AndroidスマートフォンがNFCによるバーチャル交通カードを次々と実現していく中、Appleも黙ってはいられないようです。最近交通網が日進月歩の勢いで発達する中国で、広州などいくつかの都市でApple Payによる公共交通の支払いが実現してきました。そして9to5Macの報道によると、北京と上海の2つの都市でもiPhoneやApple Watchによって公共交通(バスや地下鉄)に乗れるようになるかもしれません。上海ですと、タクシーにも乗れる可能性があります。
iOS 11のベータ版ソースコードの記述で判明
9to5Macによると、開発者のギルヘルム・ランボー(Guilherme Rambo)氏が、現在開発者向けにリリースされているiOS 11.3 beta 4のソースコードの中に、”Shanghai Transit Card”と”Beijing Transit Card”という2つのキーワードを見つけています。
ということで、もし特に大きな変更がなければ、今月リリースされると思われる次のiOSやwatchOSの次期小数点一桁アップデートにて、北京と上海の2大都市でApple Payによる公共交通の乗車が可能性が高いといえそうです。
既に日本やイギリス、アメリカ、広州で実現。ただしApple PayはAndroidと違って特殊
Appleはこれまで、日本(Suica)やイギリス、アメリカなど多くの国や地区でApple Payの地下鉄やバスなどの交通カードを使えるようにしてきました。ただし、Appleのやり方はAndroidのものと違います。Androidの交通カード機能は、いわゆるバーチャル交通カードと呼べるもので、NFCチップがそのまま交通カードになるため、新しくカードを作るという感覚で、そのバーチャルカードに通常の交通カードと同様にチャージをしていけば使えるもので、使用方法も比較的簡単です。
しかし日本でApple端末のSuica機能をご利用の方はご存じの通り、Appleは独自の方法で交通カード機能を実現しています。例えば日本のSuicaであれば、Suica独自のアプリでしかチャージができないようになっていて、直接Apple Payと関連付けられたクレジットカードか銀行カードなどで支払う形式になっています。Suicaの場合は自動支払い機能をオンにしたカードであれば、iPhoneのTouch IDやFace IDでの認証は必要なく、またApple Watchでも一切認証は必要ないため、使用の際は便利ではありますが、チャージなどは少々煩雑な手続きを経る必要があります(アプリの仕様による問題のような気もしますが)。
北京と上海で実現、タクシーにも乗れる上海では利便性が高まりそう。キャンペーンは?
北京や上海ではiOSデバイスを使っている人が非常に多いので、もし公共交通でApple Pay機能が使えるようになると非常に便利になる可能性があります。特に上海では交通カードでタクシーにも乗れます。その上海ではタクシー運転手による交通カードすり替え犯罪が発生していますが(私も被害者の一人)、iPhoneやApple Watchによる決済であればそんな犯罪はなくなりそうです(iPhoneすり替えはさすがになかなかできないでしょう)。またApple Payは現在広州の地下鉄で片道毎回1.8元値引というキャンペーンを打って普及を促進していますが、北京や上海ではどんなキャンペーンが打たれるのか、注目が集まります。
そして中国ではこれまでのモバイル決済サービス(WeChat Pay 微信支付+Alipay 支付宝)に加えて、北京・上海・広州やその他の都市で交通カードがスマホの中に入るようになると、ますます財布がいらない社会の実現ができそうです。実際私も中国にいるときには基本財布は持ち歩いていません。
記事は以上です。
(記事情報元:9to5Mac)