Appleが10億ドル(約1,100億円)を中国民間最大のインターネット配車アプリ「滴滴出行(Didi Chuxing)」を開発している北京小桔科技有限公司に出資したことは当ブログでもお知らせしたとおり。
Appleの滴滴出行への巨額の出資は世界中で議論を呼んでいる
Appleのこの出資は中国だけに留まらず、世界中で議論を引き起こした。そしてテック関連メディアのみならず、多くのメディアがまず注目したのはやはりAppleのEV(電気自動車)の極秘プロジェクト”Project Titan”だった。もしこの推測が正しければ、Project Titanで研究開発されているというApple Carの噂が現実のものとなり、Appleは更にその歩みを進めたことになる。
あまり大きくない中小企業、または零細でも何らかの優れたテクノロジーを持った企業を買収(青田刈り)して傘下に入れるというのがこれまでのAppleの常套手段で、今回のように既に海外で相当な規模を持った企業に対して巨額な出資をして主要な株主になるというやり方はほぼなかったといえる。
では今回の滴滴出行への投資を皮切りに、今後Appleはそのような動きを続けるのだろうか?
Appleの滴滴出行への巨額の出資は始まりに過ぎない
ビジネスマガジンのZee Businessの3日前の記事によると、Appleが10億ドルをかけて中国の配車アプリ市場に乗り出したのは、海外市場進出へのスタートに過ぎないという。そしてこのテック企業の巨頭は中国市場だけではなく、同社にとってはまだまだ未開拓のインド市場だというのだ。
Appleの次に狙うターゲットはインド市場
Zee Businessによれば、滴滴に投資した後、Appleはインドのインターネット配車アプリ市場に間接的に進出する予定とのことだ。なぜなら滴滴はインドのタクシーアプリのトップ企業Olaの株を持っているからで、アメリカのLyftと中国の滴滴と同様、AppleはインドでもUberとの競争を繰り広げるのではないかと予測されている。
インドでは、Olaは最大のインターネット配車サービスプロバイダとなっている。ただUberがOlaのインドでの最大の競争相手となっており、Uberの市場価値は600億ドル(約6兆5300億円)だが、Olaは市場50億ドル(約5400億円)しかない。
巨大な敵に向かう海賊、という構図が好きなApple(1984のCMで自らをIBMにハンマーで立ち向かう女性に見立てたことからも明らか)は、最大のビッグ・ブラザーよりも小さくても頑張っているところを応援することでその市場を席巻しようと考えているのかもしれない。
インド市場で起死回生を図るApple
アナリストによれば、Appleはインドを中国に次ぐ新興市場と見ており、今後の海外投資の重点を中国とインドの2つの国に展開すると予測されている。現在までにAppleは大中華圏で37ものApple Store(直営店)を展開しているが、インドには1店舗もない。しかし最近のインドメディアの報道を見ていると、インド政府も様々な規制緩和を行っており、インドに初めてのApple Storeがオープンするのもそれほど遠い先のことではなさそうだ。
前四半期の業績発表でiPhoneが明らかな売上げ減少を記録し、iPhone・iPad・Macという主要ハードウェアの全ての落ち込みがあり、株価も下がる一方だ。将来の先行きが見えていないAppleにとっては、起死回生のためには
- 新しいハードウェアによるイノベーション
- ビジネスモデルの転換(ハードウェアからソフトウェアやサービス型へ)
- 新規市場開拓
のいずれか、或いは組み合わせが求められているといえるだろう。インドへの投資は、3つ目のプロジェクトの1つといえそうだ。
Appleの銀行口座に眠る巨額の現金をどう使うか、注目が集まる
研究開発費はサムスンの半分以下、マイクロソフトの約半分と、意外にもそれほど研究開発にお金を使っていないApple。その分を他社の買収や投資に向けているということもあるが、ともかく起死回生を狙うAppleが自社の銀行口座に入っている2000億ドル(約21兆7600億円)以上の現金を何に使うのか。。世界中から注目が集まっている。
記事は以上。
(記事情報元:Zee Business)