製品がバカ売れすると、それにあわせて無法者を自然に呼び込んでしまう。皆がよい使い方の習慣を身につけ、怪しいサイトなどに行かなければ、基本的にセキュリティはある程度保障されるのだが。
Apple製品のますます消費者から受け入れられているのは周知の事実だ。一貫して優勢を保っているiPhoneシリーズだけではなく、Apple Watchや、Macもそのユーザ数を増やしてきている。
会社の業績がいいことは喜ばしいことだが、しかしそれに従って懸念されるのが潜在的な脅威やリスクだ。セキュリティの専門機構として世界的に有名なシマンテック(Symantec)が、ここ数年でAppleの二大OS、モバイルデバイス用OSのiOSとMac用のOS Xに対する悪意のあるソフトウェアの攻撃を分析したところ、Apple製品に対するネットワーク攻撃は増加しており、今年は更に大幅に増加しているという。そして、間もなく迎える来年は今年よりも更に危険だという。
「ますます多くの悪意のあるソフトウェアがデザイン関係のアプリケーションに入ってMac用OS XやiOSデバイスの中に感染してきており、また攻撃の手段もますます新しいものになってきている」と、シマンテックの研究者で専門家のオブライエン氏は記している。
シマンテックの研究によれば、現在のiOSのマルウェア(悪意のあるソフトウェア)は昨年に比べ倍になっているという。Macはそれよりも状況はよく、昨年に比べて微増に留まっているようだ。
オブライエン氏は、シマンテックで30ページもの分析レポートを発表し、その中でApple製品のセキュリティの現状と将来的に直面する脅威について書いている。またレポートでは先週の頭ごろに、Appleがネットワーク攻撃を受けたことに関する一連の影響についても触れられている。
ただし、レポートからは、Appleの主要なライバルであるAndroidやWindowsに比べ、iOSやOS Xのマルウェア感染率は圧倒的に低いこともわかる。ただ、この18ヶ月のうちにAppleに関するマルウェアの数は激増していて、無視できるレベルではなくなってきたようだ。
このような状況が続けば、将来的にはAppleユーザは劣悪なセキュリティ環境に囲まれ、マルウェア感染確率も激増してしまう可能性がある。オブライエン氏によれば、Apple製品のシステム上のセキュリティホールによって、ネットワーク犯罪の重要な標的になってしまう可能性もあると指摘している。
画蛇添足 One more thing…
Appleの業績が好調だということはデバイスのシェアが上昇しているということで、そうなれば悪意のあるハッカー達の格好の標的になるのは間違いない。基本的には悪意のあるハッカー達のマルウェアを作ってばらまく動機は、1つは金儲けのため(詐欺やフィッシングサイトなどがそれにあたる)、もう1つは世間から騒がれることで自分の影響力を示して自己顕示欲を満足させ、そして自分を売り込むためだ。興味本位だけでやっているような悪意のあるハッカーもいるのかもしれないが少数派だろう。または、よほどAppleが嫌いか、嫌な目にあったので報復のためという人もいるかもしれないが、それこそごく少数ではないだろうか。
AppleデバイスはAndroidやWindowsに比べてマルウェアを作るコストが高いといわれているが、シェア上昇でそこを支払ってでも費用対効果が出るようになれば、当然マルウェアが増えてきてしかも手口が巧妙化していくのは避けられないだろう。
iOSは脱獄がこんなんになってきているようにセキュリティホールはどんどん塞がれており、MacのOS X 10.11 El CapitanではSIPという新たなセキュリティ機構が搭載され、OSそのもののセキュリティは以前より堅牢になってはいるが、基本的にiOSデバイスもOS Xデバイス(Mac)も、Appleのエコシステム(iCloud、App Store、Apple Musicなど)でクラウドサービスを使用しているだけに、いったんそこに問題が起こるとApple製品全体的な問題になりかねないのが怖いところ。
以前当ブログでもお知らせしたとおり、安全と思われていたApp Storeに掲載されているアプリにマルウェア(バックドア)の”XcodeGhost”が仕掛けられていたという例もあり、どうやって身を守ればいいのかというところもあるが、Macでは無料でもいいのでウイルス対策ソフトウェア(個人的にはAvastが軽くてマルウェア検出率も高いのでオススメ)を入れて稼働させておくこと、そしてMacもiOSデバイスでも怪しいサイトやメールなどのリンクはクリックしないこと。そしてセキュリティに関しての最新情報を常にゲットできる環境を作ることではないかと思われる。
とはいえ、今回の記事で出てきたシマンテック(ノートン先生で有名)はそもそもマルウェア対策のソフトを売る会社のため、会社としてもソフトを買ってもらうために脅威を煽る必要があるのも事実。AndroidもWindowsも、そんなに危険ならなぜOS側で対応しないのかも非常に疑問だ。マッチポンプではないことを祈りたい。
記事は以上。
(記事情報元:WeiPhone)