9年前の今日、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)がサンフランシスコのモスコーン・エキシビションセンターで行われたマックワールド(Macworld)イベントで、世の中にサプライズと革新をもたらした。
まず、彼はApple Computer(アップルコンピュータ)改めApple Inc.がApple TVを発売することを発表した。そしてその後、One more thingの中で、あの時代を塗り替えたiPhoneを発表した。そしてこの製品が現在の世界最高の市場価値を持つApple王朝を支える礎となっているのだ。
発表の際、スティーブ・ジョブズは三種類のデバイスを発表するとした。
- 大画面でタッチパネル付のiPod
- 革新的な携帯電話
- 画期的なインターネットコミュニケーター
しかし予想を裏切って、これらの三種類のデバイスとはiPhoneそのもののことだったのだ。
▲初代iPhoneが発表されたMacWorldのスティーブ・ジョブズのスピーチの全てはこの動画で。英語だが。。23分10秒あたりから初代iPhoneの発表が始まる。
初代iPhoneは2007年6月29日に正式に販売開始(リリース)された。日本では発売されずGSMのみだったため電波方式が合わず使えなかったこともあり、初代iPhone(iPhone 2G)は日本での知名度や所有者はごく少なかった。公式に発売されていないGSM方式の海外諸国では、脱獄後の操作によるSIMフリー化の裏ワザによって使用されていた。
米国での販売価格は4GB版が499米ドル、8GBが599米ドルだった。初代の製品として、Apple製品は初物は買ってはならないというまことしやかに流れる格言の通り、確かに初代iPhoneは多くの欠点を抱えていた。
基本的にGSM専用携帯だったため3Gを拾わず、当時はまだApp Storeもなく、脱獄しないとプリインストールされているアプリしか使用することができない、iPhone OSの仕様でコピー&ペースト(コピペ)ができないなど、実際には当時の携帯電話やスマートフォンと呼ばれていた同世代の製品よりスペック的には劣るところも多かったのだ。
しかし私個人も初代iPhoneを使っていて大変よかったのは、当時主流だった感圧タッチパネルではなく静電タッチパネルを採用することで非常にスムーズな操作ができたり、マルチタッチによる2本指でのピンチイン・アウトができたことや、当時のiPhone OSは他のモバイル用OSと違い多言語をデフォルトでシームレスに扱えたことが衝撃だった。そしてもちろんその卓越し洗練されたアルミを基調とした丸いデザインも素晴らしかった(初代iPhoneのデザイン要素は現在のiPhone 6/6sシリーズに引き継がれたのではないだろうか)。
いずれにせよ、iPhoneは当時本当に革命的なデバイスとなり、多くの雑誌やメディアでも2007年度最優秀の発明品としてもてはやされたのだった。
あれから9年が過ぎて、iPhoneは現在でもハイエンドスマートフォンの中で最先端を走っている。またスマートフォン業界の利益の9割をiPhoneが稼いでいるともいわれ、正に業界の中のキング・オブ・キングスだ。
しかしiPhoneも去年から今年にかけては順風満帆とはいかないようだ。iPhone 6sの不調が伝えられている通り、さすがに製品ラインの最高潮をずっと保つことはAppleでも難しいからだ。既にiPhoneはマンネリ化している。それはAppleの大企業として株価を気にしなければならないという事情から、毎年新機種を発表しなければならないためだ。事実、現在Appleの重大な発表イベントはApple Watchを例外として6月のWWDCと9月頃の新製品発表会に時期が固定されてしまっている。初代iPhoneが発表されたMacWorldもここ数年行われていない。発表する時期が固定されると、中途半端な製品でもリリースしなければならないというプレッシャーにかられてしまう。最高の製品ができあがったらリリースする、というわけにいかなくなっているのだ。これではマンネリ化は避けられない。
今年はiPhone 7が販売される予定だ。Appleはここで更に革新的な製品をリリースし、マンネリ化を打破できるのだろうか?
記事は以上。
(記事情報元:PhoneArena)