リアルすぎて不気味の谷?サムスンのAR絵文字とAppleのアニ文字比較

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韓国のサムスン(SAMSUNG)が日本時間2月26日明け方に、最新のフラッグシップスマートフォン、Galaxy S9シリーズを発表しました。そしてGalaxy S9シリーズでは、新たにAppleのiPhone Xに搭載されているAnimoji(アニ文字)と同様のAR Emoji(AR絵文字)機能が追加されることも発表されています。

サムスンのAR EmojiはAppleのAnimojiに匹敵するレベルなのか?

では、AppleのiPhone Xから遅れること半年後の挑戦者として、AR EmojiはAnimojiのUXに匹敵する能力があるのでしょうか?CNBCがMWC(Mobile World Congress)の現場で、サムスンGalaxy S9のAR Emoji機能を試し、Animojiとの比較について、「Appleとサムスンの新たな戦場」と題して報じています。

AREmoji

まずは、サムスンのAR EmojiとAppleのAnimojiの違いについてですが、サムスンによると、AR Emojiはユーザにビジュアルコミュニケーションツールを提供する、としていて、みんながそれぞれ独特の方法で自分を表現できるとされています。AR Emojiのマシンラーニング機能によって、Galaxy S9では100個のカスタマイズされた3Dの動画の表情や、絵文字を登録することができ、それらがGalaxy S9シリーズで読み取られたユーザの表情によって顔の表情が変化するということです。カスタマイズされた動画が保存できたりするのは、固定されたものしか使えないAppleのAnimojiとはちょっと違いますね。

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サムスンのAR EmojiはAppleのAnimojiに比べると”遅れている”?不気味な感じ

しかしCNBCの記事によれば、AR Emojiのような機能は、既に周知の通りAppleのiPhone Xの3D顔認証システムで実現していて、そのAppleのAnimojiと比べるとAR Emojiは”半製品”レベルで、そのユーザ体験(UX)は”遅れている”と酷評されています。CNBCは、AR Emojiはユーザの皮膚や髪の色などに合わせることができず、また表情を同期する機能を試したときに、AR Emojiはいわゆる「身の毛がよだつ」ような”不気味な感じ”をユーザに与えるというのです。

上記のCNBCの結論について、TechCrunchでも同様の見解を示していることから、単に一人の記者の個人的な意見や感覚というわけではなさそうです。TechCrunchは、AR Emojiではアニメとリアルの間の平衡点を探そうとしているが、実際は記者の個人的な換装として「少々不快な感じがする」としています。Tom’s Guideも同様の結論に至っていて、特にAR Emojiによって生成されたGIFアニメは、人を「なんだか不安にさせる」とのことで、AR Emojiは今のところAnimojiキラーではない、と結論づけています。

サムスンのAR Emojiでは、ユーザは自分の好きなアニメの登場人物の表情を作ることができるようになっています。例えばディズニーと提携しているためミッキーマウスが使用可能だったりします。

しかし、表情の模倣効果では、サムスンはまだレベルが低い状態のようで、AR EmojiはGalaxy S9シリーズのフロントカメラによってユーザの顔の100個のポイントの特徴を掴んだ上で、ソフトウェア上で加工して模倣効果を出すとのことですが、AppleはiPhone XのTrueDepthカメラによって、その顔識別能力は圧倒的にサムスンより上で、Animojiは動物やその他の人間ではないものではありますが(マキグソまであります。。笑)、それらがまるで人の顔のように自然に動くのが特徴です。

Apple iPhone X Animoji

ただ、Galaxy S9シリーズのAR Emojiについて、完全な結論を出すのはまだ早いかもしれません。サムスンは今回のメディアの評価を受け、Galaxy S9がリリースされる前にこの機能を更にソフトウェアレベルで改善する可能性もあるからです。ただ、CNBCはもしサムスンがハードウェアリリースまでにAR Emojiを改善できなかった場合、それはサムスンにとっては”一種の屈辱”だと指摘しています。いずれにせよ、現時点では間違いなくAppleに軍配が上がっています。

サムスンのAR Emojiは「不気味の谷現象」に陥っている

確かにCNBCで公開されている動画を見ると気持ち悪いですね。。ロボットやアンドロイドなどは、人間にある程度似てくると、気持ち悪い感覚、つまり違和感や拒絶反応を人間に与えることで知られていて、それは「不気味の谷現象(Wikipedia)」と呼ばれています。ただ、ある限界点を超えたり、もともと人間を模倣したものではないと割り切れば、その気持ち悪さは消えてくるようです。サムスンはリアルさを追求するあまり、この「不気味の谷」に陥っているのかもしれません。

不気味の谷現象グラフ
不気味の谷現象グラフ。画像はWikipediaより。

外見的写実に主眼を置いて描写された人間の像(立体像、平面像、電影の像などで、動作も対象とする)を、実際の人間(ヒト)が目にする時に、写実の精度が高まってゆく先のかなり高度なある一点において、好感とは正反対の違和感・恐怖感・嫌悪感・薄気味悪さ (uncanny) といった負の要素が観察者の感情に強く唐突に現れるというもので、共感度の理論上の放物線が断崖のように急降下する一点を谷に喩えて不気味の谷 (uncanny valley) という。不気味の谷理論とも。

元は、ロボットの人間に似せた造形に対する人間の感情的反応に関する理論として生まれたもので、狭義ではそれのみを指す。また、最広義では、高い知能を有する生物に認められる現象である可能性を無視しない(マカク属では証明されている)。

Appleはそのあたりをハードウェアでもソフトウェアでもものすごく作り込んで、「不気味の谷現象」をクリアしているといえるでしょう。Appleのアニ文字はかわいいとは思いますが、不気味な感じはしませんからね(個人的な感覚ですが)。

サムスンはいまさらハードウェアを変更するわけにいかず、ソフトウェアレベルで何とかするしかなさそうですが、困難な道になるでしょう。

iPhone Xはやはり”未来のデバイス”だった?

そういう意味では、やはりiPhone Xはまさに”未来のデバイス”といわざるを得ないのかもしれません。TrueDepthカメラやセンサーは他のメーカーの3年くらいは先を行っているといわれていて、サムスンも追いつくのにあと2〜3年は必要なのかもしれません。

記事は以上です。

(記事情報元:CNBCTechCrunchTom’s GuideWeiPhone

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