米国証券取引委員会のレポートによると、AppleのSVP(シニア・ヴァイス・プレジデント、上級副社長)のエディー・キュー(Eddie Cue)が、自らが所有するAppleの株券のうち、33万5千株を売却した。
今年2回の自社株売却で約100億円を手にしたエディー・キューSVP
現在のAppleの1株あたりの平均株価111.86ドルで換算すると、エディー・キューSVPは今回の株売却で3,747万3,100ドル(約39億円)の現金を手にしたことになる(もちろん課税されるため、その金額がそのままエディー・キューSVPの懐に入るわけではない)。ちなみにエディー・キューSVPは今年9月にも52万5000株を売却している。この2つの株の売却を合わせると、エディー・キューSVPは既に富豪の仲間入りを果たしていることになる。
Appleは先月、制限付き株(RSU)を賞与として発行
先月、Appleは数人の幹部に対して14万9667株の制限付き株(RSU)を賞与として発行しており、その当時の金額で2,500万米ドル(約26億円)にものぼった。
ダン・リッキオSVPもApple株の一部を売却
なお、同じくAppleのハードウェアエンジニアリング担当SVP、ダン・リッキオ(Dan Riccio)も先週木曜日に自らのApple株のうち3万3,323株を売却しており、370万ドル(約3億8,500万円)を手にしている。
RSUの売却はアメリカでは普通の行為
もちろん、このエディー・キューSVPやダン・リッキオSVPの株の売却は正常範囲内の行動だ。基本的にアメリカではRSUによる賞与は普通に行われており、その制限付き株の制限がなくなった時に、自らがまだ幹部として在職中にその株を売却するというのは一般的なことだ。
Appleが現在の規模まで発展できたのは、多くの従業員と幹部達の努力の賜物に他ならない。そしてAppleの株をストックオプションとしてもらっている幹部達は、自らの努力によってAppleを新たな高みへと引き上げ、自らが所有する株価を高めたいと考えるのは自然で当然のことだ。
画蛇添足 One more thing…
エディー・キューSVPもダン・リッキオSVPも、恐らくiPhone 7発売の後株価が上がったところを狙って売却したのだろう。
しかしやはり世界一の市場価値を持つAppleは給与・賞与の額も桁違いだ。製品価格が高いのも頷ける?ただ、エディー・キューやダン・リッキオの賞与を払うために何台iPhoneが売れなくてはいけないのか、計算してみたら面白いかもしれない。もちろん、iPhoneだけに止まらずMacなど、Appleにお布施をしている人、また株式に投資している人は、そのお金がどこに使われるのか特に気になるところではないだろうか。
ちなみにRSUは一定の株を数年に分けて従業員に与える仕組みで、会社にとってはそれによって従業員が一定期間他の企業に引き抜かれないようにする効果がある。ただしRSUは賞与に組み込まれるため、会社の株価が下がってしまうと収入が減ってしまうことになる。その上数年に分けて支払われるため初年度などは収入が下がることになるので、それを補うサイニング・ボーナスなどの仕組みを設けているところもある。いずれにせよ、エディー・キューをはじめとした現在のSVPの地位にいる優秀な人材をAppleも手放したくないのは間違いなく、そのため絶えずRSUを発行しているのだろう。
記事は以上。
(記事情報元:MacRumors)