番だ。
iPhoneのバッテリー寿命を長持ちさせる使い方、バッテリーの賢い充電の仕方ってあるの?
ビーモバイルの荒井さんはiPhoneのバッテリーの充電の仕方にコツはあるのか?とよく聞かれるという。これまでの月に1回バッテリーはカラにして満充電するべきとか、受電しながら使ってはいけないという噂や情報がまことしやかに流れているが、都市伝説に過ぎない。
なぜなら、iPhoneはICによって、充電は80%まで高速充電、そして100%になったら充電を止めるように自動的に設計されていて、充電に関してはかなり賢くコントロールされている。
つまり、気にしないで、好きなように使って、好きな時に充電すればOK。
ただし、充電している時に本体が熱くなったら充電ケーブルをすぐに取り外すこと。これは、やはり熱ダレなどを引き起こすからだ。
サイクルカウントの不思議
iPhoneのバッテリーは、60%以下の状態から充電を始めると充電が1サイクルカウントされるといわれている。このサイクルカウントも、バッテリーのキャパシティに影響するかというと、目安とはなるがそれが実は一概にはいえない状況だ。
なぜなら例えばiPhone 4sはもしバッテリーを交換していなければ、サイクルカウントが1,000回を超えていても当たり前だが、1,000回を超えても現在でも問題なく使えている人がいる。
しかしiPhone 5以降だとなぜかそうはいかないようになっている。Appleではサイクルカウント500回を目処に交換としていた時期があったが、AppleのiPhoneのメジャーアップデートは2年で、キャリアも2年縛りなので2年で500回ならわかるが、最近では1年で500回を超えてしまう人が激増中。
なお、上記でご紹介したとおり、サイクルカウント500回を超えている端末で突然のシャットダウン問題が確認されている。
それだけ、ユーザのバッテリーの消耗は激しくなっていて、バッテリーの性能がそこに追いついていないのかもしれない。
バッテリー診断でこれらの傾向が測定可能
バッテリーのサイクルカウントや実際のキャパシティは、バッテリーやシステムの仕様を見るタイプのアプリで確認できる。
簡単なものではBattery Care、相当細かい情報などを見るにはリチウム(Lithium)有料版、また上記で紹介されていたCoconutBatteryなどがある。
ただ、バッテリーサイクルはiOS 10以降はシステムに数値が報告されなくなったため、実際に見ることができるアプリは少ない(アプリによってカウントするしかない)。
青森のビーモバイルではバッテリー無料診断が可能
なお、青森のビーモバイル(BeeMobile)さんでは無料バッテリー診断を実施中。電池の減りが速くなる仕組みや、実際になぜ電源が落ちるのかの説明もしてくれる。また現状のバッテリーの劣化具合、そしてバッテリー予報(いつ頃になったら交換)までしっかりとサポートしてくれるので安心だ。
▼2号店 サンロード青森店
- ビーモバイル 青森駅前アウガ店
〒030-0801 青森市新町1-3-7 Festival City アウガ 3F
★駐車場522台(5:00〜23:00)
青森駅前公園地下駐車場96台(身障者用2台)
★JR青森駅より徒歩1分
★登りエスカレーター3階上がって直ぐ右手!!
FaceBookページ:https://www.facebook.com/beemobile.auga - ビーモバイル 2号店 サンロード青森店
〒030-8533 青森市緑3-9-2 サンロード青森 2F
★駐車場1800台 無料
★青い森鉄道『筒井』駅より徒歩30分
★バス停 『サンロード青森前』すぐ
★館内2F サンロードとイオンの中間あたり
FaceBookページ:https://www.facebook.com/sunroad.aomori.beemobile/ - ビーモバイル公式サイト:http://www.beemobilefix.com/
ちなみにバッテリーの劣化が早い人は、常に充電器を繋げっぱなしにしている(恐らく本体が熱くなっても充電をしている=放電と充電を同時にしてバッテリーに高負荷をかけている)人か、或いは高校生など、iPhoneを尋常ではない時間使っている世代とのこと。
また青森という寒冷地帯で、特に冬場では低温で一時的にバッテリーの能力が低下し、それによってiPhoneの防御機能が働いて電源が落ちることがあるという。
結論
結局、バッテリーに対して放電と充電をいっぺんにしたり、描画が激しいゲームや動画アプリなどを長時間使用したりするような、高負荷をかけ続けるような使い方をずっとしていると、バッテリーの劣化が早くなるのは間違いないようだ。
バッテリーが劣化し、キャパが低下してくると、iPhoneの画面右上に表示されているバッテリー容量と実際のバッテリーのキャパとの整合性がとれなくなることがあり、それで0%にならなくても電源がシャットダウンしてしまうことがある。
バッテリーの状態はアプリなどでもチェック可能なので、チェックしておくといい。満充電しても、バッテリの仕様容量まで充電できていないと”バッテリーが劣化”している、ということになる。
結局、人それぞれの使い方だよ、ということになりそうだ。。もちろんAppleはロット不良を認めているので、もし交換プログラム対象であればこれを機にバッテリーを交換しておくのがいいだろう。
なお、ビーモバイルの荒井さんからこんな一言もいただいている。
便利で肌身離さずお使いになるiPhoneですから、基本的には好きなようにお使いになれば良いと思います。
バッテリーは所詮消耗品ですから、劣化・消耗を感じる様になったらバッテリー交換をすれば良いのだと思います。
やはり、バッテリーは消耗品ととらえておいたほうがよさそうだ。
最後に、取材に快くご協力していただいたビーモバイルの荒井さんに大感謝!
記事は以上。