ロイター通信の報道によると、現在でも人気のApple「iPhone XR」の液晶ディスプレイ(LCD)、「リキッドディスプレイ」を製造しているAppleのサプライヤでもある日本のジャパンディスプレイ(Japan Display、以下JDI)は昨日、中国の投資会社ハーベスト・グループ(Harvest Group・嘉實集團・嘉實基金) による約800億円(7億3800万ドル)の救済計画に対する追加資金を正式に確保したと発表しました。
JDIによれば、ハーベスト・グループは、JDIの顧客から1億ドルの投資を含めて投資を増額するとしています。そしてロイター通信は情報筋によると、その顧客はAppleだと伝えています。なお、先月、JDIの投資元である台湾のディスプレイメーカーTPK Holding Co Ltdや金融会社CGL Groupの2社は、ハーベスト・グループがリードしてきたJDI救済のためのコンソーシアムのプロセスから脱落しています。
JDIはこの救済計画を正式なものにするために、来る2019年8月29日に株主総会を開くことを計画していると述べています。
Appleが最近液晶ディスプレイ(LCD)から有機ELディスプレイ(OLED)にシフトしていることにより、会計年度昨年度(3月に終了)の売上高の60.6%を米国のスマートフォンメーカー(=Apple)に頼っていたJDIへの資金調達の抑制を招いた、とロイター通信は分析しています。
JDIはまた、すでに救済コンソーシアムの一部である香港を拠点とする投資グループであるオアシスマネジメント(Oasis Management)が、通貨の変動により投資金額に不足が生じた場合、予定より多くの資金を提供することを申し出たとしています。いずれにせよ、JDIの発表では救済計画はなんとかうまくいきそうという感じがします。
JDIは利益構造や顧客/製品ポートフォリオに問題があったといえそうで、有機ELディスプレイへの転換が遅れたことも、経営不振・資金調達の困難を招きました。明らかにJDIには正しい経営決定をできる人が欠如していて、船頭多くして船山に上っている状態な感じがします。日本企業のディスプレイ部門の集合体だから仕方がないのかもしれませんが、このままでは戦艦大和のように沈んでしまうだけです。ハーベスト・グループが主導するコンソーシアムが資金を提供することで、JDIももう日本企業というのは「名前だけ」になりそうですね。
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(記事情報元:ロイター通信)