Ming-Chi Kuo:今後のMacBookシリーズには新構造シザースイッチキーボードが搭載される

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Appleの未発表製品の正確な予測を出してきたTF International Securities(天風国際証券)の著名なアナリストMing-Chi Kuo(郭明錤)氏が、今年後半にリリースされる新型MacBook Airから、来年リニューアルされる新型MacBook Proなどで、無償交換プログラムまで提供されていて品質について物議を醸しているバタフライキーボードを廃止すると予測しています。

13inch macbook pro keyboard

MacRumorsによると、Appleはバタフライキーボードの代わりにシザースイッチをベースにし、構造を強化するためにグラスファイバーを採用した新しいキーボードを搭載するということで、故障しやすいバタフライキーボードよりも優れた耐久性とタイピング体験を提供するはず、とされています。

なお、シザースイッチベースの新型キーボードが搭載されるのは今年後半にリニューアルされる予定のMacBook Airからとされていて、MacBook Proが今年またリニューアルされてもそれには搭載されないとKuo氏は予測しています。ということは、今年後半に発売が予測されている16インチMacBook Proにはどのキーボードが搭載されるかが気になりますが、Kuo氏はそこには言及していません。

部分的に更新されるMacBook Pro モデルも、2020年には新しいシザーキーボードを採用するでしょう。新しいシザーキーボードを搭載したMacBookモデルの出荷台数は、2020年には500〜700%増となるでしょう。バタフライキーボードは新しいシザーキーボードよりも薄いですが、ほとんどのユーザーは違いを見分けることができません。さらに、新しいシザーキーボードは、より良いユーザーエクスペリエンスを提供し、Appleの利益に役立つ可能性があります。そのため、長期的にはバタフライキーボードが消えていく可能性があります。

Appleのバタフライ構造キーボードはものが挟まりやすく、キーボード入力が入力されない・誤って入力される・キーボードが押下されたまま戻らず繰り返し入力されるなどの不具合を多数引き起こして物議を醸しており、更に交換も非常に面倒で、キーボードが1つ壊れたらキーボード一式全体を交換しなければならないデメリットもあり、同社の「最悪の設計の1つ」とさえ呼ばれるほど悪評が高くなっています。

Apple_MacBookPro2018_3rd-generation-butterfly-switch-keyboard_02

長年にわたるユーザからの苦情と数件の集団訴訟を起こされたことから、Appleは2015年以降のバタフライキーボードを搭載する全てのMacBookシリーズでキーボード無償交換プログラムを世界規模で提供するなど、対応に追われています。

Apple_MacBookPro2018_3rd-generation-butterfly-switch-keyboard_01

2018年のMacBook AirとMacBook Proからは各キーの下にシリコンの薄膜があり、これがキーの構造にほこりなど細かい粒子が入るのを防ぎ、また打鍵音の改善に役立っているとされていました。もちろんこれはメディア等の推測で、Apple社自身は最初は認めていませんでしたが、やはりこのシリコン薄膜によって改善されたキーボードもやはり同じくらい問題を抱えていることを今年3月にAppleは認めたことになります。

Kuo氏によると、新しいシザースイッチキーボードは、ラップトップコンピュータ用キーボード専門メーカー、Sunrex(精元電脳)によって提供される予定です。ちなみにこれまでバタフライキーボードを作っていたのはiPhoneの組立委託先でもあるWistron(緯創資通)でした。Kuo氏は新しいSunrexのキーボードは2020年に量産されるとしており、この台湾に本社を置くキーボードメーカーが今後Appleの重要なサプライヤーになると予想しています。Kuo氏はシザースイッチキーボードに切り替える理由を、上記の不具合もさることながら、キーストロークが浅すぎる(短すぎる)こともユーザの不満を招いていたことを挙げています。

ちなみにシザースイッチキーボードとは、シザー(鋏)+スイッチの意味で、想像していただければわかるようにいわゆるパンタグラフ構造のキーボードのことで、これまでも他のノートパソコンのキーボードにも使われていた構造ではありますが、グラスファイバーを使うことで耐久性を上げるのがApple式ということになりそうです。そうなると普通のキーボードよりも製造の歩留まりも悪くなることから、製造コストがかかることになりそうですが、もともとかなり特殊なバタフライキーボードよりは製造コストが抑えられることになり、Appleとしてもコストが抑えられる上に不具合が修正でき、更にユーザの要望にも応えられるのでシザースイッチキーボードへの切替は一石二鳥、というより一石三鳥くらいの結果が得られるかもしれません。

今回のバタフライキーボードからシザースイッチキーボードへの交換は、ジョナサン・アイブ最高デザイン責任者(CDO)の退職と関係がありそうな気がします。バタフライキーボードはジョニー・アイブCDOによる徹底的な薄型化へのこだわりによって生み出された構造で、ジョニー・アイブCDOの肝煎りでずっと続いていた感じではないかと思います。シザースイッチキーボードに切り替わることでほんの少しMacBookシリーズが厚くなるかもしれませんが、ユーザが明らかに気付くレベルでもなさそうです。それなら、信頼性の高いキーボードを使って欲しいですよね。

個人的には、2018年モデルのシリコン薄膜改善されたバタフライキーボードのMacBook Proを使っていますが、今のところだいぶ打鍵感覚には慣れてきたところです。とはいえこの1つ前に使っていた2014年のMacBook Proの、以前のキーボードの深いストロークの方が個人的には好きだったのは変わりがありません。今のところ全く不具合はありませんが、中国広東省という湿度が非常に高いところで使用している関係上、問題が今後出てこないとも限りません。なんだか”Apple最悪の設計”の1つを買わされてちょっとババを引かされた感じもしますが、問題が出ない限りは暫くはこの物議を醸しているバタフライキーボード搭載のMacBook Pro 13インチ 2018モデルを使用していきたいと思っています。

記事は以上です。

(記事情報元:MacRumors

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