Appleは米国時間10月21日、【Apple Music】の新しいブランドアイデンティティを発表しました。公式X(@AppleMusic)と公式YouTube動画「Apple Music. Made by Sound: Behind the new brand identity」で伝えています。ロゴとビジュアルはCGではなく、音を流して揺らした液体の向こうにロゴを置いて実際にカメラで撮影したもので、英国のプロデューサーFred again..と音響デザイン会社NEST Acousticsが書き下ろした曲が使われています。配色は長年の赤から白黒に変わり、来週配信見込みのiOS 27.2とmacOS 27.2で全面的に切り替わるということです。

ロゴは「音で作った」、CGではなく実写
Apple MusicのXの投稿は、新しいアイデンティティを「Fred again..とNEST Acousticsの書き下ろし曲によって物理的に形作られた」と説明しています。MacRumorsによると、容器に入れた液体に曲を流し、音の周波数どおりに液面を揺らして、その背後にApple Musicのロゴなどの要素を置いて撮影したということです。動画の映像は全てカメラで撮った実写で、デジタル処理で作ったものではないというのがAppleの売り文句です。
液体の中身は報道で分かれています。MacRumorsとThe Faderは水槽の水と伝え、ドイツのheiseは鉱物油を張った槽にトランスデューサー(音声信号を物理的な振動に変える装置)を付け、曲がった板ガラスを沈めて撮影したと伝えています。どちらにしても、音の波形を液面の波に変換して撮った、という仕組みは同じです。開発には数か月かかったとheiseは書いています。
赤が消えて白黒に、アイコンは表示モードで反転
見た目で一番変わるのはアプリのアイコンです。MacRumorsによると、10月13日のiOS 27.2ベータ4で新しいアイコンが入り、ライトモードでは白地に黒い音符、ダークモードでは黒地に白い音符になります。ミュージックアプリの中でも赤が減らされていて、ウィジェットの背景は赤から黒に、設定画面の文字やナビゲーションバーの選択色は赤から青に変わっています。ロゴの文字は「music」が全て小文字になり、太く、文字間隔を詰めた形になっています。
書体については、heiseがSF Proの改変版、The Faderが従来のSan Franciscoから別の書体への変更と伝えており、説明が分かれています。
白黒にした理由をAppleは説明していませんが、2025年に導入されたLiquid Glassと並べると筋は通ります。heiseも、新しいアイコンは明らかにLiquid Glassのデザインを意識したものだと書いています。Liquid Glassは半透明のガラスのような見た目で、ホーム画面のアイコンも透明やダークの表示に切り替えられます。白黒のアイコンは、ライトとダークの表示に合わせて背景と音符の色が反転します。普段、赤い色を目印にミュージックアプリを開いている人には、ホーム画面での探し方が変わる更新です。
9月のApple Music Hallの告知が新ロゴの予告に
この新ロゴは以前にも登場しています。MacRumorsによると、9月22日に発表されたロンドンのライブ会場「Apple Music Hall」の告知に同じロゴが使われていました。この会場はBattersea Power Stationにできる600人規模の施設です。さらに10月6日の記事では、iOS 27.2とmacOS 27.2のベータ3の中でも確認されたと報じられています。当時は会場限定の意匠か本体のロゴ変更か分からず、ベータ4でアイコンが白黒になった時点でほぼ確定し、Appleは後から会場の告知を「予告(Tease)」だったと呼んでいます。
iOS 27.2は米国時間10月19日(日本時間20日)にRC版が配信され、正式版は来週の見込みです。当ブログでもお伝えした通り、同じ版では日本語のSiri AIへの対応も伝えられています。ロゴの刷新はその正式版に合わせて、Webサイトやアプリまで一斉に切り替える段取りということです。
Apple TVに続き、音と実写映像でサービスを印象付けるApple
Apple TVでも、有名ミュージシャンによる音と実写映像がサービスの顔に使われています。heiseによると、動画配信のApple TVの音はFINNEASが手がけています。同記事は、Apple TVの映像も、切り出したガラスに照明やカラーフィルターを組み合わせて撮影したと説明しています。今回のApple MusicではFred again..の音を液体の動きに変え、その動きまで映像に取り込んでいます。Netflixの「タダン」のように、サービスの名前を聞くだけで音が浮かぶ状態を、Appleもサービスごとに作ろうとしているといえそうです。今回はその音をロゴの形にまで使ったので、音と見た目が同じ素材から出ているところが新しい点です。
日本は月1,180円、米国は約1,900円、中国は約285円
10月22日時点の各国の公式サイトに掲載された月額料金は次のとおりです。日本のApple公式サイトでは個人プランが月1,180円、ファミリーが1,980円、学生が680円です。米国は個人が月約1,900円(11.99ドル)、ファミリーが約3,170円(19.99ドル)、学生が約1,110円(6.99ドル)なので、各国の掲載価格を同じ為替で換算すると、日本の個人プランは米国より約720円、約38%安い計算です。日本の税込価格と米国の掲載価格の比較で、米国で別途加わる税金は含めていません。日本で契約する人が支払うのは円建ての月額料金なので、為替の動きで請求額が変わるわけではありません。
さらに安いのが中国です。中国本土のApple公式サイトでは個人が月約285円(12元)、ファミリーが約475円(20元)、学生が約166円(7元)で、日本の個人プランの約4分の1です。
ただし、Appleの案内では、Apple Accountの国や地域を変える際、変更の妨げとなるサブスクリプションの解約や残高の使い切りが必要で、新しい地域で有効な支払い方法を求められる場合もあります。配信されるコンテンツも地域によって異なります。
日本で利用を続ける人にとっては、月額だけでなく、聴いている曲や他の契約への影響まで考えておく必要があります。
小龍的にはこう思った
小龍的には、今回面白いのは、ミュージシャンの曲を映像に添えるだけでなく、その曲の振動でロゴの見え方まで作ったところです。音楽サービスの顔を音楽そのものから作る、という考え方が撮影の仕組みにまで通っています。
白黒になったアイコンはLiquid Glassに合いますが、それだけでAppleがサービス独自の見た目を捨てたとはいえません。文字を太く詰めたロゴや専用の音まで用意したことを考えると、赤い色に代わって、文字の形と動き、音でApple Musicを覚えてもらおうとしているように見えます。Apple TVでもガラスを使った実写映像を制作しており、両サービスに共通するのは、音と手作業の撮影を組み合わせて印象を作るやり方ですね。
更新後にミュージックアプリを探すときは、白黒の音符が目印です。
とはいえ、生成AI全盛時代に、なんかAppleは古風なことやってるな。。と捉えられないかちょっと心配な私もいます。これのためだけの開発に数ヶ月もかかったとのことで、お金も時間もあるんだからやってるんだぜというブランドならではの余裕な姿勢と、こういうのをよしとする客層を狙ってのこととは思いますが。
記事は以上です。
(記事情報元:MacRumors、heise、The Fader。円換算は1ドル=158.41円、1元=23.73円(三菱UFJ銀行が2026年10月21日に公表した対顧客外国為替相場の仲値TTM)による参考換算です)

