Reutersの報道によると、Appleの最大の組立協力工場でありサプライヤーのフォックスコン(Foxconn、富士康)が、ベトナムの首都ハノイで新しい工場を立ち上げようとしているようです。フォックスコンはハノイの人民委員会と、iPhoneの組立工場を作る件で積極的な打ち合わせに入っているという情報をベトナムのVietnam Investment Reviewが報じています。
現在世界中に出回っているiPhoneの大多数はAppleの三大組立協力工場であるフォックスコン(Foxconn、富士康)、ペガトロン(Pegatron、和碩)、そしてウィストロン(Wistron、緯創資通)の3社(全て台湾資本企業)によって、中国広東省深圳市或いは河南省鄭州市、そして上海周辺の工場で組み立てられています。一部の少量の旧機種がブラジルとインドでも製造されていますが、それは現地の市場でそれらの製品を「国産品」として扱うことで高額な輸入関税を抑えて販売する目的のもので、海外に輸出はされていません。
ただ、フォックスコンは設備が整わず、従業員の不足もあり、ベトナムで工場を作るのに非常に苦労しているようです。それでもフォックスコンがベトナムに挑戦をし続ける理由は、将来の米中貿易戦争が今後も続けば関税の高騰によってiPhoneの価格が上がって結果的には売れなくなることから、Appleはサプライヤーにより一層コストダウンの圧力をかけているということもあり、フォックスコンはそのことを非常に心配した上で、中国外での製造を検討しているからかもしれません。
更にAppleがより安いサプライヤーを求めて他国に組立委託先を移していくことで自社の受注が減ることも念頭に置いて、フォックスコンは自社としても中国以外にも生産拠点を持っておくことを考えた可能性もあります。現在フォックスコンも協力工場がベトナムにはあるようですが、ハノイなど大都市にあるわけではないようで、しかもベトナムで製造しているのはケーブルや通常の電話機などあまり難易度の高くないもののようです。
Foxconn代表で、親会社のHon Hai(鴻海)グループトップのテリー・ゴウ(Terry Gou)氏の漢字名は郭台銘で、中国語ピンインではGuo Tai Ming(グオ タイ ミン)で本来はこの読み方なのですが、Foxconnベトナムの公式サイトではベトナム語読みの「Quach Dai Minh(クアック ダイ ミン)」になっているのが面白いですね。日本語で「Kaku Tai Mei かくたいめい」と読むのと似た感覚ですね。
いずれにせよ、もしFoxconnのベトナム工場でiPhoneが組み立てられるようになると、「Made in VietNam」のiPhoneが世界に出回るようになるかもしれませんね。とはいえ、やはり東南アジアでの工場運営は色々な意味で中国よりも大変だと思いますが。。フォックスコンがベトナムの中でもハノイを選んだのは、やはり北方で中国に近く、中国からの部品の輸入に有利と考えたからかもしれません。
記事は以上です。
(記事情報元:Reuters)