Apple、中国貴州省での超大型データセンターの定礎儀式を執行、2020年完工予定

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今年1月、Appleは突然、中国エリアのiCloudアカウントで保存されたデータを、アメリカのサーバから中国国内のサーバに移し、中国のサーバは中国本土企業のGCBD(Guizhou-Cloud Big Data、雲上貴州、云上贵州)に全権代理を任せることを発表しました。移行作業は2月28日に開始され、記事更新現在までに全ての移管が終了しています。そして先週金曜日にAppleは中国で新しい大規模なiCloudデータセンターの定礎儀式を執り行ったことがわかりました。場所は中国貴州省の貴安新区だということです。

ちなみに、定礎儀式は中国語では 奠基仪式(dian ji yi shi)といいます。

GCBD-貴州データセンター_定礎式
GCBDデータセンターの定礎式の様子。なんだか土俵みたいですね。。

GCBDのiCloudの新しいデータセンターは超大規模に、2020年に完成

新しいデータセンターは、投資金額は10億米ドル(約1,094億円)で、敷地面積は1000ムー(約66万6,667㎡)、そして2020年完工予定です。更にGCBDはiCloudの国内の全ての財務・法務関係の業務も請け負っており、今回のAppleとのiCloud業務の全面受託することで、毎年10億米ドル以上の安定した収入がもたらされることになり、将来的にはiCloud以外の他のデータやクラウドサービスの収入も増える予定です。

そしてサーバが中国国内に移管されたことで、運営コストが従来よりも下がることになり、将来的に中国大陸地区でのiCloudの最終顧客への価格が下がっていく可能性もあります。なんといっても、貴州省は中国でも最貧の省でもあり、土地や人件費のコストはアメリカとは比べものにならないほど安いからです。

100%再生エネルギーを使用、中国国内のアクセス速度も向上

Appleによれば、GCBDのデータセンターは、中国で初めてのデータセンターということで、100%再生エネルギーによって稼働し、更に中国国内に設置することで中国国内からのアクセスの大幅な遅延低減に繋がって信頼性も向上し、Appleの中国地区のiCloudユーザのUXやサービス品質の向上にとって非常に有利になるとされています。

既存のiCloudデータはどこに?

しかし新たなデータセンターを着工と聞いて気になるのが、既にiCloudのデータセンターは稼働しているはずで、そのデータセンターはどこにあるのか?ということではないでしょうか。

実はこのデータセンターが完成するまでは、GCBDはiCloudのデータをサードパーティのサーバに分散して保管しています。例えば、China Mobile(中国移動)・China Unicom(中国聯通)・China Telecom(中国聯通)の中国三大携帯キャリアのデータセンターなどです。

データの安全性やプライバシーについて

ユーザが最も関心を寄せるプライバシーを含むデータの安全性に関する問題について、Appleはかつて、「Appleは強大なデータプライバシーとセキュリティ保護機構を持っており、いかなるシステムにもバックドアを設けません」と約束しています。そして「中国でデータセンターを設立する理由については、中国の≪ネットワークセキュリティ法(網絡安全法、网络安全法)≫の規定に則り、全ての中国国民(公民)と中国地区のデータは、必ず中国の国境内のサーバに置かなくてはならないとされており、しかも運営は中国本土の企業でなければならないとされているからです」とされています。

中国企業にデータを預けるということは。。。?

ちなみにGCBDは22もの子会社を抱える、貴州省肝煎りの企業です。自分のデータを、中国の企業に預けるということに不安を抱えているのはもちろん中国人も同じで、一部の中国人は海外のiCloudアカウントをわざわざ用意して、iCloudのデータの中国国内への移管を防ぐか、或いはiCloudの使用そのものを停止したという人までいるほどです。

いくらAppleがバックドアを仕掛けないと約束したとしても、運営しているのが中国本土の企業ということは、中国政府の指示は必ず聞かなくてはなりません。ということは、いくらデータを暗号化してセキュアに保存していたとしても、政府に強制的にデータの提供を命令されれば、該当のデータを差し出すしかないのが現状です。中国国内企業に全権委譲されたということは、最悪そのようなことが起こりうることを意味しています。

GCBD_Website_GCD_CCP
GCBDのWebsiteのトップメニューの一番右は中国共産党に関わるもの。。言わずもがなですね。

中国では、最大のネット企業のテンセント(Tencent、騰訊、腾讯)でも、同社のチャットアプリQQのユーザアカウントとパスワードのリストにアクセス可能な社内のスタッフが外部に売っている事実もあり、人為的な流出もあり得るのが怖いところです。

ちなみに中国公民ではない外国人は当然中国の≪ネットワークセキュリティ法(网络安全法)≫の対象外ですが、中国アカウントを使う場合はやはりどうしてもGCBDの管理するデータセンターでのデータの保管が義務づけられます。利便性とプライバシーのどちらをとるか。。ということになりそうですが、もちろんそれほど重要なデータを置かないことと、特に法に触れるようなことをしていなければ問題はないはずです。

記事は以上です。

(記事情報元:WeiPhone

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