Apple iOSとAndroid陣営の戦いによって”犠牲”になったものとは?

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競争があるからこそ進歩がある。それは確かに正しい。しかし競争の方法が間違っていたら。。進歩と共に、そこには混乱が生まれてしまう。以下は中国のメディアWeiPhoneの記事から。

20年以上も前のAppleのMacは”カトリックのデバイス”!?

1994年、著名な小説家Umberto Ecoが、AppleのMacはまるで”カトリックのデバイス”のようだと比喩した。なぜならその教徒、つまりMacユーザはAppleに従っていればよく、コンピュータについて何かを考えるということをしなくてもよかったからだ。それに比べ、Windows PCは”プロテスタントのデバイス”のようだと比喩している。なぜならPCユーザは”放牧”されており、自らのデバイスを守るためにマルウェア対策ソフトを入れるなどの自衛策をとらなければならないからだという。

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20年後、スマートフォンでも”カトリック”を貫くAppleとiPhoneユーザ

さてそのUmberto Ecoの比喩から20年以上が経ったが、現在のテック業界はどうだろう。Appleの理念は基本的に何も変化がないようにみえ、彼らは今でも一切をコントロールしている。AppleのMacはWindowsとは袂を分かち合うことはないが、デスクトップコンピュータは既にAppleの主戦場ではなくなっている。そう、今はもうスマートフォンの時代だ。しかし、Appleのスマートフォン市場での競争相手はMicrosoft(マイクロソフト)ではなく、Google(グーグル)、もっと正しくいえばGoogleのOS、Androidを搭載したデバイスだ。もしOSだけでスマートフォンの市場シェアを比べてみると、Androidの世界シェアは80%を超え、iOSはたったの15%しかない。

さてAppleの理念が20年前と全く変化していないという件だが、スマートフォン端末でも、彼らは全てのユーザを自分のリズムのもとに支配し、ユーザは特に何も心配することはないもしあなたが脱獄(ジェイルブレイク・Jailbreak)ユーザでなく、App Storeからおとなしくアプリをインストールさえしていれば、自分のデバイスのOSがいつおかしくなるんじゃないかとか、OSやアプリがクラッシュしないだろうかとか、ウイルスやマルウェアに感染はしないだろうかと心配する必要はほとんどない(もちろんたまに例外はある)。例えば、iPhoneユーザは朝目覚めたときに、夜充電しておいた端末にわけのわからないアプリが勝手にインストールされているなどということを心配する必要はない。一方、Androidユーザはシステムの自動アップデートが自動的に行われることはないが、自分でアップデートしようとしたときにそれをダウンロードするのは容易ではない

Androidユーザは”放牧”状態

Android陣営の中で、Google Nexus、LG、SAMSUNG、Motorola、SONY、HTC、小米、HUAWEIなど比較的著名なメーカーを除いて、その他のメーカーのデバイスのOSアップデート方法はもうめちゃくちゃだ。彼らが製造しているのは価格が比較的安い特製Androidスマホのため、売った後のユーザは殆ど文字通り”放牧”状態で、システムのアップデートのことなど殆ど気にかけていない。そんなわけで有名なメーカー製ではないAndroidスマホを使っている人は、自分の運命は自分で決めなければならない

Androidの87%が常に危険にさらされている

それと同時に、“セキュリティ(安全性)”もAndroidユーザの渇望するところとなっている。最近、ケンブリッジ大学のセキュリティ研究レポートによれば、概ね87%のAndroidデバイスにセキュリティ対策がとられておらず、それらは常に100種類以上の攻撃方法に晒されており、ユーザもどうすることもできないという内容だ。Androidデバイスの全世界での普及率とシェアを考えると、これはつまり数百万から数千万人にものぼるユーザのデバイスが危険にさらされており、デバイスのセキュリティと個人情報の安全性に何も保証がされていないということを意味する。

iOSとiPhoneが絶対安全なわけではない

もちろんこれはAppleのiPhoneにセキュリティホールがないということを意味しているわけでもなく、悪意のあるソフトウェアに攻撃されないということでもない(実際に、マルウェアの危機にさらされたことがあるが、直近2件については特にインパクトが大きかったので当ブログでも以下の通りお伝えさせていただいた)。Appleは単に非常に閉鎖的な管理をしており、更にシステムの統一アップデートを行うことで、潜在的なセキュリティ問題をカバーしているに過ぎない。とはいえ、今でもマルウェア対策アプリなどを入れなくても済むため、Androidよりも安全であるということはいえるだろう。

犠牲になったのは、デバイスのセキュリティとユーザの個人情報?

スマートフォンはもうここ数年来、ほぼAndroidとiPhoneの戦いとなっている。その競争が確かにデバイスをますます進化させ、ユーザもその恩恵にあずかっているのは間違いない。しかしスマートフォン全体のセキュリティは明らかに改善していないどころか、ますます悪化してきている。その責任は誰が負うのだろう

画蛇添足 One more thing…

この記事は中国の記事のため、日本にいる方は少し違和感を感じるかもしれない。というのも、日本はキャリアでスマートフォン(携帯電話)を契約することが殆どで、キャリアはAndroidスマートフォンでも殆どブランドがついているものしか扱わないため、日本には得体の知れないようなメーカーの作ったAndroidスマホは殆ど存在しないからだ。

しかし日本を一歩出てみるとその様相はがらっと異なる。中国、主に広東省深圳にひしめく星の数ほどある大小の携帯メーカーがありとあらゆる低〜中価格帯Androidスマートフォンを製造し、世界中に輸出しているのだ。特に東南アジアやアフリカの発展途上国や中東などに輸出が多いという。

世界的な目線で考えると、Androidの危険度は非常に高い。Androidはオープンソースで、それによってOSへのライセンス料が必要ないため安価に製造できる分、OSのアップデートなどアフターサポートのことは考慮に入っていないのが原因だ。Androidユーザだけ被害を被っていればいいのだが、実際にAndroidの端末を踏み台にするトロイの木馬などが世界的に蔓延すれば、その影響は世界全体のネットワーク速度の低下やスマートフォン以外のプラットフォームの安全性への脅威にもなる。その対価はいったい誰が払うのだろう?

記事は以上。

(記事情報元:WeiPhone

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