iOS 10が昨日未明、予定通りにリリースされた。毎年iOSのメジャーアップデートのたびに何らかの問題が発生するが（今回も特定のデバイスでアップデートの際に問題が起こる現象が発生している）、しかしこれまでの歴史の流れをみれば、iOS 10のインストール率はこれから数ヶ月で最高になるのは間違いない。

しかし、あなたが最新の【iPhone 7】や【iPhone 7 Plus】を買ったとしても、または古いデバイスでiOS 10を使うにしても、iOS 10は脱獄できるのか？という問題はつきまとう。それでは、現時点でのiOS 10の脱獄の状況をまとめてみよう。

脱獄の現状整理

まず、最初にお伝えしなければならないのは、現在一般的に脱獄可能なのはiOS 9.3.3までで、その脱獄ツールは中国の脱獄ハッカーチーム”Pangu（盤古、盘古）”から今年7月にリリースされたということだ。そしてAppleがiOS 9.3.4をリリースしてiOS 9.3.3の脱獄に使われたセキュリティホールを塞いだため、iOS 9.3.4以降は脱獄できなくなってしまっている。

ただ、iOS 9.3.3のセキュリティホールが塞がれたことからiOS 10の脱獄が不可能になったとは限らない。なぜなら、これまでiOS 10のベータ版は脱獄が可能だとされているからだ。

中国のPangu TeamはiOS 10 ベータ版脱獄に成功

例えば現状最新の脱獄ツールをリリースした中国のPangu Teamは、今年7月に行われたMOSECにてiOS 10ベータ版の脱獄に成功してみせた。ただ、現時点ではPangu Teamは公には（公式サイト、公式SNSアカウント含む）iOS 10の脱獄ツールをリリースするという意向を示していない（いつも突然リリースするため、いつも通りという見方もできる）。

@iH8sn0wもiOS 10ベータ版脱獄に成功

またそれよりももっと前に、カナダの著名なハッカー@iH8sn0wも今年6月にiOS 10ベータ版を脱獄した動画をアップロードしている。ただし、@iH8sn0wは長い間脱獄ツールをリリースしていないことから、今後も彼自身が脱獄ツールをリリースする可能性は極めて低いと思われる。

Luca TodescoもiOS 10ベータ版脱獄に成功

そして最近の脱獄といえばお騒がせハッカーのLuca Tedesco氏だ。彼自身もiOS 10 beta 8を脱獄した写真をアップし、またiOS 10正式版がリリースされた当日に脱獄ツールがリリースできるとしていたが、結局昨日未明にiOS 10正式版がリリースされても脱獄ツールはリリースされていない。Luca Tedesco氏がこれまでさんざん新しくリリースされたiOS（ベータ版含む）の脱獄成功報告をアップしていたのは、もしかしたらPanguなどマネタイズができる脱獄ハッカー或いはそのスポンサー達に、そのセキュリティホールやexploitを”買収”してほしいという思惑なのかもしれない。

複数のハッカーやハッカーチームがiOS 10の脱獄に成功、あとは時期次第？

いずれにせよ、大事なポイントは欧米のハッカーや中国のハッカーによって、iOS 10には今でも脱獄に使用可能なセキュリティホールが存在することが証明されているということだ。ただ、これまでの脱獄の歴史を紐解くと、iOS 10或いはiOS 10.0.1などのメジャーアップデート後間もない時期のバージョンは脱獄ツールがリリースされることは少なく、脱獄ツールリリースにはいい時期ではないと判断されているようだ。なぜなら初期には比較的頻繁にiOSのマイナーアップデートが行われるため、そんな時期にリリースしてしまうと脱獄ツールそのものの寿命が短くなり、スポンサーにとってはおいしくないからだ。

iOS 10対応脱獄ツールについては現状ハッカー達にとって技術的には可能だが、マネタイズの面から見れば一般脱獄ユーザの我々は暫く辛抱強く待つ必要がありそうだ。いずれにせよ、無料で脱獄ツールを提供してくれる脱獄ハッカーやハッカーチームに常に感謝の気持ちを忘れてはならないと思う。

記事は以上。

（記事情報元：iPhoneHacks）