xiaolong 
Appleは、将来のiPhoneのディスプレイパネルサプライヤとして中国（大陸・内地）メーカーのBOEの使用を検討しているようです。その原因として、現在日本と韓国の間で進行中の外交問題と貿易摩擦があり、Appleは日本と韓国の両方のサプライヤーへの依存度を減らすよう、サプライチェーンの選択肢のいくつかを再評価・再考していく方針のようです。
韓国の企業は、日本の韓国企業に対する輸出制限の影響を受けています。といっても、日本は韓国に対する優遇国待遇を他の通常の国と同じ扱いにしただけで、輸出制限をしたわけではないのですが、この措置は第二次世界大戦中に新日鉄が朝鮮半島の国民に対する強制徴用に対して対価を支払わなければならないという韓国の裁判所の判決に対しての報復と韓国側は捉えているようです（実際、韓国は日韓請求権協定という国際法の取り決めに明らかに違反をしているので、日本側が何らかの報復措置をとるのは当然ではあります）。
しかし2国間の思惑はどうであれ、日本で7月4日から施行された輸出制限は、日本から韓国へのディスプレイ製造に使用される化学物質の輸出に影響を及ぼし、とりわけAppleに部品を供給するサプライヤーに影響を与えています。
この日本からの原材料の供給の混乱をきっかけに、Appleと他のハイテク企業はサムスン（SAMSUNG）との再連絡をとると同時に、この輸出規制がサムスン等の韓国企業の先のサプライヤーにどのように影響しているかを調査していることが、The Investorによって報告されています。「彼らはサムスンの関係者と現状について話し合った」と業界筋が語っていることが報告されています。
これらの輸出制限は、こんにち生産されている実質的にすべてのコンピューティングデバイスの3つのコア要素すべてとともに、ディスプレイならびにDRAM、及びNANDフラッシュメモリチップの生産にも問題を引き起こすと考えられています。長期間にわたって輸出制限が発生すると、サムスンなどからのコンポーネントの供給が影響を受け、他のハードウェアの全体的な生産に影響を与える可能性があります。
この状況に対する緩和策として、Appleは現在、iPhone用に他のOLEDディスプレイサプライヤーをサプライチェーンに加える検討をしているようです。DigiTimesの業界筋によると、中国のディスプレイパネルメーカーBOE Technologyは、Appleの有機ELディスプレイ受注の「（サムスンの）強力な競争相手」であり、現在進行中の米中貿易戦争によって中国企業の状況が悪化するにつれて、非常に魅力的なチャンスとなっているのです。
Appleはディスプレイサプライヤーとして数多くの企業をリストに加えています。有機ELディスプレイについては韓国サムスンとLGディスプレイがメインサプライヤーですが、その枝葉の先の企業もリストアップされています。そして資金調達に問題を抱えながらも複数の種類のディスプレイパネルを提供しているジャパンディスプレイ（JDI）も、Appleに対しては主に液晶ディスプレイ（LCD）の供給を担当しています。iPhone XRの液晶ディスプレイはJDIが供給していますが、今後LCDディスプレイのデバイスは減っていくため、JDIが有機ELディスプレイを供給する機会も今回の日韓貿易摩擦によって出てくるかもしれません。
一方中国のBOEは有機ELディスプレイ（OLED）の生産設備に多大な投資をしており、以前iPhone Xで初めてiPhoneに採用されたOLEDパネルについて、Appleからの受注を取ることを試みたことがあります（結局最終的にはサムスンに決まりましたが）。Appleとしては特定の企業に依存するよりも複数の企業から購買した方がリスクを低減できることから、今後OLEDの供給先として中国BOEやその他の企業が登場する可能性がありますが、まずは日韓貿易摩擦がどのような状況になるかによって変わってくるかと思います。当然関連銘柄の株価にも影響するところで、目が離せませんね。
個人的にはジャパンディスプレイに頑張って欲しいですが、ジャパンディスプレイも資本は中国企業になるので、国策企業ともいえなくなってきてしまっていますね。日本と韓国が揉めると、中国が漁夫の利を得る。。もし日中が揉めたら、今度は韓国が漁夫の利を得る。そしてどこかが揉めたらいずれにせよ米国が漁夫の利を得る。。今の世界はそういう仕組みになっているのかもしれませんね。
記事は以上です。
（記事情報元：Apple Insider）