Apple、CPUスロットル問題集団訴訟で5億ドルの和解金を支払いに同意

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Appleが古いiPhoneモデルに対して秘密裏にCPUスロットル(出力調整)をかけたとして、一昨年2018年に同社を非難した集団訴訟が発生していたことは当ブログでもお知らせしていましたが、今年3月にAppleはその集団訴訟に対して5億ドル(約535億円)の和解金を支払って和解することに同意し、また裁判官によってその和解案が暫定的に承認されていたことがLaw360の報道で明らかになりました。

iPhone バッテリー交換
iPhone 6sの内部構造&バッテリー。Photo by iFixit

Law360によれば、Zoomの公聴会でエドワードJ.ダビラ裁判官は暫定的な承認をしましたが、彼自身に進行中の健康危機により最終承認期限を延長したいと述べています。Appleの弁護士は、12月に行われる和解承認公聴会の新しい日付を提案するように指示されています。

この和解が正式に承認されれば、2018年5月にAppleに対して提起され、最終的にカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所で1つの集団訴訟に統合された、数十件の訴訟に終止符が打たれることになります。契約条件に基づき、特定のソフトウェアアップデートを実行したiPhone 6、6 Plus、6s、6s Plus、7、7 Plus、およびSEデバイスの所有者を含む集団訴訟メンバーは、1つの問題ごとに25ドルを受け取ります。集団請求および弁護士費用が3億1,000万ドルに達しない場合、その支払いは1事例あたり最大500ドルに達する可能性がありますが、ダビラ弁護士は、Appleがほとんどの集団訴訟メンバーのメールアドレスを持っているので、25ドルの受取要求率は高くなるはずだと指摘しました。

Appleは物理的に古くなったバッテリーを搭載した一部の旧型iPhoneモデル(具体的にはiPhone 6、6 Plus、6s、6s Plus、7、7 Plus、およびSE)に対し、これらのデバイスが予期せずシャットダウンするのを防ぐためという名目で、フルパワーで動作できなくしました。同社はその仕組みを組み込んだiOS 10.2.1を2017年にリリースしましたが、そのiOS 10.2.1のリリースノートには「iPhoneでの予期しないシャットダウンを回避するためにワークロードのピーク時の電源管理を改善します」としか書かれておらず、具体的な内容はないため、結果的にそこで透明性が問われることになってしまいました。

そのiOS 10.12.1リリース後、Primate Labsの創設者であるJohn Poole氏が、iOS 10.2.1にアップデートした古いiPhoneが、予想よりも低いベンチマークスコアになっていることに気付き、その後Redditユーザーが、全般的なベンチマークテストを通じて、最終的にAppleによる密かな「CPUスロットリング機能」の導入を発見したのです。その結果、クレームが嵐のように沸き起こり、Appleのいわゆる新機種を買わせるための「計画的陳腐化スキーム」の噂を再燃させたのです。

またサードパーティによるさらなるテストにより、開示されていない調整プロセスの存在が確認されました。この透明性の欠如について、AppleはiPhone所有者全員に対し謝罪するよう求める声が世界中で沸き起こりました。結局2018年に同社は、虚偽の広告・不当なビジネス慣行・私的財産への不法侵入・契約違反、および高負荷事例の間に一時的にiPhoneのプロセッサーをスロットルするiOS機能を発行するための不当な機能追加の責任を問われました。

Appleはそれに対して慎重に対応し、保証外のバッテリー交換価格が引き下げられました(現在は終了しています)。また今年のiOS 11.3になってようやくユーザーがCPUスロットル機能を手動で無効にできるバッテリーヘルスツールを導入しました。

つまり、ユーザの同意なしに、勝手にパフォーマンスを下げる機能を追加したことがユーザの怒りを買ったのです。Appleはあくまでシャットダウンによるデータの破損や端末を守るためとしていますが、どう見ても古いデバイスの性能を落として新しいデバイスを買わせるための施策にしかみえないのは間違いありません。Appleは法律的には問題ないとは言っていますが、結局和解に応じたこと、またその後長い時間が経過した後ではありますが、結局ユーザ自身がCPUスロットル機能をオフにできるツールを導入していることから、CPUスロットリング機能をユーザの同意なしに導入した手法が間違っていたことを自ら認めたことになります。

Appleは最近様々な面で明るい面ばかり報道されることが多いのですが、実際はこのようなとてもユーザ思いではないと思われるようなこともやっていることは頭に置いておくといいかもしれません。Appleはスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)復帰後からもずっとそういった傾向があります。一方、そういった過ちをすぐに認めて修正することはしませんが、大きな批判とならないようにうまく裏で丸め込む力と頭脳を持っているということですね。しかも和解金の5億ドルなど、Appleにとってははした金にすぎませんからね。とはいえ、その分は我々がApple製品を購入するお金から支払われるのですけど。そういうのも含めて、iPhoneなどのコストアップに繋がっていると思うとちょっと残念ですね。

記事は以上です。

(記事情報元:Apple Insider

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