iOS脱獄インストーラCydiaの3大リポジトリのうち2つが今月閉鎖!デススパイラルで徐々に死に至る脱獄界

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ModMyが本日、Cydia上のリポジトリのModMyiを閉鎖することを発表しました。

Cydia(シディア)とは、iOS脱獄におけるApp Storeのような役割を果たし、ここでiPhone/iPad/iPod Touch用の脱獄アプリ・脱獄Tweakやテーマなどのファイルをダウンロードし、管理することができるツールです。アカウントによる課金の管理も可能です。ユーザはそこにリポジトリ(ソース)URLを追加し、その中に入っているファイルをインストールすることができます。

Cydia-modMyi-repo

Cydiaには3つの公式三大リポジトリがデフォルト(初期)で設定されていましたが、実は先週、そのうちの網1つ、ZodTTD&MacCitiリポジトリも閉鎖されていました。つまり、今月で三大リポジトリのうち2つが閉鎖になり、1つしか生き残っていない、ということになります。

ModMyは、今後ModMyiへの新しい脱獄アプリやTweakの追加を停止し、またアップデートも受け付けないとしています。またiOS脱獄デベロッパやユーザに対しては、残った最大のCydiaリポジトリ、BigBossを使うことを推奨しています。ModMyiにあった脱獄TweakやテーマなどはBigBossに引き継がれ、アップデートなどもBigBossの内部であれば可能です。Cydiaではリポジトリは関係なく脱獄アプリや脱獄Tweak・テーマなどは一元のIDで扱われるため、ユーザとしては特にどちらのリポジトリからインストールしたとしてもそこを意識する必要はありません。

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三大リポジトリのうち2つが閉鎖するという事態になったということは、人々の脱獄に対する興味が著しく低下していることを意味しています。

脱獄(Jailbreak、ジェイルブレイク)とは、Appleが本来許可していない、ルート(root)直下にアクセスができるようにし、ユーザが自由にiOSを編集できるようにするものです。それによって、Appleが許可していない部分までカスタマイズすることが可能になるというものです。

10年前の2007年に初代iPhone(iPhone 2G)がリリースされてすぐに、脱獄は一気に流行しました。なぜなら脱獄は非常に有用だったからです。例えば初代iPhoneの時代にはApp Storeはまだなく、使えるアプリはAppleが初期にインストールしたアプリだけでした。その時代でも、ユーザはアプリやゲームなどを脱獄を通じてインストールすることができました。また当時、今では当たり前になっている壁紙をカスタマイズすることさえ、入獄状態のiOSでは不可能だったところ、脱獄では可能になっていました。

その後数年にかけて、脱獄はずっと流行していました。ただ、iOSも脱獄によってしか実現できなかった機能を少しずつ実装していきました。ウィジェット、SMSやチャットアプリの通知からの即返信、マルチタスク、iPadの画面分割機能、コントロールセンターのカスタマイズ、などなどです。

ということで、既に脱獄の意義が少なくなってしまった今、多くの人にとって脱獄の魅力は大幅に低減しているといえるでしょう。脱獄界のネ申で、Cydiaの作者でもある@Saurik(ソーリック)ことJay Freeman氏もインタビューに対し、「あなたは最後に何を得たでしょうか?キラー級の機能、それこそがあなたがスマートフォンを持つ理由なのです。今はもうほんの少しカスタマイズをするだけでよくなっています」と答えています。その他の欧米の脱獄デベロッパ先駆者達も、口を揃えて「脱獄は既に終わっている」「脱獄は既に死んでいる」としています。

脱獄の欠点は、エンドユーザの許可協議の内容に違反していることです。脱獄はアメリカ合衆国では違法ではないという判決が下っていますが、もし脱獄していることが判明した場合、Appleのメーカー保証の範囲が著しく狭まります。また、Appleも2010年には、脱獄が「iPhoneのUXを著しく低下させる」という声明を出しています。

Appleと脱獄の間のいたちごっこ、まるでトムとジェリーのような関係は既に10年近く続いています。iOSのセキュリティ性能の大幅な向上と、ユーザの脱獄に対する興味の低下を見る限り、この争いはAppleに軍配が上がったといってもいいでしょう。iOS 11は現在のAppleの最新モバイルOSですが、まだこのiOS 11を確実に脱獄できるツールは公開されていません。一部の脱獄ハッカーやデベロッパがiOS 11の脱獄に成功したと報告していますが、PanguやTaiGのような脱獄ハッカーチームが従来のような一般向け脱獄ツールを公開することは長らく行われていません。

新しいiOSの脱獄ツールがリリースされないことは、いわゆる脱獄にとっては”デススパイラル”を引き起こしているともいえます。前出のSaurik氏は、脱獄する人が少なくなればなるほど、脱獄デベロッパも面白い脱獄アプリやTweakの開発に消極的になるとしていて、それによってユーザもますます脱獄する事への意義を見いだせなくなり、また脱獄する人が減る、というデススパイラルに陥っているのです。そして、脱獄はゆっくり死んでいくのだとしています。

今回の三大脱獄リポジトリのうち2つが死んだことで、もうその趨勢は明らかです。未だにSpringBoardのカスタマイズについては脱獄する意義はあると思いますが、ユーザ側としてぇあセキュリティ性能の大幅な低下という大問題や、入獄状態の安定性の低下などの理由で、脱獄にはデメリットの方が大きいこと。そして脱獄デベロッパ側としてもAppleが脱獄が利用するセキュリティホールの発見者に対して手厚い報償を出し始めたことも、脱獄デベロッパ達がリスクを犯して手間をかけてでも大衆向けに脱獄ツールを開発しようという気にならない環境ができあがっているともいえるでしょう。これらも、脱獄がほぼ死に至っている原因といえるかもしれません。

記事は以上です。

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