TF International Securities(天風国際証券)の著名なApple関連アナリスト、Ming-Chi Kuo(郭明錤)氏の最新のレポートによると、Appleの次世代iPhone「iPhone 12」に搭載予定の次世代セルラー通信規格5Gに対応するための部品類で、コストが1台につき75〜125米ドル上昇すると予測されています。
価格に幅があるのは、6GHz未満の5Gサポートの場合は最低75ドル(約7,922円)、ミリ波の5Gをサポートする場合は最大125ドル(約13,203円)と対応周波数によって価格が変わるからということです。
この上がったコスト分について、Kuo氏はそれをAppleはiPhone 12の販売価格に転嫁するのではなく、他の部品の購入価格を抑える=コスト削減することで、5G部品類で上昇したコスト分を相殺しようとしていると指摘しています。特にバッテリープリント回路基板について「格下げ」を行いコスト削減を行ったとされています。それと同時に、これらのその他の内部部品のコスト削減は、ユーザ体験には影響を及ぼさないともKuo氏は述べています。もちろん、部品そのものの格下げをする以外にも、Appleは部品サプライヤーに対して価格圧力をかけてコスト削減を迫っているほか、更にこれまで付いていた付属品をなくすことで全体のコストを下げようとしています。例えば、iPhone 12ではこれまで付属されてきたEarPods(イヤホン)や、電源アダプタは付属しないという予測が一般的です。
ちなみに既に他社では5Gのスマートフォンがとっくにデビューしていますが、他社の動きを見ると、殆どが製品価格の上昇でそのコスト上昇分を消費者に転嫁しています。しかしもしiPhone 12がiPhone 11と同程度の価格で販売されることになれば、この新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる不景気の中、スマートフォン市場での競争には大いに役に立つ要素となるに違いありません。もともとめちゃくちゃ高いというツッコミは、まあ甘んじて受けますけども。。
Appleは史上初めて時価総額を2兆ドルを超えた企業となりました。ただ、Apple製品自体のイノベーションはずっと前から泊まっているような気がします。あっと驚くような新製品は、スティーブ・ジョブズが亡くなってからはApple Watchくらいです。MacもiMac ProやMac Proなど非常にプロフェッショナルで一般の人には手が届かない製品を除いて、外観デザインなどはほぼ10年前のままです。iPadシリーズも同様です。またその後もAirPodsやAirPods Proなどの新製品も出てきてはいますが、これらはApple全体の売上げからすれば微々たるものです。肝心のiPhoneも、2015年が売上げのピークで、それ以降は下がってきています。今後MacのAppleシリコン化などが少し明るいニュースですが、Appleはもう2兆ドルを超える投資家が支える企業になってしまっていて、大きな失敗をしそうな賭けに出ることはできない会社になってしまいました。彼らが現在稼いでいるのは急成長しているサービス部門です。その他の製品は、そのサービス部門に顧客を囲い込みのためのツールになりつつあります。
次世代「iPhone 12」も5G以外にはそれほど目玉機能があるようには思えません。もちろんVR/AR機能などは強化されるでしょうが、さて、それらが人々のコミュニケーションのあり方を変えるようなイノベーションは起こせるのでしょうか?
また個人的には5Gを入れるためにサプライヤーに値下げ圧力をかけたり、他の部品の「格下げ」を行ったことで、品質保証体制などに影響がないかを心配しています。サプライヤーも元々既に相当値下げ要求や値踏みをされているはずですから、そこから更に部品の価格を下げるということは、他に何かを変更してコストを下げなければなりません。また格下の部品を使うということは、最新の工程や品質管理で作られたものではない可能性もあり、また品質保証体制も値下げ圧力と相まって弱まっている可能性さえあります。ただでさえ、新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響で中国の工場はいつもより稼働時間が短くなっているところに値下げ圧力では、まともにものが作れているのかちょっと心配になります。
それでも個人的には未だにXS Maxを使っているので、買い替え時期だとは思っているので、iPhone 12 Pro Maxを買う予定ではありますが。。
記事は以上です。
(記事情報元:9to5Mac)